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人ならざるものに愛を寄せて  作者: 柴野いずみ@『悪女エメリィの逆転劇』発売中
第七章 妖魅、妖怪根絶やし作戦に抗う
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負けられない戦い

 本当に抗えるのか?


 私は出発の準備をしながら、ふとそんなことを考えていた。

 もちろん、あの妖怪根絶やし作戦についてのことだ。


 組織がどんな規模か知らない。五人くらいの少人数ならいいが、かなりの大規模の可能性もある。

 奥村少年の話には、「上」やら「お上」という言葉がよく出てきたので、上下関係があると伺えた。ということは、ある程度の人数はいるだろうと思う。


「はぁ……」


 私は、ごく平凡な女子高生だ。

 ちょっと背が低くて可愛いと言ってもいいくらいな容姿の、どこにでもいるような女子。ただ、人ならざるものが見えてしまうだけなのである。


 そんな私に、何がなし得るというのだろう?


 生田を救い、レイちゃんを助け、メリーさんを救い、他のたくさんのもののけたちの力になり……。

 だからと言って、いい気になってしまっているような気がした。一つの怪異や幽霊と向き合うならともかく、相手は同じ霊視のできる人間たち。


 勝てるような気はしなかった。


「丘子さんも高校一年生なんだもの。超人に見えても、やっぱり普通の女の子なんだわ……」


 彼女を残していって大丈夫だろうか、と私は本気で悩んでいた。

 実は最近、『監視者』がいる気がするのだ。


 ぼんやりと、本当のぼんやりと感じる気配。それが常に私のそばにいて見張っている。

 妄想だと笑いたかったけれど、恐らくそれは組織とやらの者に違いない。私たちは、ずっと監視されている。


 私がひとたび外国へ行ってしまえば、丘子が襲われる、なんてことはないだろうか。


 もしくはレイちゃんが危険な目に遭うことはないのか? 私たちを仲間に引きずり込もうとして、先方は卑怯な手を使ってもおかしくない。


 メリーさんのことも心配だ。もう二日も帰ってきていないが、まさか捕まってはいまいか。捕まっていたらそれは、彼女の死を意味する。


 頭の中で、不吉な考えがぐるぐると渦巻き出す。

 首を振って私は、それをなんとか振り払った。


「大丈夫。きっと大丈夫よ……。私は勝つために、行くんだもの」


 まだ全容も、相手も、わかってはいないが、これは確実に戦いになるのだ。

 一般人たちの中で人知れず、人ならざるものたちを殺す者たちと守る者たちの、負けられない戦い。


 私はごくりと唾を呑んで、覚悟を決める。


 スーツケースに服やらタオルやらを全て詰め終わった。私は大きく息を吐き、立ち上がる。


 今日旅立ち、帰ってくるのは三日後の予定だ。

 その間は何もありませんように、と、心から祈ることしかできないのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 負けられない戦いが、そこにある! というか監視……まさか入浴中とかもしてるんじゃなかろうな(ォィ
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