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理解しているからこその行動

*この小説はフィクションです。

 隼人に怒られ、司のところへと向かった探。なのだが、ある一室で足を止めていた。

 彼はある話を小耳に挟んだ。

「これからは俺たちが引っ張っていかなきゃいけないな」

「分かってるのか? お前は動いちゃ駄目だ。美鶴さんにも言われただろ。力弥さんのようになる」

「自分の体のことは自分がよく分かってる」

「なら、」

 そこまでを耳にすると、探は少し覗いてみようと身を乗り出そうとした。

 次の瞬間、体の平衡を保てずに転んでしまう。

 探は慌てて立ちあがろうとするも二人に気付かれてしまった。

「探か。どうした?」

 ふと声を掛けられ、探は動揺する。その姿に二人は不思議そうに見つめる。

 話そうとしない探に一人が近づく。

「大丈夫か? 探にしては珍しいな」

 声を掛けたのは司だった。

 もう一人は流だ。流はベッドから体を起こしてはいるが、点滴をしている。


 そんな二人は探を心配そうに見つめる。

 司は思わず苦笑いする。どうしたと再び声を掛けるが、探は喋ろうとしない。さっきまで隼人に言われ、未だに落ち込んでいた。

 司の言う通り、探にしては珍しい。いつもの探なら、すぐに話そうとする。

 そういう性格なのを二人は知っている。

 それに十代の中で唯一、司と流に懐いているのだ。


 探の様子に何かを察する。

「何かあったのかい? 誰かと喧嘩になったとか、」

 流は冗談のつもりで言葉を口にした。然し、探の表情に違和感をいだく。

 言葉に詰まり、顔色を窺う。司と言葉を待つことに。

 それでも、話そうとしない。

 三人の間に気まずい空気が流れる。


 司が言葉を発しようとした瞬間、探はゆっくりと立ち上がる。

「隼人を怒らせちゃった。関係ない美鶴さんの気持ちを話しちゃったのが原因。当然だよね」

 耳を傾けていた二人。不意に司が探の肩を叩く。

「それは怒るだろうけどさ、隼人は真面目なところがあるからな。それで、美鶴さんの気持ちって?」

 司は頭をぽりぽりと掻くと、それとなく問いかける。

「え、美鶴さんは力弥さんのことが好きだったんじゃないかって。恋してたんじゃないかな」

 探はぽつりと言葉を漏らすように口にする。

 その瞬間、司と流はお互いに目を合わせる。二人はふっと笑う。突然のことに探は驚いた。

「俺、変なこと言った?」

 きょとんとした表情で聞くと、二人は笑いながら首を左右に振った。思わず探は司をつつく。その拍子に探はふらついてしまう。


 探は人に触れると、触れた人の状態を知ることができる能力を持っている。探の能力は一瞬だけでも人に触れてしまえば、触れた者の健康状態が流れこんでくる。

 然し、能力の影響で感覚が鈍ってきているのが現状。

 司は完治はしていないものの動けるほど回復している。

 それなのに、探がぐらついてしまったのには代償のせいでもあった。

「大丈夫か?」

 司は探の体を支える。自分から触れなければ問題ないのだが、違和感を覚えている探は浮かない表情を浮かべる。

「探、今すぐ美鶴さんに診てもらったほうがいいんじゃないか。流、悪い。またあとで来る。今は探を、」

 探を心配しつつ探を連れて出ていこうとする。

 ちょうど美鶴がやってきた。

「どうしたの?」

 司を怪しげに見ながら声を掛ける。

 戸惑う司だったが、思いついたように美鶴の前に探の体を盾にする。探は美鶴をじっと見つめる。

「あなた、さっきすれ違ったわよね。どうしてここにいるの?」

 目を丸くして驚く美鶴に探は戸惑いを見せる。

答えに迷っている間に美鶴は探と司を避けるように通りすぎ、流のところへと歩いていってしまった。

「体調どう? まだ良くならないようなら、強い薬を投与しなきゃならないけど……」

 問い掛けに流は大丈夫ですと答えた。

 不意に流は司と探に視線を向ける。二人は予想外の美鶴の対応にぽかんと口を開けている。

「美鶴さん、探を診てもらえませんか?」

 美鶴は断ることなく、無言で探に近づく。目の前まで来ると、探を見やる。

 美鶴のまっすぐな視線に探は気まずく視線を逸らしてしまう。美鶴は警察官のような身体検査をし始める。


 あくまでも彼女のしていることは医療行為だ。探は五感能力の一つ、触覚の能力者。

 探の体調は身体検査で行うことになっている。

「感覚は今のところ大丈夫みたいね。あまり自分から人に触れないよう、」

 美鶴が注意したのにも関わらず、探は美鶴の肩に触れようとした。咄嗟に躱されてしまい、落胆している。

「言ったわよね? 隼人くんといい、あなたといい。本当に世話が焼けるわね」

 深いため息をつき、あとを頼むとすぐに去っていった。


 司はぐいっと探の両腕を掴む。探の癖とはいえ、人に触れさせないようにするにはこうするしかないと司は思ったのだ。

「強引すぎるって。流さん、助けて」

 流は苦笑いしているだけで助けようとしない。流も探の癖にはずいぶん手を焼いていた。

 変える者(ブラックチェンジー)と対峙した時も手負いの流に触れた。

 止めるためには致し方ない。

 二人と一緒にいるおかげか、いつの間にか探の気持ちが和らいでいた。



 そんな三人のことも知らず、ぽつんと一人で居る勇輝に変化が起こっていた。


探は探で悩んでいるけども司と流のところへ行って元気を取り戻す

信頼しているからこその行動なのかな

一方、勇輝に変化⁉︎

次回へ


ゆっくり進んでますが、キャラの心情を大切にしています。感情を読み取ってくだされば楽しめるかと…(透子か!)

次話更新日は10月17日(木)の予定です。

*時間帯は未定です。

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