物語は始まったばかり
――生田は全てを言い切る前に、虚空へと消えた。
後には何も残らない。彼の残像を手でなぞりながら、私はただ呆然と立ち尽くしていた。
後日、渡部はしっかりと処分を受け、少年院に送られた。森原も罪は軽いが同様だ。
そうして全てが片付いた今も、私は生田のことが忘れられない。
成仏したと知っているのに、今でも彼がすぐそこにいるような、そんな気がしてしまうのだ。
そして、心の大穴を抱えたままで、高校の帰り道を歩いていたある日のこと。
そこに、明らかに異様な影を見つけた。
片腕のない、全身血まみれの幼女。六歳くらいだろうか。
どう見ても生者ではない。
彼女は丸い瞳をこちらへ向けると、可愛らしい声で話しかけてきた。
「おねえちゃん、わたし、まいごになっちゃったんだけど……」
人ならざるものたちは、私に落ち込む隙間も与えてくれないようだった。
また面倒ごとになるのか。そう思う反面、私は何の躊躇いもなく、女の子に歩み寄っていった。
「どうしたの? 私に手伝えることなら協力するわ」
自分の頬に笑みが浮かんでいることを、私は気づかない。
新たな物語が幕を開ける予感がした。
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