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婚約破棄をされ、老貴族の後妻になるために、老貴族の屋敷において行かれた令嬢の話

作者: 山田 勝







※恋愛は関係ないかもしれません。

「メアリー義姉様、ごめんなさい(笑)」

「メアリー、僕は真の愛に気づいた。身を引いてくれるね」


「そんな。いや・・」


「何?嫌だと、君はそうやって、ダダをこねて、もういい。優しく言うのはやめだ!お前みたいな辛気くさい女は無理。婚約破棄をする!」


「ふん、無愛想なお前の行き先は決まっている。最も年長で、醜いスケベと評判のローガン卿の後妻に入れ。これは次期当主命令だ。僕が爵位を継いで、リズが次の跡取りを生む。馬車を用意した。すぐさま嫁に行け!」


「イヤー醜いスケベの老貴族の後妻なんて!」


「連れて行け!」



 ☆☆☆ローガン卿の隠居屋敷


 ・・・私の家は侯爵家でございます。父と母が存命中は、義妹と仲が良くて、良くお茶会をしたり、お出かけをしてました。リズは親戚の子で、両親を流行病で亡くし不憫に思い。私の父が養子縁組をしたのですわ。


 しかし、父と母が領地視察中に馬車の事故に遭って、亡くなった途端、葬儀のすぐ後に、婚約者のカーターが、私と婚約破棄をして、義妹と婚約をして、爵位を継ぐと言い出しましたの。


 そして、私は、この屋敷に、無理矢理おいて行かれたのです。


 ・・・へえ、そうして、メアリー様が、おじいちゃんの後妻としてきたのね?!

「おじいちゃん。メアリー様に、何か変なことしていないわよね!」


 屋敷のロビーで、孫が自分のおじいちゃんを正座させて、詰問をしている。


 ・・・私は孫のソフィ、私がおじいちゃんに、ひ孫を見せてあげようとして、家に遊びにいったら、若い女性がいた。

 メイドさんでもないようだ。

 だから、正座させて、尋問をしているのよ!

『最も年長で、醜いスケベと評判のローガン卿』

 って腹立つわ!お爺ちゃんの悪口を言いやがって。


「そうじゃ、そうじゃ、いきなり、馬車が来て、我が屋敷に放り出されたのじゃ!可哀想だから話し相手で家においているのじゃ!」


「ソフィ様!本当です。カーターが、ローガン様の了解を得ずに、家に連れてきたみたいです。ローガン様は、とても親切です!だから、正座をやめさせてあげて!」


 ・・・まあ、そこまで言うのなら、本当でしょうね。このおじいちゃん。おばあさまが亡くなってから、寂しそうで、だから、私もちょくちょく顔を出してたの。

 夫は騎士をしている。


「ママ、これって、シュラバなの?」


「ケイ、来ちゃダメよ!」


 ・・・


「で、お爺さま。どうするの?簡単に人を引き取って、メアリー様の人生の責任を取れるの?」


「フフフフ、ワシを誰だと思っているのじゃ。タダの爺さんじゃ。取れるわけなかろう」


「お爺ちゃん!見損なったわ。ひ孫謁見禁止令を出します!」

「何ですとーーーーそうじゃない良く聞くのじゃ」



「・・・とれるわけないから、若い者に任せるのじゃ!最後まで聞け。納得したら、ケイちゃんにオモチャ買う権利をくれんかのう」


「ええ、どうするの?」


「儂は、長生きしたが、それだけのジジじゃ。知恵も無い。金もない。だが、しかし、運だけはあるのじゃ!ワシは戦場で生き残ったのは運があったからじゃ」

「うん。聞いているわ。お爺様が若い頃は、戦争していたのよね」


「そうじゃ、まあ、ワシのやることをご覧じろ!」


「お爺様、素敵・・」

「ローガン様、グスン、有難うございます」


 とローガンは書斎に入っていった。


 ☆30分後

「メアリー嬢よ。ワシ目が悪くてのう。やっぱり、手紙の代筆を頼むのじゃ」


「わかったわ」

「お爺ちゃん。どこに手紙を書くの?」


「知り合いに協力を頼むのじゃ。運が良ければ、陛下に知ってもらえるかもしれないのじゃ」






 ・・・☆☆☆メアリーの実家


「まあ、カーター様、リズ様、婚約なさったの?!リズ様、メアリー様は?」

 戸惑いながら、婚約披露宴をする二人に、メアリーの友人は尋ねた。



「ええ、ローガン様の後妻に入りましたの」


「ええ、あのドスケベジジと有名な・・」


「はい、結婚式は二週間後ですの。皆様、大いにお祝いしましょう」

 リズは勝ったと思った。カーターの心を奪い侯爵夫人の座を得たと確信した。


 カーターも目論見通りと安心する。


「フフフ、俺はこれで侯爵になる。隠居した元伯爵のローガンなど、意のままに操れるのだ。既にメアリーはローガンに貞操を奪われているだろうよ」


「まあ、義姉の晴れ姿。楽しみだわ。醜い老人に、誓いのキッスをされるのね!」


「「ハハハハハハ」」



 ☆2週間後女神教会


 ザワザワザワザワ。

 教会は外まで人があふれていた。


「やけに人が多いな。老人の方の親戚が多いのね」

「まあ、お義姉様、お美しいわね(笑)」

「メアリーのやつ、ローガン卿とナイスカップルだな。ハハハハ」


 やがて、式がクライマックスになったとき、誓いのキッスの場面になった。


 ベールをとり、いざキッスになろうとしたとき。


 ローガンは叫んだ。


「儂は、お前を愛することはないーーーーーー他に愛する者がいるのじゃー」


 教会の外にまで聞こえた。


「アンリばあさん。前に来るのじゃ!」


 ローガンが叫ぶと、孫のソフィが老婆の手を取って連れてきた。


 アンリばあさん。ローガンの家の近くの農家のお婆さんである。


「お茶友達になってくれんかのう?」


「まあ、まあ、ワシでよければ、ええで、(ポッ)」


「やったのじゃ、有難うなのじゃーーーー」


 ワワーーーーー

「「「おめでとう!!」」」

 と歓声が響く。


 カーターがたまらずローガンに食って掛かる。

「何だと、ローガン、お前はこの国で最も醜くてドスケべなジジじゃないのか?・・」


 すると、ローガンの子、孫たちが反論する。

「うるさい。黙れ、俺たちの爺さんはな」


「戦死した自分の部下の子供たちを養子にしたんだ!」


「だから、子供ばっかり作って、ドスケベジジと噂が広まったんだ!」


「お前ら!俺は侯爵だぞ!」


「へえ、いつ、女神暦何年?何月何日?に陛下が承認した?言ってみー言ってみー!」


「何だと!」


 ロバートの取巻きたちは、大勢のローガンの親戚たちの圧力に押され無言を強いられるようになった。


「ほ~ら、ほ~ら、何か言ってみろよ!」オラオラ、ドスドス!


 ローガンの子孫たちは、騎士から、宮廷の官吏まで様々な職についている。ネットワークを使って、カーターの情報を集めた。

 その結果、こいつは侯爵を継ぐ可能性は低いと判定された。


「陛下はな。乗っ取りは認めないとおっしゃてるぞ!」


「な、何を、お前らみたいなゴロツキが陛下と知り合いな・・へ」


「国王陛下のご来場だ!」

 近衛騎士たちが、先払いをしながら教会に入ってきた。


「話は聞いたぞ。ローガン卿の子供の知り合いの息子さんの友人が、余の子息の学友だ。不穏な乗っ取りは許さない!

 メアリー嬢の婿は余が責任を持ってしかるべき者を探そう。

 カーターとリザは事情聴取の後に、重い処分を下す。ひったてろ!」


「「「御意」」」


「ヒィ、そんな・・」

「そんなの他人じゃねえかーーーーーー!」

 カーターは陛下の御前の前であるが、跪いて絶叫した。


 ・・・


「さて、ローガン卿よ。話を聞いた。子供が30人いる大家族だが、戦死した部下の子供を養子にしたていたとは感心した。何か褒美を取らそう。希望はあるか?」


「あ、あの。陛下、養子にしたのは20人じゃ、亡くなったばあさまとの間に10人もうけたのじゃ」


 ・・・え、やっぱり、スケベジジじゃないか?と陛下は思ったが、顔に出さない。


(余は側妃がおる。う~む。そこをツッコンだら、負けだ)


 ローガン卿はお願いを切り出す。

「へ、陛下、お願いがあるのじゃ。ケイちゃんにオモチャを買う権利が欲しいのじゃ。ジィジ大好きと言われたいのじゃ」


「うむ?」

 陛下は、さっと見渡すと、子供を抱いている乳母と、ソフィを見つけた。

 なるほど、一番、年若いひ孫にオモチャを買い与えたいといったところか。


「ローガンよ。それは、ご両親の考えによるべきものだ。王命で強制は出来ない」


「そ、そんなーーーーー」


「だが、しかし、王命で、知育玩具を贈ろう。ローガンから、ひ孫に贈ってやるがよい」


 ローガンはガクンと膝を落した。


 ・・・最近の子はそれで、喜ぶのかのう。


「ローガン爺さんや、あたしのひ孫はのう。積み木、喜んでおったぞい」

 とお茶友達のアンリ婆さんは慰める。


「そ・・そうかの」


(ポッ)


「ええ、学習用具とか、知育玩具なら、いいかも・・」

 ソフィは同意した。


 この同意を受けて。

 王命で、孫、ひ孫に、知育玩具を贈らせる権利を祖父に与えることはセーフとの前例が出来た。



最後までお読み頂き有難うございました。

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