レイちゃんを抱きしめて
眠っていた少女の瞼がゆっくりと開く。
最初は戸惑うように、あたりを見回して。
やがて私の姿を発見すると、彼女は声を上げた。
「おねえちゃん、もどれたよ」
△▼△▼△
――翌日、レイちゃんは無事退院した。
危篤状態からのあまりの回復の速さに、医者たちは驚いていたものだ。最先端の医学でもわからないオカルト的な治療法だったので、彼らの理にかなわないのも当然だろう。
晴れて人間に戻ったレイちゃんは、なんと私の家で暮らすことになった。
……まあ、そこら辺は私が必死で警察やら役所やら母親やらと相談して決めたことなのだけれど。
余談だが、ツトムくんの家には結局お礼は茶菓子だけでいいことになった。
少年の話はこの事件――事件か?――の解決にとても役立ったので、感謝しかない。
たまには彼も遊びに来たりして、その都度ワイワイ楽しんでいる。
少し逸れてしまった、話を戻そう。
レイちゃんは私の妹になることをとても喜んでくれた。また家族ができるのだから、それはそれは嬉しいだろう。
私はレイちゃんといられて幸せだ。出会った瞬間、何かビビッとくるものがあったし、また離れ離れにならなくて済んだから、というのもある。
一度愛してしまったのだ、これからはこの子を大事にしよう。
レイちゃんの体をそっと抱きしめながら、私はそう誓うのだった。
この後、人ならざるものたちとの事件が次々に巻き起こるだなんて、この時の私は知らない。
レイちゃんの幽霊事件は、こうして幕を下ろした。