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第55話:この後どうしよう

タイトルが作者の心の声……ではないはず。


音のした方に走ると更に同じような死体がひとつふたつ。

どちらも旅人の服装に、それに剣を抜き放った姿で倒れていた。

それに流れてる血の量からして切られたのはついさっきだ。

私は気配探知を広域で展開した。

……いた。

人と思われる気配は5つ。

林のすぐ先ね。

急いで林を駆け抜ければ子供1人を囲むように4人の旅人風の男性が立っていた。

服装から見て4人組の方がこれまで見つけてきた死体の仲間なのだろう。

だけどそうするとあっちの子供がそれをやったってこと?

今は身体のあちこちから血を流して苦しそうにしてるけど。


「っ、誰だ!」


って、見つかった!?

極力気配は消していたつもりだったのに背後にいた私に気付くなんて。

誰何した人とその隣に立っていた人がこちらを見た。


ゾクッ!


これは殺気。

服装は特徴のない一般的なものだったけどこの殺気は尋常じゃない。

そもそも仲間が何人も殺られてるのに諦めてないことからしても彼らは堅気ではないのだろう。


「ちっ、やっと追い詰めたところだってのに面倒くせぇ」

「そうだな。面倒だが幸い一人のようだ。消せ」

「あいよ。じゃあそっちは任せるぜ」


そんな会話をした後にふらりとこちらに近づく男性。

やる気の無さそうな態度のその人は、その姿同様にやる気のない声で話しかけてきた。


「おいお嬢ちゃんや。

面倒だから全部見なかったことにしねぇか?」

「え?」

「今ならまだ何も見てない聞いてないってことで見逃してやってもいいぜ。

今すぐ回れ右して全部忘れてくれるなら命まで取る必要はねぇ」

「はぁ」


そういってだらりと剣を下げる男性。

本気なのだろうか。

確かに私はまだなにも事情を知らない。

町に戻ってありのままを誰かに話したとしたもまた盗賊が出たと思われるだけで動くことはないと思う。

でも。

ちらりと襲われている少年の方に視線を向けた、その瞬間。


「ふっ」

ギンッ!


不意を突いて襲い掛かってきた男性の剣をかろうじて受け止めた。


「ちっ、今のを受けるのか。面倒くせぇ。

もうちょっと油断しろっての」


やっぱり最初から逃がしてくれる気なんて無かったんだね。

どこにでもありふれた旅装束に対して持っている武器はかなりの上物。

仲間が殺られても落ちない士気。

訳ありっぽい子供を捕縛しようとしていること。

それらから考えられるのは賞金稼ぎ、ではないだろう。


「帝国の暗殺者?」

「ほう、なかなかに頭の回転が早いな。

なら残念だが死んでもらおうか」

「ぐっ」


鋭い殺気と、それ以上に鋭く速くて重い剣閃が私を襲う。

初撃は何とか防いだけど次はどうなるか。

何より相手は真っ当な剣士ではない。

男性はじっくり足を止めて切り結ぶことはせずに左右に動きながら死角からこちらを攻撃してきた。

足元から掬い上げるような一撃が来たかと思えば目線を切るような一閃が私を襲い、振り抜いたかと思えば蹴りが飛んでくる。


「ちっ、なかなか上手くよけるじゃねぇか」

「どうも」


軽口を叩きながらも攻撃は止まらない。

でも正直助かった。

幸い私は速くて手数が多くて嫌がらせのような攻撃には慣れている。

もしこれが正面から力押しされていたら受けきれなかったかもしれない。


「おい、なにをちんたらやってる!

そんなガキさっさと仕留めてこっちを手伝え!」


少年を囲んでいた方から檄が飛んできた。

ちらっと様子を見れば少年はどこから取り出したのか網を掛けられて簡単には逃げられないようになっているけれど、男達の方は少年に近づいたらしい1人が血を流して倒れ、残りの2人も手を出しあぐねているようだ。


「まったく難しいことを簡単に言ってくれるぜ。

お嬢ちゃんもそう思うだろ?」

「……そうだと良いですね」


軽口を言ってるようでその実、魔力が練り上げられているのが分かる。

これは多分今の私では受けきれないな。

威力もだけどこの人の攻撃の癖から考えてスピードも桁違いに上がるだろう。

なら。


「『雷纏』」


私も一気に魔力を全身に流し込み雷纏を発動させる。

ぐっ、いたたたっ。

慣れたとは言っても実戦レベルで使おうと思ったら反動もかなり強い。

それに今の私ではもって1分。1、2撃放出したら終わりだろう。

つまり初檄を防いで返す1撃で倒せないと負ける。


「おいおい。まさか雷纏(じめつまほう)使いかよ」


自滅魔法って。

まぁ言いたいことは分かるけど。


「引くなら見逃しますよ?」

「まったく少しは出来ると思ってたのにガッカリだ。

お嬢ちゃんこそ立ってるのがやっとなんじゃないか?」

「どうでしょう。試してみますか?」

「そうさな。って、ちょい待ち!」


突然慌てて横に跳ぶ男性。

そしてそれを追うように黒い暴風が吹き荒れた。


「ああアァアアアァぁっ!!」


叫び声は網に捕らわれていた少年から。

そして暴風もその少年が起こしていたようで、近くにいた2人は逃げる間もなく黒い風の刃に切り刻まれていた。

幸いここまでは距離があるから防げなくはない。


「くそっ。ここに来て暴走しやがったか。

悪いが俺は逃げる。生きてたらまた会おうぜ」


言うが早いか私と対峙していた男性は全速力で逃げ去ってしまった。

残された私はひとまず雷纏を解きつつ距離を取って対策を考える。

以前レムスが暴走した時はジンさんが魔法を安定させることで鎮めていた。

でも残念ながら私は風の魔法は得意じゃないしあれに近付くのは身体強化を最大にしても無傷とは行かないかもしれない。

って。


「ア……」


私と目があった瞬間にぱたりと倒れてしまった。

これは私がどうこうと言うよりも魔力切れかな。

それはともかく、この後どうしよう。



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