真相
「……事故、だったんだ」
ツトムくんは語る。
「ぼくとレイは幼馴染で、三歳の時から一緒だった。お互いに好きだったし、一番の友達だったよ。でも、」
彼は今にも泣きそうな顔になった。
「昨日の夕方、レイはお母さんと買い物に行って帰ってこなかったんだ。ぼくは心配だったけど、ぼくのママに気にするなって言われて忘れたんだよ。
それでも次の朝、レイは帰ってこなくて。代わりに朝起きたら騒ぎになってた。ママに聞いたら、レイたちは昨日、事故に遭ったんだって」
案の定、ではあった。
痴漢魔か物盗りかと考えていたが、確かに一番可能性が高いのは交通事故だ。
「轢き逃げ? されたんだって。悪い人はすぐ捕まったけど、ダメだった。
レイのお母さんは事故のすぐ後に死んで、レイも大怪我したって。病院に連れて行かれたけど、明日には……」
とうとう泣き出してしまった。
「明日には、死んじゃうんだって。うぁ、ぁ、あぁぁん」
大泣きするツトムくんの頭を撫で、私は言った。
「ありがとう。でもまだ諦めちゃダメよ」
「え……」
「まだ、希望はある」
△▼△▼△
「どうしてツトムくんにむしされちゃったんだろう?」
わたしはふしぎでふしぎでしかたなかった。
だってそうでしょ? ツトムくんだけじゃない、まちのひとたちみんなそうなんだもん。
もしかしてわたしがちまみれだから、こわがられてるのかな?
そもそもどうしてちまみれだったのか、ぜんぜんおぼえてない。おかあさんはいつむかえにきてくれるのかな。
おかあさんのかおがまぶたのうらにうかぶ。なんだかなみだがでちゃいそう。
とってもきぶんがヘンテコリン。
からだがふわふわしてるんだ。こんなにちまみれなのにちっともいたくない。
ものにさわってもなにもさわってないみたい。わたしのなかで『ヘン』ってかんじだけがぐるぐるしてた。
そこへ、
「おねえちゃん!」
ツトムくんとおはなししてたおねえちゃんがもどってきてくれた。
そのかおはまんめんのえがおで、わたしまでうれしくなっちゃう。
「レイちゃん。私、ツトムくんから色々と聞いてきたの。辛いかも知れないけど、説明していい?」
「うん。いいよ」
「なら言うわ。――あなたとあなたのお母さんは」