霊能力者はどこにいる
『まもなく、着陸いたします……』
窓の外に見える景色が、ゆっくりと変わっていく。
白い雲の中を突き進んでいたのが、下降し、雲の下になった。
そのままどんどん機体が前方に傾いて、海が見えてくる。そして、飛行機は無事に着陸した。
「はぁ、疲れた……」
幸い、飛行機酔いすることもなく着けた。意外に心配していた点であったので、少し安心する。
「――――」
飛行機から降りた私は、空港の構内へ。
荷物を受け取り、色々な手続きを済ませると、空港を出る。
そして、初めての外国の街に、驚愕させられた。
あたり一面、日本とはまるで違う風景だった。
歩いている人はみんな独特な服を着ていたりするし、大抵の人が金髪だったり茶髪だったり。意味のわからない言葉を喋っているし、まるで異世界に迷い込んだような、そんな感覚だ。
「不思議なものね……。本当は案内人を雇った方がいいのだろうけど」
案内サービスに頼れば楽ちんだ。
でも私はその手を取らなかった。これから、『100%の霊能力者』と呼ばれる人物の元へ向かうのに、部外者を連れて行きたくはなかった。
なので、拙い英語力だけでこの地を生き抜かねばならない。幸い、日本よりは英語が通じる国らしいし。
ともかく今日はホテルにでも泊まって、明日、目的の人物に会いに行かなくては。
△▼△▼△
――翌朝。
初めての外国、初めてのホテル。色々慣れないことはあったものの、問題なく過ごすことができた。
そしてホテルを出ると、早速行動を開始する。
「もたもたしている時間はないもの」
せっかくなら観光旅行に行きたいが、そんな余裕はないのだ。
スマホと英語を駆使しながら、霊能力者の家を探したが、なかなか見つからない。
その霊能力者は、突然ふらりと現れて、霊的な問題を解決してしまうのだとか。だから、定住場所はわからず、『この国のどこかにいる』それだけが伝わっているらしい。
「これはなかなかに骨が折れそうだわ」
私は大きくため息を漏らし、呟く。
そのまましばらくは風変わりな街の様子を眺めながら、彼を探し続けた。
△▼△▼△
時刻はもう昼時が近いが、まだ見つかっていなかった。
この分では、とうとう見つからずただの無駄足、なんてことになりはしないか。そんな不安が胸を襲い始める。
今、私は暗い路地裏的な場所にいた。
日本でもそうだが、こういうところには人ならざるものがたくさん存在する。日本では見かけない変な悪霊やらもののけが、そこら辺にごった返していた。
「ねえあなたたち、霊能力者の居場所を知らない?」
無駄だとは思いつつ、問いかけてみる。
すると悪霊はたちまちザワザワと音を立てて逃げていってしまった。
おそらく、私が常日頃から携帯するようになった、除霊の札のせいだろう。でもこれがないといざという時に困るし、手放すわけには行かないのだ。
「……せっかくここまで来たっていうのに。このまま見つけられなかったら何の意味もないわ。どうしたら――」
日本ではレイちゃんが、丘子が、メリーさんが、私の収穫を心待ちにしているのに。
「――そこのお嬢さん、少しいいかね?」
突然聞こえた声に、私は驚いて振り返った。
するとそこには、白髪長身の、一人の老人が立っていたのである。
「誰?」
日本語で問いかけると、男性は首を傾げた。そうだ、通じないんだったと思い出し、すぐさま英語に変更。
すると老人は薄く笑い、
「ワタクシはそう、神のご意志を受ける者。ディルと、そうお呼びください」
『100%の霊能力者』――またの名を、ディル。
目の前の老人こそが彼本人なのだと悟り、私は声も出なかった。




