動き出す者たち
「ワタシ、妖怪たちに声をかけてみるわぁ。注意喚起はもちろんだけど、誰か協力してくれるかも知れないしねぇ」
……奥村との一件があって数日。
メリーさんは早速、知り合いの妖怪たちに声をかけるため、出て行くことになった。
「みっちゃんにはぁ、ちょっとしたお出かけとでも伝えておいてねぇ。心配させたくないからぁ」
「うん、わかった。メリーさん、きをつけてね!」
△▼△▼△
一方の丘子は、ばっちりお札を買い揃えていた。
「これが除霊の札で、こっちが霊火の札、霊氷の札。そしてこっちが霊を呼ぶ札です。……これでばっちりです」
他のはともかく、霊を呼ぶ札に関しては初めて見たので、私はそんなものもあるのかと驚いた。
「いい霊を呼び寄せるためのものです。いざとなったら、強い霊に出てきてもらって、戦っていただきます!」
一方レイちゃんはと言うと、幼いながらに神社にお参りに行ったりして、色々とお願い事をしてくれたらしい。
「何をお願いしたの?」と言うと、「わたしもおねえちゃんもおねえちゃんたちのだいすきなおばけも、みんなしあわせになれるように」らしい。
――レイちゃん、可愛い。可愛すぎる。
それで私は、協力者を探していた。
今回のことで、霊視できる人間が少なからずいるのだと知れた。その多くが例の『組織』側についているのかも知れないが、きっとそうではない人間もいるはず。そう思い調べていたところ、出てきた。
『100%の霊能力者』。
そんな大それた宣伝文句をつけられていたのは、欧州に暮らす一人の男。
その男は、あらゆる霊的な事件を解決することで有名であるらしい。だから私は、男が霊能力者なのではないか、と狙いを定めたわけである。
でも彼がいるのは外国で簡単に行ける場所ではなかった。しかし電話などで話したところで何がわかるだろうか。やはり、実際に会ってみなくてはならない。
――そして私は一週間の休学を決めた。
お母さんに外国旅行へ行かせてほしいとおねだりをしたのだ。当然詳しい事情までは話せないが、なんとか納得してくれたようだった。
「あなたが行きたいなら行きなさい。でも、できるだけ早く帰ってくるのよ」
高校には「急な事情ができた」ということにして、休学。
もちろん欠席ということになるし、休学分の勉強などはあるだろうが……、幸い勉強が苦手な方ではないし大丈夫だ。なんとかやれるはず。
「今が頑張り時よ。奮起するしかないわ」
△▼△▼△
少年――奥村は、あれからすぐにお上へ彼女らのことを言いつけた。
本当にあいつらはどうかしている、と彼は思う。幼い頃から、『見えて』しまうもののけたちに怯えて生きてきた彼にとって、それを愛するなどというのは理解し難いことだったからだ。
「あいつらはお上が見張るんだし別に俺の仕事じゃないしから、考える必要はないか。とにかく大物を殺らねえと」
小物はいくらでも見つかるが、大物はなかなかに難しい。
それにしても、あの人形を逃したのは痛手だった。あれはかなりの大物だと思ったが、霊視能力者二人に阻まれては、なかなか手が出せない。
「それにあの女、存外強かったしな」
蹴りの一つで昏倒させられてしまった苦い思い出が蘇る。
奥村は、中学生にしては体格は小さい方だ。だから彼女にすら負けたのだろう。
「まあいいさ。俺は、ただ狩り尽くしていくだけなんだからな」
もののけを探して、少年は街を徘徊し続けるのだった……。




