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私のガラスの靴を忘れないで  作者: 雨上がり
1/10

Cette beauté

雨羽八年。

(やい)、さっさと服を片付けなさい!」

「刃、アフタヌーンティーは?」

「刃、使い切った化粧品買ってくれた?」

六花王政が支配してるこの国は、八年前現代国王が継承した以来、今までのない豊かになった。

「伊吹お姉さま、服ならすでにアイロンかけて、クロゼットに置きました。アフタヌーンティーは机にありまして、蓮華お姉様が着席次第ですぐ紅茶を淹れます。パルフィお姉様もご安心ください、化粧品はすでに鏡台のところに置きました。」

当時二十八歳の現代国王はまだ若いが、政治に関する実力を持ち、ゆるいだった王政を整った。

「そういえば蓮華、その宴はいつのことかしら?」

「来週の木曜日ですよ、お姉様。」

「でしたら、新しい香水を買わなくちゃ。」

「お姉様!私も一緒に行きたいです!」

「それはいけませんよ、パルフィ。」

「え...!」

そして、今年三十六歳の国王は、二人の王子と、二人の姫がある。

今回の宴は一番上の姫の誕生日祝うために開催したのだが、二人の王子の嫁を探す目的もあるという。

「私はもうひとつ、ドレスを注文するかしら。」

「蓮華はまたあの店に?」

「そこのドレスは全部手作りで、なかなかいい品質ですし、こんな大事な日にぴったりです。」

王子の嫁候補、あるいは、姫の夫候補に目指し、人々はそれぞれの知恵を尽くし、今回の宴に挑む。

「刃!なんとかして!お姉様たちに負けるわけにはいけませんの。」

「はい...!飾りならどうでしょ?」

「それです!あの有名なお店に新しい宝石があったみたい、私に相応しくないか、早く確かめなくちゃ!」

「すぐお姉様たちに車を用意します。」

しかし、刃にとって、それはどうでもいいこと。

「刃、私たちが出かける間に、洗ってもらった服を取りに行ってきなさい。」

「わかりました、お姉様。」


専門の美容師に処理してもらえない長い髪を少し整理して、刃はこのまま出かけた。

彼女が行く店は、香水やドレス、飾りの店よりもずっと遠いが、彼女だけは車に乗れない。

それが彼女の定め。

「町中騒がしいですね...?」

みんなは宴のために色んな準備をしているが、今日みたいに騒がしくはなかった。

「何かイベントでもあるのかしら...?」

例えそうだとしても、刃は自分に参加する資格がないとわかっている。

だが、途中でチラッと見ることくらいはいいかな?

刃はそう思った。

しかじ、人混みからあの姿を覗けた瞬間、彼女は固まった。

あの人の顔は見えないが、彼女のドレスは刃の姉たちのどのドレスよりもずっと眩しかった。

飾りも輝いて、少し距離があるのにも関わらず、微かに匂える淡い花の香り。

「...!」

「まだ若いが、さすが二番目の姫様ですね。」

人たちの言葉を聞いて、刃は改めてあの人を見つめる。

彼女が噂の、二番目の姫様か?


「殿下、こちらへ。」

刃の後ろから、一つ穏やかな男性な声がして、彼女の集中力を取り戻した。

この声はとても普通だったが、刃が気になるのは、彼の言い方。

殿下。

王族の人にしか使えない、最高に尊い言葉。

「...?」

刃は後ろに振り向いて、声の持ち主を確定した。

彼の目線に追った刃は、次の瞬間で、さらに強いショックを受けた。

彼が見つめてるのは、刃と同い年、あるいはもっと若い少女だった。

彼女がごく普通なドレスを纏い、髪型もよく被るタイプだった。

メイクにも、飾り物にも、香水にも、特別なもの何一つなかったのに。

なぜ、なぜ…

目が離せないのか?

「...!」

刃の目線に気を付けて、少女は緊張しながら、刃と目を合わせた。

隣にいる男性は刃の存在に気付き、一歩近付きたいところだったが、少女が目線で止めさせた。

「知り合い…でした?」

「...!あ!違うんです!ただ...目が離せませんでした。」

「ありがとうございます。」

「見つめててすみません、先に失礼します。」

慌てて現場から逃げ出したが、刃の脳内で、少女の姿は消えなかった。

囲まれてる姫と違って、少女は余計な飾り物何一つもなかったが、汚れさせない強い雰囲気があった。

「ずみません!服をもらいにきました!」

「刃ちゃんか。ドレス三つですよね。」

「あと白いスーツひとつあります。」

刃はオーナーの後ろに指さして、笑って言う。

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