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第37話:色々用意してくれたらしい

おはようございます!

遂に今日から雷撃魔法を教えて貰えるということで朝から気合いが入る私。

挨拶の声も3割増しです。って、ちょっと現金かな。

朝食の毒草サラダももりもりと食べ、ってこれもいつもより3割増し何ですけど。


「予防医学って聞いたことあるだろ?」

「あ、ははは。はぁ」


確か病気になってから治療するのではなく、病気になる前に病気にならないようにする為に生活習慣を見直したり栄養のある食事を摂って抵抗力を高めておくんでしたっけ。

ただこのタイミングでそれを言うってことは、今日はそれだけハードって事なんですね。

食事を終えギルドに顔を出した後に向かったのはチョーネさんの衣装屋。

ここに来たという事は以前買った魔力循環の魔導着を新調しに来たのだろう。

前のは壊れてしまったし。


「いらっしゃい」

「頼んでいたAランクのはあるか?」

「ええ。さ、いらっしゃい」


既に話は通っていたららしく、すぐさま奥へと案内される私。

早速着替えるのかと思っていたらなぜかチョーネさんは何も持たずに私の方を向き直った。


「さて、彼が言うのだから大丈夫だとは思うのだけど、これも規則だから測定させてもらうわね」

「はい、お願いします」


前回の魔導着同様、水着のように体にフィットする服だろうから私の身体に合うか測るんだね。

と思ってたらチョーネさんは巻き尺などを取り出すでもなく両手の平を私に向けた。


「行くわよ」

「!」


チョーネさんの両手から私に向かって魔力が放たれた。

それを受けた私は突然室内にも関わらず突風に押されたような感覚を覚えた。でも、それだけ。


「気分はどう?」

「押されてる感覚はありますけど、気分は別に悪くなったりはしてません」

「そう。なら問題なさそうね」

「あの、これに一体何の意味が?」


私の問いに答えずにチョーネさんは奥の棚から厳重にロックがされた箱を取り出してきた。

鍵を刺して箱を開けると中からは白銀色の魔導着が出てきた。


「これがAランクの魔導着よ。

威力が高すぎるせいで一般の人が着たら死にかねないの。

だからさっきみたいに事前に魔力適性を測る必要があるのよ。

それにしても。たった半年足らずでどうやったらこれが着られるようになるのかしらね」


後半は若干ため息交じりに言いつつ私に魔導着を渡してチョーネさんは戻っていった。

ひとりになった私は改めて魔導着を見る。


「うーん。やっぱり水着かって言いたくなるデザインね」


まあ体内の魔力を漏らすことなく循環させるためには必要なことなんだろうけどね。

着替えてジンさん達の元に戻る。

ジンさんは私を上から下までざっと見渡して頷いた。


「問題ないようだな」

「はい」


問題ない事が確認できたら次はあれね。

前回Cランクの魔導着を着た時には立っているのもやっとだったけど今ならAランクのだって耐えてみせる。

そう意気込んでいたのだけど。

ジンさんは何もせずにふらっとチョーネさんを見て「あれも用意できているか?」なんて聞いている。


「あ、あれ?師匠。魔導着の魔力循環を起動するんじゃないんですか?」

「リーンにはもう必要ないだろ」


慌てて訊ねたらそう返された。

必要ないってどういうことだろう。

ただ問い直す前にチョーネさんが何かを持って戻って来た。

あれは短剣?


「はいこれね。まったくうちは武器屋じゃないのよ」

「悪いな」


短く謝りつつ受け取ったジンさんはそのまま鞘から抜き放った。

見た目は私が普段使っている短剣と大きく違いは無い。

と言っても私じゃ目利きは出来ないんだけど。

ジンさんも見るだけで特に試し切りとかはせずに鞘に仕舞うとそれを私に差し出した。


「今日からの修行にはこっちの短剣を使う。

実戦には今までの短剣も使うことになるだろうから当面は両方持っていてくれ。

詳しい説明は街を出てからだ」

「分かりました」


そうして私達は街の外の広場へとやってきた。

周囲には人も魔物も居ないので安心して修行に専念できそうだ。


「さて、まずは疑問に思っているだろうことを答えていくか。

その為にリーン。魔力循環を全魔力の9割で行ってみろ。出来たらそのまま全力疾走で100メートル向こうに行ってUターンして戻って来い」

「はい!」


私は軽く息を吐いて意識を整えると普段は5割程度で行っている魔力循環を一気に9割にまで引き上げた。

この状態だと全身から魔力が溢れそうになるのを抑えるのが大変だ。

更にこのまま全力疾走。

そう言えば最初の時は魔力循環、というか瞑想をしてたら動くことも出来なかったんだっけ。

でも今なら余裕だ。


「ふっ!」


循環させた魔力で身体強化を行えば、100メートルなんてあっという間だ。

ただこの状態でUターンすると地面を吹き飛ばしてしまいそうなので飛脚術で地面より数ミリ上空を蹴るようにしてターンしてジンさんの元に戻った。


「師匠。どうですか?」

「ああ、悪くないな。では魔導着を起動するぞ」


そうしてジンさんが私に手を向けた。

……けど、何も起きない。


「あの師匠。もしかしてこの魔導着、壊れてるんですか?」

「いや、魔導着は正常に動作している。

ただ単純にリーンの魔力循環が魔導着の流そうとする魔力量よりも多いから何も感じないだけだ。

試しに自分で流す魔力量を抑えてみろ」

「……あ、確かに8割より下げようとすると魔導着の力を感じますね」

「だろうな。今のリーンなら自力で魔力循環が出来るからわざわざ魔導着を動かす必要が無いんだ。

雷撃耐性については起動していなくても効果があるからな。

では続いて短剣についてだな。抜いてみろ」

「はい」


今日新たに渡された方の短剣を抜いてみた。

うーん、こうして間近で見ても特別な魔法剣とかではないと思うけど、何かあるんだよね。


「その剣の名称は『ライトニングエッジ』。

ものによっては魔力を流すだけで雷撃を纏うものもあるがそれは違う。

言ってしまえば雷撃魔法と親和性が高いだけの短剣だ。

普通の短剣だと魔力に耐えきれなくて折れたりするからな。それ対策だと考えればいい」

「なるほど」


要するに魔導着もこの短剣も雷撃魔法を習得するために用意してくれたものらしい。





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