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第23話:凄い隙だらけなんだけど

突然現れた騎士の一団は、私がちょうど休憩しているタイミングだったこともあって、あっという間に馬から降りて私達を囲んでしまった。


「この国で人身売買は禁止されている。

にも関わらず白昼堂々と少女を虐待して嘲笑うとは許せん奴だ」


いやジンさん嘲笑ってはいないけど。

虐待は、まぁ見た目から誤解されても仕方ない部分はあるかな。うん。

これに対してジンさんは盛大にため息をついた。

 

「はあ。最近の追い剥ぎは随分と手が込んでるんだな」

「なんだと!?」

「貴様。言うに事欠いて我々を盗賊呼ばわりするか」

「ぶっころしてやる」


ジンさんが煽ったせいで騎士達は早くも剣を抜いてしまった。

でもジンさんは余裕そうで剣も抜いていない。

えっと、大丈夫って事なんだよね?


「リーン」

「あ、はい」


このタイミングで冷静に呼ばれると逆に嫌な予感がするんだけど。

そしてそれは間違ってはいなかった。


「この状況。お前ならどう切り抜ける?」

「え?」

「俺はまだ彼らを皆殺しにする気はないし、自分の分は自力で何とかしろ。

見ての通り自分よりも強い相手に囲まれて今にも斬りかかって来そうな状況だ。

どうすれば良いか瞬時に考えて行動しろ」


どうやらジンさんはこの状況を良い教材だと考えているみたいだ。

言われて改めて騎士達を見る。

揃いの立派な鎧と剣を持っている事からどこかの領地に仕えていそうだ。

なら説得して剣を納めてもらうって手もあったかもしれない。けどジンさんの一言でもう交渉は出来なさそうだ。

あ、いや、最初から会話は成立してなかったかな。

とにかく戦わずに済ませるのは無理。

かと言って戦って勝てるかと聞かれたらジンさんも言ってたようにそれも無理だと思う。

なら逃げる?

でも既に前後左右囲まれてるし……あっ。


「あの師匠」

「方針が決まったのなら行動に移せ。来るぞ」


考え事をしてる間にもう騎士達は近づいて来ていて今にも斬りかかってくる所だった。

私は慌ててその場でジャンプした。


「『飛脚術』」

「「な、なに!?」」


横に逃げられないなら上に逃げれば良い。

騎士達は突然の私の行動に思わず足を止めて私を見上げていた。

いや、それ凄い隙だらけなんだけど良いの?

ジンさんが彼らを殺す気なら今の一瞬で勝負は終わってると思う。

実際にはその場で呆れたように彼らを見てるだけだけど。

それからゆっくりと私を見た。


「うむ、悪くない。

囲まれたらついつい逃げ場がないと思いがちだかそうでもない。

リーンがしたように上に逃げるのも手だし、土魔法が得意なら穴掘って下に逃げるのもありだな。

いずれにせよ咄嗟に判断して行動出来ることが肝腎だ」

「はい。って師匠、そんな暢気に講釈してて良いんですか?」


もう周りの騎士達は正気を取り戻して改めてジンさんに剣を向けている。

そもそも彼らの狙いはジンさんの筈だし私が逃げても気にすることではないのだろう。


「ま、折角だから上からよく見ておきなさい」

「さっきからごちゃごちゃと。

怪しい術で空を飛ぶなど、まさか貴様ら人の姿をした魔物だな!

人に害をなす前にここで斬る!」


いや飛脚術って確かに使う人は少ないらしいけど、普通に学校で教えてくれるくらいにはメジャーだよ?

ともかく剣を振りかぶって前後からジンさんに斬りかかる騎士たち。

対してジンさんは腰の剣はそのままに、そっと左に半歩動いて剣の軌道から外れ、更に前の人の手首を掴んで引き寄せた。


「うおっ」

「あぶっ」


引っ張られた前の人が勢い余ってつんのめれば後ろから斬ろうとしていた人とぶつかりそうになり、もう少しで同士討ちするところだった。

ジンさんはそのままふらりと左手の騎士の前へと躍り出た。


「このっ」


無防備に見えるその姿に好機と騎士が剣を振り下ろし……その勢いのまま前に転び、さっきのふたりにぶつかっていった。

どうやら振り下ろす剣に合わせてジンさんに足元に潜りこまれて止まれなかったみたい。

更にジンさんは潜りこんだ一瞬で他の騎士の視界からも逃れた空隙を利用して反対側の騎士の真横に移動していた。


「い、いつの間に」


慌てて剣を横に振ってジンさんを斬ろうとするけど、それはダメだと思う。

ほら、後ろに回ったジンさんは独楽のように騎士と一緒にくるくると回って、そのまま肩を掴んで残っていた人に向けて投げ飛ばしてしまった。


「うおっ」

「うげっ」


あっという間に騎士を制圧してしまった。


「リーン。俺はこいつらと話をしてから行くから先にそのまま飛んで次の町で待ってろ」

「わ、分かりました」

「あ、ただ空を走るだけは詰まらんな。

よし。俺が追い付くまで地上に足を着けるのは禁止だ。空で待つように」

「は、はい」


飛脚術を使い続けろって事だよね?

まぁジンさんの移動速度ならすぐに追いついてくれると思うけど。

でも話って何だろう。

私を先に行かせたってことは録な内容じゃないよね?

だってほら。私が見えなくなってから後ろから悲鳴みたいなのが聞こえてきたし。

そうしてジンさんより先に町に着いたのは良いんだけど、なかなかジンさんが来ない。

もうかれこれ2時間以上待ってるんだけど、飛脚術は動いてなくてもじわじわと魔力を消費し続けるからもう私の魔力は底を突きそうだ。

ジンさんまだですか~。

あ、見えた!

ってなんで歩いてるんですか!?

早く来て早く。

きゃ~落ちる落ちる。ジンさん急いで~!


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