ふたりのフェアリーテイル
全部を諦めた顔であの子が言った
「この先に希望なんてない」って
その言葉を嘘にしたくて少年は走っている
ボロボロになった靴
確かに擦り減るばかりだ
今ある楽しいも大好きも
いつか消えてなくなるのかな?
神様がもしいるのなら
もっと簡単にしてくれたらよかったのにね
分かり合えない相手が
どうしてもこの先いるっていうなら
印でもつけておいてくれないかな
次は間違えないから
でもさ、もしかしたらだよ
神様は間違えて欲しいのかも!
魔法なんて信じないよって顔してたって
箒で空を飛んでみたいな
あの不思議なお婆さんはきっと
森の奥のオンボロ小屋で魔法の薬を作ってる!
ドラゴンは火を吹いて
その鱗は見えないものを見せてくれるんだって
そんなお伽話をもう一度信じてみる
全部を諦めた顔であの子が言った
「この先に希望なんてない」って
その言葉を否定したくて少年は走っている
ボロボロになった靴
確かに擦り減るばかりだ
今ある楽しいも大好きも
いつか消えてなくなるのかもしれない
それでもその手を少年は掴んだ
「間違いだって神様だって
魔法だってドラゴンだって
君の味方ってことにしていいよ
あとまあ、しょうがないから
僕もそばにいてあげてもいいよ
だから諦めるなんてもったいないよ」
早口で捲し立てる少年に
「たった一つだけでいいかな」
そういってあの子はやっと笑った
フェアリーテイルをふたりは信じた