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地上最強の生物

「じゃ、今日も訓練始めますか」


 その頃、桐生セツラはジャージ姿で、白くて広く、やたらと天井の高い部屋にいた。今、この訓練室には、訓練用の対人兵器が一〇〇体以上用意されている。


 普通は一対一で戦うが、セツラは一〇〇体用意させた。


 部屋の端には天道流刀剣道十段、天道ウサミがプラズマバリアー越しにセツラを観察する。


 身長二メートル程の人型ロボットは、各部位に衝撃センサーが内蔵されている。ここが殺傷力のある衝撃を検知すると、その部位の活動を止めるし、死に至ると判断されたら、全身の機能が止まる。


 対人兵器なので、当然その戦闘力は人間の限界値を越え――


「うおっしゃぁあああああああ!」


 セツラの回し蹴りで、ロボット三体の頭が吹っ飛んだ。


 一〇〇体のロボットが次々セツラに襲い掛かって来るが、衝撃センサーは意味が無い。


 セツラの拳がロボットを貫く。

 セツラの蹴りがロボットを両断する。

 セツラの肘がロボットを穿つ。

 セツラの膝がロボットを砕く。


 ロボット軍団は、構造上の問題で自動的に機能停止、というよりも、撃破されていく。


 嵐のように軍勢の中を暴れ回り、縦横無尽にロボット達を蹂躙するセツラ。


 彼の手足が、特殊合金でできたロボット達の体を紙切れのように引き裂いていった。


 握力計を潰した手が、機械の首を握りつぶす。


 一〇〇メートルを一〇秒未満で走る足が、距離を取ったロボットに一瞬で追い付く。


 背筋力計を千切った背筋力の力が乗った拳が、機械の装甲を破る。


 一度の跳躍で一〇メートルも移動して、他のロボットの前に瞬間移動。


 腹に掌底を叩きこむと、背後のロボット達もまとめて吹き飛んだ。


 この時、セツラには全てのロボットの動きが未来に至るまで見えていた。いや、感じられていた。


 空間と調和できるセツラにとって、視力や聴力こそが補助的な感覚に過ぎないのだから。


 ロボットの残骸が広がると、新たな一〇〇体が刀を手に襲い掛かって来る。


 セツラは落ち着き払って、手刀で横薙ぎ一閃。金属製の刀は全て刀身の根元から切断。


 空手のビン抜き以上に滑らかな切断面だった。


「もらうぜ」


 一体のロボットの手首を蹴りで切断。宙に舞った刀を掴み取れば、さっきの焼き直しだ。


 一本の刀を神速で操りながら、セツラは全身に刃を台風をまといながら疾走。


 進行方向上全てのロボットをなますにしていった。


 最後の一人の胴体をはねると、銃を持った最後の一〇〇体が進軍。銃を構える連中に、セツラはロボットの残骸を投げつけた。


 大砲の弾のようにカッ飛ぶ残骸の直撃を受けて、隊列が乱れる。


 残骸の陰に隠れて接近したセツラは銃を奪うと、目にも止まらぬ早撃ちで全員の脳天を撃ち抜いて行く。


 三〇〇の対人兵器を殺して、セツラは腑に落ちない顔で佇んだ。


「同情しますセツラ。貴方程生まれる時代を間違えた人はいないでしょう」


 ウサミは視線を落として、下唇を噛んだ。


「今の時代では、どれ程の超人体質に生まれても、戦いは軍事甲冑や巨神甲冑が主体。貴方の神がかった力を発揮できる場は……」

「何を言っているんだよウサミ。俺程生まれる時代で当たりを引いた奴はいないぜ」

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