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判決

「判決。電離分子高周波刀は第五中隊へと支給する」

「はい、ありがとうございます」

「あーあ、今回も負けちゃったわ。でもサク、次は負けないわよ」

「うん」


 ナミカちゃんは満足げにウィンクをしてきたので、僕も笑顔で返した。


「また、各種弾薬は防衛戦を張る第一中隊に二四パーセント。第二第三第四中隊には二二パーセント。残る一〇パーセントを第五中隊に支給する」


 まぁ弾薬は前回の余りもあるし、作戦上、一〇パーセント貰えば足りるか。

 甲冑の修理パーツは前回の被害に合わせて公平に分配されて、僕は今回の裁判結果に胸をなでおろした。


「あっ」


 急にナミカちゃんが声を上げて、僕に申し訳なさそうな顔をする。


「あの、ごめんサク、実は」

「?」


 意味が解らず僕が首を傾げると、最後に裁判長が告げた。


「また、反粒子一〇〇〇ミリグラムは、第一中隊に三〇〇ミリグラム、第二第三第四中隊に二〇〇ミリグラム、第五中隊には一〇〇ミリグラム支給する」


 え?


 僕は言葉が出無かった。たった一〇〇ミリグラム? なんで? だって僕らはフィリディーナ少将と……


「二階堂ナミカ交渉人の言う通り、第五中隊と他の隊とでは戦闘時間に差があり過ぎます。その他の事も考慮して、今回は新兵器を第五中隊に支給する代わりに、第一中隊には反粒子を多く支給しました」


 そこで気付かされた。今にして思えば、ナミカちゃんは電離分子高周波刀を要求する時、ところどころで自分達は戦闘時間が長い、という事を盛り込んでいた。でもその後すぐにまた山本清三曹長の凄さアピールを僕にしてきて、つい僕は山本清三VSセツラ隊長のつもりで、戦闘時間に関する論破を忘れていた。


 まずい。


 今回は最初から巨神甲冑に乗って移動しなきゃいけないのに、反粒子が前回の残りとたった一〇〇ミリグラムじゃ……最大出力で何分戦えるか。


 ナミカちゃんは取り返しのつかないことをしてしまった、とでも言うように表情を強張らせて、僕を見つめる。


 今更裁判結果は覆せない。


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