戦いの末に
*この小説はフィクションです。
流と合流し、交代することが出来た司は隼人とともに変える者の麗と対峙し戦っていた。
流は探と待機しているが、芳しくない。然も、過去にいる。
流の身体は過去に戻ることで、多分に影響を受けてしまう。
探が同伴しているが、いつ倒れてもおかしくない状態だ。そんな状態で司たちの戦況を見守ることしかできない。
もし、先に現在に戻ろうとすれば、麗が襲いかかってきて、過去に戻った意味がなくなってしまう。そうなれば、状況は悪化し、最悪殺されかねない。
なんとしても、麗を倒して現在に戻る必要がある。そのためには、司たちを頼り、勝利を願うことしかできないのだ。
司と隼人は麗と戦闘中。変える者は力が強い。予想できない能力と力の強さに悪戦苦闘していた。
油断すれば、大損傷を負う可能性もある。集中しなければいけない状況でも、司は流の体調がどうしても気になってしまう。
どうしても、頭の隅から離れてくれないのだ。それほどまでに追い詰められていた。
「司さん、右!」
不意に隼人の大声に司は我に返る。攻撃を躱そうとした瞬間、麗の攻撃が腹に当たってしまった。
司は思わず腹を押さえて、苦しそうに顔を歪ませる。
その姿に麗は勝ち誇ったように微笑む。麗の脳内に勝利の文字が浮かびあがった。
「油断はしちゃ駄目って教わらなかった? 馬鹿ね」
苦痛で歪んだ司の顔を嬉しそうに見て、快楽に浸っている。その隙を狙って、隼人が麗に近付いて攻撃を加えようとする。
痛みで動けない司は蹲るばかり。食らった攻撃があまりに強く、仲間の隼人の動きまでは見れない。
隼人が麗に腕を振り翳そうとしている。
隼人の視線が麗の目に向いた。直後、隼人の体が硬直し、時が止まってしまったかのように固まった。
体が動かなくなったことで隼人は動揺した。麗が隼人に攻撃を与える。
隼人は攻撃を受けてしまい、地面に叩きつけられた。再び、麗は攻撃を与えようとした時、隼人の姿が消えた。
司は隼人の姿を消し、一瞬だけ麗を混乱させることができると思ったのだ。だが、麗は迷わず、隼人を攻撃した。
「その能力うざいわ。利かないって言わなかったっけ? もういい、あんたからやってやる」
麗は言葉を吐き捨てると、司の元へと真っ先に向かっていく。司はとっさの判断で能力を使った。
今度は司自身の姿が消えた。能力が無駄だと分かっていても、戦いの中で少しずつ分かってきた。
麗には薄らとしか姿が見えないことを。能力が全く利いていないわけではない、と。
それでも、麗は向かってくる。司の姿を捉えているかのように。
司は攻撃をかわそうとする。だが、動きが見破られているかのように、避けた先にも攻撃が繰り出されている。
司は自ら攻撃を受けた。
「司さん!」
隼人の呼ぶ声を耳にした途端、司は口元を緩ませた。大丈夫さと返事をし、鋭い目つきに変わった。
「正々堂々といったけど、訂正させてもらうよ。能力が少しでも利くと分かったから、使う価値はある。だから、使うよ。まぁ、それが俺のやり方なんでね」
麗は司をきっと睨みつけた。正々堂々と宣告されたのにも関わらず、能力を使って戦う相手に苛立ったのだ。
次の瞬間、司は姿を消す。すぐに麗の前に現れた。麗がはっと気付いた頃には既に司は攻撃体勢に入っていた。
いったい何が起こったのか、麗には理解できない。目の前の状況に混乱し、焦りを見せる。
司は攻撃をしかける。先程よりも素早い動きと攻撃で、麗は追いつけない。
「あんたは女性で本当は傷付けたくはないんだけど、変える側なら仕方ないんだよね。悪いね」
鋭い眼光を浴びせかけ、止めの一撃を刺した。急所を突かれ、麗は倒れた。
阻止する者が勝利を勝ち取ることができたのだ。
司が能力を解くと、透明化の三人の姿が現れた。直後、司は力尽きて倒れた。
強い麗の攻撃を自分から受けたのだ。たとえ、勝てるほど強くても、攻撃を受けたら誰だって倒れてしまうだろう。
三人は音のしたほうへと振り向く。
「司さん!」
「司!」
隼人、流が呼び掛けるも司の反応はない。探がすぐに駆け寄り、司に触れた。
探の腹部に今まで感じた以上の激痛が走り始める。探はぐっと腹を押さえて、必死に耐える。
「これ、やばい、かも。司さん、相当な、損傷を、受けてる。隼人、門を、開くこと、できる?」
なんとか言葉を発して、隼人に伝える。
探は一度、流に触れている。それに司にも触れた。
二人の損傷を知っていて、良くない状態だということも知っている。探自身も代償のせいで限界に近い。
唯一、隼人がまだ動ける状態に見えたのだ。現在に戻るには損傷が少ない者が良い。
隼人は探の言葉に返事をすると、何かを唱え始める。
すぐに門が出現し、四人は吸い込まれるように門の中に消えていった。
息絶えた麗を残して。
4人とも頑張ったよε-(´∀`; )
とりあえず良かった
司、大丈夫かな…
次話更新日は4月11日(木)の予定です。
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誤字脱字もお待ちしてますm(._.)m
次は4人が戦う前の話。勇輝が本部に戻り、力弥と再会。




