第五話【格好つけさせろよ】
真人とともに黒江は逃走してなんだかんだで4分が経過。
あと3分でカレンのアレな薬の効果は切れる。なんとかなりそうだと黒江は胸をなでおろした、が、たどり着いたのは行き止まり、ドアがあるが、鍵が掛かっている。
「へ、どうしよう真人! このドア開かないよ!」
「任せろっ! こういう時の風紀アイテムだ!」
真人はポケットからなにやら細い針金を2つ取り出し、鍵穴の中にいれ……
ガチャリ、ドアが開いてしまった。
「必殺! 風紀鍵開けだっ!」
またもや自信満々に胸を張っていう真人に向かって、黒江は思わず全力で突っ込んでいた。
「風紀委員がピッキングするなぁぁぁあああああ!!」
その声は学校全体に響き渡り、色魔化したクラスメイト及び先生にも届いてしまっていた。地響きとともに、彼らが迫ってくる音がする。残り時間を確認すると、あと、1分!
マズイ! このままだとぎりぎりアウトになってしまう!
動揺している黒江の腕をとり、真人はドアの向こうに突っぱねてドアを閉めた。
「残りあと一分。俺がここで死守する」
黒江は慌ててドアを開けようとするが、ドアは開かない。真人がドアを押さえつけていた。
「なに考えてるのよ! 皆は今我を失っているのよ!? あの人数とやり合って無事ですむと思ってるの?!」
ドアの向こうで、真人が笑う声が聞こえ、黒江は余計焦った。まさかヤケになったのではないのか。
「バカヤロウ。俺を誰だと思ってる。俺は天下の風紀委員長。東条真人だぞ? 女の一人や二人、守れないでなにが風紀委員長だ。いいからお前はそこで待っていろ」
狂人と化したクラスメイトたちの怒号が近づく。ドアは固く閉じられている。クラスメイトたちの怒号で大気が揺れる。今逃げないと、大変な事になる。
「は、早くこのドアを開けなさい! 格好つけてるんじゃないわよ!」
今までのおちゃらけていた声から一転して、真人はぼそっと真面目な声で、確かにこう言った。
「格好つけさせろよ。好きな女の前でくらいな」
その後、ぅオラァ!! という掛け声とともに、真人がクラスメイトたちの中に飛び込んでいった音が聞こえ、まるで交通事故のような衝突音が鳴り響いた。黒江は、あまりの超展開すぎる告白に、硬着せざるをえなかった。
前作ではブクマ、評価いただき誠にありがとうございました!ものすごく元気と勇気をもらえました。これからも精進するので応援を宜しくお願いします!具体的に言うと評価とブクマとか。評価とブクマとか。あとコメントとか……宜しくお願いします!(ゴリ押し