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一か八かの賭け

*この小説はフィクションです。

 司と隼人と探の三人は過去に戻る前、姿を消して作戦を話していた。

 作戦はこうだ。過去に戻ったら、三人は司の能力で身を隠したまま、暫くは流に変える者(ブラックチェンジャー)を任せる。早々に姿を現してしまったら、流は全力で皆んなを守り、無理をさせてしまうと司が思ったからだ。

 司は戦っている二人に接近。探と隼人は少し離れたところで待機。

 時間が経てば、敵は疲弊するだろうと考えていた。それは、戦っている流も同じだということだ。

 リスクを伴う一か八かの賭けだ。それを狙って、流を連れ戻す作戦だった。


 隼人は無謀な作戦だと思った。未だに敵の能力を把握出来ていない。

 たとえ使われたとして、代償がない相手は能力使い放題だ。一方、司たちは代償があるせいか、多くは使えない。

 それが、変える者(ブラックチェンジャー)阻止する者(ブロッカー)の違うところ。阻止する者(ブロッカー)は下手な動きは出来ないのだ。


 現在、流が戦っているのを黙って見ているだけ。何も出来ない隼人は唇を噛み締めていた。


 突然、流は体に限界が来たかのように蹌踉ける。直後、司は念じる。

 流は姿を消し、その代わり司の姿が現れた。


 麗は目を丸くし驚くが、すぐに余裕の表情を見せる。司も余裕だ。

 ただ一人、不安な表情をしている。流だ。疲労が見えているせいか、表情が良くない。

 過去に戻ったことで流の体に大きな負担が掛かっていた。そこに探が駆けつける。

 探が流に触れようとした時、流は咄嗟に避けた。

「俺に、触れ、るな」


 探は触れた人の状態が分かる能力。今の状態では探の代償も大きいと流は考え、突き離そうとした。

 探は流の言葉にびくっとして触れるのをやめる。それでも、再度触れようとする。

 だが、簡単に振り払われてしまった。振り払われた瞬間、少しだけ触れてしまったのか、探の体内に気持ち悪さが流れ込んできた。


 探は気持ち悪さに蹲る。それを見ていた隼人は大声で探を呼ぶ。その声に司は反応してしまう。

「あら、やっぱり完全に消えたわけじゃないのね。それで油断するのは良くないわよ」

 不意に司は麗の攻撃を食らってしまった。


 麗はにやりと笑って、もう一撃を与えようとする。それを間一髪で躱わす司。

 躱わされて舌打ちをする麗に忍び寄る隼人。だが、麗には隼人の姿が見えない。まだ司の能力で姿を消している。

 隼人は麗に攻撃を与えようと拳骨を振るう。その瞬間、麗はそれを避けて見せた。

「私に攻撃を当てようとしたって無駄よ」

 得意げに麗は笑う。隼人は驚く。姿が見えていないはずなのに、攻撃が当たらないのは予想外だったからだ。

 一方、司は未だに表情を変えず余裕がある。隼人には司の考えていることが分からなかった。



 そんな戦いが起こっている中、探は落ち着きを取り戻し、流の軽い傷や怪我の手当てをしていた。持ち歩いている救急セットだけでは簡単な治療しかできないため、僅かなことしかできない。

 そのため、今の流の体では戦うことは無理だと判断する。安静にしていることを流に勧めた。


 それでも、流は動こうとする。

「流さん! 今は、」

 探が呼び掛けた時、流はよろめいて、気持ち悪さに襲われ、咄嗟に手で口元を抑えた。

 直ぐに何かを吐き出し、手に付着した。 見ると、血がついていた。じっと手を見ていたが、探の視線に気付き、思わず隠す。


 探は心配そうに流を眺めている。気付くのが遅かった。

「流さん……」

 探の言葉を余所に流は立ち上がる。それを止めようと探が流の腕を掴んだ。触れてしまった瞬間、探はぐらつく。すぐに気を取り戻すと、流の腕を強く掴んだ。

「無理は、しないで、ください」

 探にそう言われ、仕方なくその場に留まった。流の腕を掴んでいる探の手が震えていたことに流は気づく。


 ここで行ってしまえば、足手纏いになるだろう。それに彼らにまた心配をされてしまうと流は思った。

「今は司さんたちに任せましょう。無理をして悪化するのは良くないです」

「分かった。探、ありがとう」

 二人は言葉を交わすと、探は離れている隼人に視線を送った。隼人はそれに気付いた。


 隼人はあらゆる角度からでも、視線に気付く広い視野を持っている。そのため、離れた探の視線に直ぐに気付けたのだ。

 隼人は音を出し、司に合図を送る。

 音に司はにっと笑った。一瞬、麗は動揺を見せるが、音がしたほうへと向かうかと思えた。

 探と流のところへと駆け出していた。

「油断してるのは、駄目でしょ」

 すぐに司は後を追い、麗を止める。一撃を与えた。

 麗は怯んだ。


 姿が消えてるとはいえ、近づいてきたからにはどこか物陰に隠れなければと、流と探は物陰に隠れる場所を探し始める。

 司と隼人は怯んでいる麗をじっと見て、身構える。立ち上がった時、いつでも攻撃を加えられるように。


 臨戦態勢は整った。司が念じると、隼人の姿が現れる。

「どうせ、隠しきれてないんだ。これで、正々堂々と戦えるぜ。二対一なんて悪く思うなよ」

 司の言葉に麗はきっと睨みつけるように視線を向けるが、今まで二対一だったのには変わりはない。

 麗にとっては姿がはっきり見えることになったのは好都合。笑みを浮かべた。


 次の瞬間、麗の俊敏な動きを合図に第二の戦いが始まった。

 


流、無理しすぎだよ…。

探に言われたのに動こうとするの駄目

司と隼人、がんばれ!


次話更新日は4月4日(木)の予定です。

良ければ感想、評価、コメントしてくださると嬉しいです。

誤字脱字もお待ちしてますm(._.)m


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