相談所は意外に多忙なようです
ろくろ首、幽霊、それから物に宿ったもののけに至るまで……。
それからも様々な人ならざるものたちが私たちの相談所を訪ねてきていた。
大抵それに目を輝かせて対応するのは丘子だけれど、私もたまには前に出て、彼らの手助けをしたりもする。
一銭にもならない、ある意味時間の無駄とも言える仕事。でも私は、それがとても楽しかった。
もののけたちの安心したような顔、笑顔、感謝の言葉などをもらえるだけで、嬉しい。それだけでまた力になりたいと思うのだ。
「ほらぁ、やっぱり妖魅さんはそういう星の元に生まれた人なのよぉ、きっとねぇ」
「確かに、メリーさんの言う通りなのかも知れないわね」
生田に出会ったことで、私の人生は大きく変わったと思う。
あれほど彼に恋していなければ、今の自分はなかった。けれどこれは運命で、そのために私は生まれてきたのかもなんて最近思う。
私のおかげで生田は成仏でき、レイちゃんは助かり、メリーさんも探し人と会えて、他の大勢の妖怪たちも救われた。
結果としては、まあまあ上等ではないだろうか?
「妖魅ちゃんはいいですよね、ただの人助け? 妖怪助けなんですから。あたしは最恐の都市伝説を求めてるっていうのに、全然怖いのが現れないじゃないですかっ!」
「きっとそのうち会えるわよ。実際、すでにいくつかの都市伝説とは知り合えたでしょう?」
「まあ、そうですけど」
丘子は貪欲で、ちょっとやそっとのホラー体験では気が済まないらしい。
いくつか、恐ろしい都市伝説をお札で成仏させるような仕事もあったのだが、それでも彼女は満足しなかった。私としてはもう怖くて怖くて、悲鳴を上げまくりだったというのに……。
「おねえちゃんたち、おきゃくさん、きたよ」
そんなことを話している最中、レイちゃんが私たちを呼びにきた。
私も丘子もメリーさんも、慌てて戸口へ急ぐ。するとそこには、一台の車が止まっていた。
運転席から顔を覗かせるのは、一人の老人である。
「おかしいっ。ここはどこなんだ、冥界か?」
「いいえ、冥界じゃありません! ここはもののけ相談所、何かお困りごとでも?」
「この車のカーナビが、さっきからおかしい。突然変な道を教えては、俺を殺そうとするんだ!」
丘子が、好奇の色に目を光らせるのを、私は見た。
また新たな都市伝説との勝負になるに違いない。そう直感し、唇を噛む。
私たちは老人を中へ招き入れた。
その後、『呪いのカーナビ』と呼ばれる怪異に殺されそうになったり色々大変だったのだが、それは割愛するとしようか。
――何はともあれ、こうして、もののけ相談所の意外に忙しい日々は続いていくのである。




