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物語は始まったばかり

 ――生田は全てを言い切る前に、虚空へと消えた。

 後には何も残らない。彼の残像を手でなぞりながら、私はただ呆然と立ち尽くしていた。


 後日、渡部はしっかりと処分を受け、少年院に送られた。森原も罪は軽いが同様だ。


 そうして全てが片付いた今も、私は生田のことが忘れられない。

 成仏したと知っているのに、今でも彼がすぐそこにいるような、そんな気がしてしまうのだ。


 そして、心の大穴を抱えたままで、高校の帰り道を歩いていたある日のこと。

 そこに、明らかに異様な影を見つけた。


 片腕のない、全身血まみれの幼女。六歳くらいだろうか。

 どう見ても生者ではない。

 彼女は丸い瞳をこちらへ向けると、可愛らしい声で話しかけてきた。


「おねえちゃん、わたし、まいごになっちゃったんだけど……」


 人ならざるものたちは、私に落ち込む隙間も与えてくれないようだった。


 また面倒ごとになるのか。そう思う反面、私は何の躊躇いもなく、女の子に歩み寄っていった。


「どうしたの? 私に手伝えることなら協力するわ」


 自分の頬に笑みが浮かんでいることを、私は気づかない。

 新たな物語が幕を開ける予感がした。

 面白い! 続きを読みたい! など思っていただけましたら、ブックマークや評価をしてくださると作者がとっても喜びます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 生田くん成仏できて良かったです。 振られたからって生田くんを突き落とした子、ひどい。自殺ってことにしちゃうなんて。°(°´꒳`°)°。 失った寂しさを抱えてもまたさまよえる魂に声をかける妖…
[良い点] うー、生田にはこれで良かったかもしれないけど、妖魅、切ないっ! [気になる点] 妖を魅了するーー 妖魅の霊視(?)は、言霊の呪いだなー。 両親、しれっとしてるが、なんか命名のとき憑依され…
[一言] 成仏させると、大切な存在が消えてしまうと承知の上で行動している……そんな己の心と矛盾する行動に、意味を持たせ続けるためには、もう、死者と向き合い続けるしか、ないじゃないか(´;ω;`)
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