始動「ブラックチェンジャー」
*この小説はフィクションです。
阻止する者が風粏と力弥を亡くして空気が重くよどんでいる頃、変える者たちが新たな行動を起こそうとしていた。
御角、剣十、斉の三人がいる。彼らは何も話さずにその場に立ち尽くしている。
御角だけは椅子にもたれている。
不意に靴音の音が聞こえてくる。彼らは音がする方向を見やった。
現れたのは狂だ。
「なんだ、これだけか? 嗚呼、そうか」
狂は辺りを見渡した後、誰にともなく言葉を漏らす。
現在、住処にいる変える者は狂を含めて四人。
麗が死んで数が減ったが、人数の少なさに思わず言葉が出てしまうほどだ。
「狂さん、武蔵さんと彼がいません。何か知っていますか?」
狂に問い掛ける斉。彼は狂が不在の二人を連れてくると思っていた。
然し、現れたのは狂だけ。一向に姿を見せない二人。次第に彼らは不審の念をいだく。
狂は斉の問い掛けに答えず、黙っている。
「あの、」
「やっぱり裏切ったんじゃない? じいさん元阻止する者だったし、あっちのほうが良いと感じたんじゃない? 僕は居なくなって嬉しいけどね」
斉が再び声を掛けようとしたが、御角が遮るように言葉を吐き捨てた。
御角は武蔵を嫌っている。元阻止する者というだけでいつか裏切るんじゃないかと思っているからだ。
ただ、武蔵の実力を認めている。その場にいる全員がそう思っている。
狂は深いため息を吐き出す。
気まずい雰囲気が漂う。狂の様子にその場にいた三人は黙り込んだ。
「武蔵さんは俺を狙ってる。だからといって、仲間外れにはしない。これからも変える者として動いてもらうつもりだ」
狂の言葉に三人は表情が険悪になる。
「ほら、裏切り者じゃん。僕、怪しいと思ってたんだよね。なに考えてるか一番わからなかったしさ。でも、動いてもらうってなに? 裏切ったんだし、殺せばいいじゃ、」
御角は狂から睨まれていることに気がつく。
狂は変える者たちを仕切る最高者。一番強い。
余裕だった御角も圧には勝てない。
御角が黙ると、狂は斉に視線を投げかける。
「何をされるか分かりませんよ。阻止する者と協力されると、」
「それはない」
斉の言葉に狂はきっぱりと言い切った。
狂にとっては全て頭の中にシナリオができている。
全てを知っているのが正しいだろう。それが狂という男。
「それはいいんだけどさ。もう一人忘れてない? 能力者じゃないやつのこと」
御角が言葉を口に出す。ちょうど、住処に誰かが入ってきたようだ。
逸樹が戻ってきた。
逸樹は中に入ると、疑わしげな視線に動揺を見せる。狂が何か言いたげにしているように見えたが、言葉にしたのは意外な人物だった。
「武蔵さんは?」
その声に逸樹だけではなく、御角も反応する。
言葉を発したのは寡黙な剣十だった。
逸樹が言葉に迷っていると、気まずい空気になる。
御角が痺れを切らして立ち上がる。
「あのさ、じいさんと一緒にいたよね? お前もそっち側だったってことでしょ!」
「違う! 武蔵さんも僕もこっち側だよ。だから、今までもこれからも協力するんだよ!」
逸樹は御角の言葉を否定し、叫ぶように大きな声で答える。
不意にぱちぱちと拍手をする音が響く。逸樹の言葉を聞いていた狂が感心して眺めている。
「素晴らしいじゃないか。過去を変えることに協力してくれることに変わりはないんだ。これからも協力してもらう」
彼らは不満そうな表情だ。
能力者ではない逸樹を不審に思っている。居るはずの彼が姿を眩ました。そんな行動をされれば、不審に思うのも当然だ。
そんな彼らだが、狂は余裕を見せる。
「それでだ。阻止する者の最高者がいなくなった。今が良い機会だ。計画を実行する」
一同が狂を見やり、真剣な目つきに変わる。かと思えば、笑みを浮かべる。
彼らは変える者。過去を変えたいと強く思っている。
目的はそれぞれ違えど、変えることには変わりはない。
「斉、お前は麗と等しかったな。麗と会った変えたい者は武蔵さんのところにいるはずだ。武蔵さんを探し、変えたい者の居場所を聞き出せ。見つけ次第、奴の願いを聞き入れろ。過去を変えるんだ」
返事をした斉はすぐに目の前から姿を消した。
狂は剣十と御角にも指示をする。二人は何も言わずにすぐにその場を立ち去った。残ったのは逸樹と狂。
逸樹は電子機器を使い、阻止する者の秘密を暴いてきた。阻止する者の住処の特定も逸樹によるものだった。
「期待してるぞ」
狂は逸樹の肩を叩いて、声をかける。一瞬で姿を消す。
逸樹は奥の部屋に向かい、作業を再開した。
全ては世界を変えるために。
武蔵が抜けたブラックチェンジャー
御角は怪しいと思ってたみたいだけど、予想通り
まぁ、元ブロッカーだったから怪しく思うのも当たり前なのかな
武蔵はどこに?
ブラックチェンジャー始動
再び戦いが始まる予感⁉︎
今回はブロッカーだけじゃなくて何かが起こる前の裏をと思って書きました。
たまにはブラックチェンジャー側を
進み具合がゆっくりとなってしまいますが、どうか見守っていただければと思います。
*来週はお休みしますm(._.)m
次話更新日は11月14日(木)の予定です。
*時間帯は未定です。




