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水着回と武器解説

「いいかサク。三日後の兵站裁判では、なんとしても巨神甲冑用電離分子高周波刀(プラズマ・ヴァイブロ・ブレード)を手に入れるのだ」


 第五中隊の後方支援を担当する僕らは、セツラ大尉同様、イオニア海の海上基地に引っ越した。


 地中海の温かな気候とまぶしい太陽の下のせいか、


「セツキ先輩。それよりその格好は」

「水着だが何か?」


 右足にギプスをはめる先輩は、真っ赤なビキニを着ていた。


 一緒に病室へ来ていたルイちゃんは青いモノキニ、というビキニのブラとパンティが細い布で繋がっている水着姿のままいつも通り光学キーボードを叩きながら投影画面を眺めている。今度はどこにハッキングしているんだろう?


 サエコちゃんは白いチューブトップの水着で、胸元には大きなリボンがあしらわれている。僕は前にセツキ先輩が『チューブトップは胸を隠せるから貧乳に似合う』と言っていたのを思い出す。


 サエコちゃん……


 僕はとっても悲しい気持ちになった。


 ついサエコちゃんのつつましい胸を、ルイちゃんのわがままバストと比べてしまうけど、でもやっぱり、僕の目はつい、セツキ先輩へと向いてしまった。


「…………」


 大きい。ルイちゃんより大きい。


 ブラからこぼれそうなバストから視線をはずすと、セツキ先輩は僕の頭をつかんで、自分の方を向かせる。


「お前は私の彼氏なのだから好きなだけ見るがよい」

「は、はい!」


 僕はその場でシャキーンと背筋を伸ばした。


「それで先輩。その電離分子高周波刀って、そんなに重要ななんですか?」

「その通りだ。サク、高周波刀(ヴァイブロ・ブレード)電離分子剣(プラズマ・ソード)を比較して特徴をそれぞれ言ってみろ」


 僕は後方支援だけど、交渉人補佐官として、武器の特性は一応知っている。


「えーっと、高周波刀は物理刃を高周波で高速振動させて、対象を切断する武器です。物理刃で斬るので、刃先にしか攻撃力がない代わりに、装備者の剣術の技量で威力が上がります。普通は両刃の剣ですが、日本だけは片刃にしか攻撃力が無い代わりにより威力が高い日本刀タイプを採用しています」


「では電離分子剣は?」


「電離分子剣はグリップ部分だけど、刀身は超高温のプラズマで形成されます。触れさえすれば対象を焼き切れるので刃先以外にも、刀身全てに攻撃力があります。そのかわり威力は出力頼みで、装備者の剣術の技量は威力に関係ありません。現在、剣の素人は電離分子剣を、玄人は高周波刀を使う傾向があるようです」


「その通りだ。ではその二つを合わせた電離分子高周波刀はどのような武器だ」


「それはもちろん、高周波の刀身をプラズマで覆うわけですから。刀身に触れさえすればどこでも焼き切れますし、物理刃の刃先を向ければ、対象をプラズマで熱してから物理刃が当たって威力は抜群です。ただし消費エネルギーの高さがネックですね」

「そうだ。それに技術的にも実戦レベルの出力と耐久性、エネルギー消費効率などが難しく、巨神甲冑サイズの電離分子高周波刀の製造は難航していた」


 ルイちゃんが付け加えるように、


「それにただでさえ燃費の悪い巨神甲冑ですから。そこへさらに燃費の悪い電離分子高周波刀なんて悪夢なのですよ」


「うむ、しかし今回、試作品として小型の陽電子炉を搭載させ、反粒子を使うことで必殺技を使えるよう作られた夢の名刀が生まれたのだ。それが是非欲しい」


 セツキ先輩は指をあごに添えて、きらーんと目を光らせる。


 『欲しい』の部分が強調されて、なんだか子供っぽく感じて先輩が可愛く見える。


「サク様。今回セツキ様のお兄様であらせられるセツラ様はギリシャの英雄、フィリディーナ女史との一騎打ちが決まっております」


「フィリディーナ? 言いにくい名前だね。サエコちゃん、その人って強いの?」

「強さの基準は解りませんが、専用巨神甲冑オデュッセウスで日本軍の巨神甲冑部隊八〇機を一人で半数以上撃破しました」

「つよッ!?」


 僕が悲鳴をあげると、ルイちゃんが眠そうな顔で補足する。


「あー、あと本人も強くて槍一本で素手でトラを殺したとか叫んだだけでライオンが逃げたとか、睨んだだけで捕虜一〇〇人が気絶したなんて逸話もあるのですよぉ」

「それ人間!?」

「ふんだっ、あたしのお兄ちゃんなら素手でアフリカ象を殺せるわ!」

「いや、それは無理ですよ!」


 僕が鋭くツッコむと、先輩が襲い掛かって来た。


「あたしのお兄ちゃんをバカにするなぁ!」

「のわあああああああ!」


 先輩が自慢の爆乳で僕の顔を挟みこんで、そのまま僕を抱きしめながら身を揺すった。


「うりゃうりゃー、まいったかサク?」


 せせ、先輩の、胸が、胸が直接顔にぃ~!

 僕は頭の中で火薬庫が爆発。くらくらしながら、意識が遠ざかっていった。


「む? 気絶してしまったぞ?」

「流石サク様」

「セツキ殿。これは初夜にはまだまだかかりますですぞ」

  



電撃オンラインでインタビューを載せてもらいました。

https://dengekionline.com/articles/127533/

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