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見えない力

*この小説はフィクションです。


 少し前。

 異変を感じ取った流と司。二人は異変の原因を見つけ出すことが出来なかった。途中で流の体調が急変してしまったのだ。

 仕方なく、部屋に戻ろうとした直後のことだった。

 彼らの前に変える者(ブラックチェンジー)が現れたのだ。

 戦える司は能力を使い、流を守りながら戦おうとした。

「あ、えっと姿を消す能力だっけ? 使っても無駄だよ。僕、戦う気ないから」

 変える者(ブラックチェンジー)に簡単に見破られてしまう。いや、彼らになら知られていてもおかしくはない。

 それでも、やらなければやられてしまうと思った司は戦おうとした。


 現在、司は変える者(ブラックチェンジー)と戦っているはずなのだが、戦う気がない敵に悩まされていた。

 そう、全く戦っていない。それなら、何も影響はない。

 それなのに、司は戦っているかのように体力を消耗しているような手負いの状態に見えた。

「何を、したんだ?」

 司は息を切らしながら見えない壁の向こうの変える者(ブラックチェンジー)に問いかける。

「何もしてないよ。ただの時間稼ぎってとこかな。じいさんの後をこっそりついていったら、大当たり(ビンゴ)! 阻止する者(ブロッカー)の本拠地に辿り着いて、お前たちを見つけたってわけ」

 不適な笑みを浮かべ、説明するように言葉を吐く。

 それでも、司は納得していない様子で険しい顔をしている。彼女の言葉に何か引っ掛かっていた。

「あれ、分からなかった? 僕はただ時間稼ぎをしているだけ。倒れるのを待つのをね」

 再び、不適な笑みを浮かべる。


 司はやっと理解した。

 僕と言葉を口にしている彼女は変える者(ブラックチェンジー)

 能力を使われていれば、司たちの体力が低下しているのも納得できる。それに加え、本部内だというのに、誰とも接触しない状況。運悪く、敵に遭遇してしまった可能性が高い。

 なぜ、本部内に変える者(ブラックチェンジー)が入ってきたのだろうか。『じいさんの後をこっそりついていったら、』その言葉だけが司の頭の奥に引っ掛かり続けている。

 敵がまだ他に本部内にいるかもしれない。司は危険を察知した。


 彼女の名は四隅よすみ御角みかど

 御角の能力は空間に人を閉じ込め、対象者が能力者であれば、体力を消耗させる。

 司が戦ってもいないのに、息を切らしているのは彼女の能力の影響だ。

 困難な状態を打破するには、彼女と戦って勝つしかない。然し、彼女との間に見えない壁で攻撃を加えるには難しいだろう。

 現に、攻撃をしてみたが、見えない壁はとても固い。下手をすれば、攻撃した側が怪我をしてしまうだろう。


 どうすれば、この不安定な状態から抜け出せるのかを司は考えた。

「そういえば、さっき、言ってたよな。じいさんの、後を、ついていった、って。名前は、なんて、言うんだ?」

 司は体力が限界にきていて頭が回っていない。出たのが引っ掛かっていた言葉だった。

 司の質問に御角は不思議そうにぽかんと口をあけたまま立っている。

「じいさんの名前? 荻楼おぎろう武蔵むさしっていうけど、それを知って何の意味があるの? お前たちはここで死ぬかもしれないんだよ? 一人、気を失っているみたいだけどね」

 名前を教えると、御角は小さく笑った。


 司は名前を聞いた直後、硬直してしまう。彼は驚き、「武蔵むさしが生きて、いたとは、」と小さく呟いた。

 彼は武蔵を知っていた。なにせ、武蔵は彼の……。

「あ、もしかして知ってた? じいさん、元阻止する者(ブロッカー)だもんね。だから、なに? お前たちがここで終わるのは変わらないよ」


 司は勝ち誇った表情を見せた。司たちにとって、状況は最悪だ。

 それなのに、司が余裕を見せたことによって、御角は焦りを見せる。

 直後、彼女は遠くに嫌な雰囲気オーラを感じた。

「味方の応援を呼んだってこと? この空間には無駄なんだけど、待って嘘でしょ。僕が能力使った意味ないじゃん!」

 御角の言う通り、能力で空間に閉じ込めている間は誰にも見つからない。それにも関わらず、彼女はこの場所に近づいてくる嫌な雰囲気オーラを感じている。

 一気に御角の顔つきが変わった。

 正確には素の本性が出たのが正しい。


 それでも、司は厳しい表情を崩さない。体力の限界は来ているが、今は倒れるわけにはいかず、必死に耐えていた。


 御角の表情が険悪になっていく。

「やばいじゃん。折角、お前らを倒せるいい機会チャンスだったのに。次、会ったら絶対やってやる!」

 彼女は怒りを当たり散らすと、言葉を吐き捨てて一瞬で姿を消してしまった。

 二人を縛っていた能力は解かれ、空間が本部内の廊下に変わる。

 それを待っていたかのように司は力尽き、ばたっと倒れた。流は既に気を失っている。

 二人が倒れたまま、廊下がしんと静まり返っていた。


 *


 医務室を離れた美鶴はある場所へとすぐに向かった。

 美鶴にはやらなければいけないことがある。

 行方不明の彼ら(••)を捜しに行くこと。彼らを見つけ出し、無事に連れてくること。

「無事でいてくれるといいけど、」

 美鶴はぽつりと呟く。

 然し、言葉を裏切るような光景が彼女の視界に飛び込んできた。

「司ちゃん、流ちゃん!」

 すぐに二人に駆け寄る。美鶴の声に気付いた司はゆっくりと起き上がる。

「美鶴さん、遅いよ。俺は、なんとか、なってるけど、流が、」

 司は状態を説明しようとするが、苦しそうに息を切らす。咄嗟に美鶴は司の背中を摩り、司を落ち着かせようとする。

「俺は、大丈夫。流を、」

 突然、司は苦しそうに腹をおさえる。

「司ちゃん……」

 美鶴は急いで治療を施す。そのおかげで司は持ち堪えた。

 司が落ち着くと、美鶴はすぐに流に駆け寄る。

 気を失っている流の状態は最悪だった。


 長年、医療に携わってきた美鶴は状態がすぐに分かった。流の体が冷えている。血流が悪くなっている証拠だ。

 流の能力はあらゆる流れを作り出す。その代償として、体の流れに異常をきたし様々な症状が出る。

 血流が悪くなっているのもその症状の一つ。

 自分だけじゃ無理だと思った美鶴はすぐに連絡を取る。

「すぐに緊急対応室近くの廊下に来てほしいの。医療隊員も何人かお願い」

 連絡を終えると、再び流の治療に全力を尽くす。

 良くなった司はただ流を見守ることしかできなかった。


 


司と流、勝手に行動するからこうなるんだよ(๑•ૅㅁ•๑)

御角許さないぞ!

司は大丈夫そうだけど、流は大丈夫かな…

美鶴さん、流を助けてあげて(/ _ ; )

次回は二人が美鶴とともに帰還。美鶴がある決断を。

そして、また勝手な行動する者が…どうなる⁉︎


次話更新日は8月8日(木)の予定です。

良ければ感想、評価、コメントしてくださると嬉しいです。

誤字脱字もお待ちしてますm(._.)m

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