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第16話:やっぱりですかぁ

ジンさんは慣れた感じで私を連れて受付のひとつに向かった。


「やあこんにちは」

「あらジンさん。

このタイミングってことは依頼を受けて来てくれたのかしら」

「まあな。ただ依頼を遂行するのは俺じゃなくてこっちだ」

「ど、どうも」


突然話を振られてびっくりしたけど、受付のお姉さんもそれは同じ……でもないみたい。

なぜか私を見たすぐ後にジンさんをジト目で見ている。


「あのジンさん。またですかぁ?そろそろロリコン罪で捕まりますよ?」

「また言うな。それと俺はロリコンじゃないし俺から声を掛けたことも無い」

「そう言うなら良い歳なんですから結婚すれば良いじゃないですか。

ほらほら。目の前に年頃の可愛い子が居ますよ」

「自分で可愛いとかそっちこそナルシスト疑惑が浮上するぞ?」

「残念でした。先月開かれた街の美人コンテストで決勝戦進出したから自他ともに認める可愛いさですよ」

「それなのに彼氏が出来ないのは何でだろうな。性格の問題か?」

「ぐさぁ。傷つきました。このピッキョ激しく傷つきました。

ここは責任を取ってジンさんにお嫁に貰ってもらうしかありません!」

「あのぉ」

「「ん?」」


私を置いてきぼりにして盛り上がる二人に我慢できなくなって口を挟んた。


「師匠。そろそろ説明をお願いします」

「ん、ああ」

「ち、小娘が。良いところだったのに」

「上司にあなたがサボってたって報告しますよ?」

「失礼致しました~~」


がばっと音が立ちそうな勢いで頭を下げる受付のピッキョさん。

ふぅ。これでようやく話が進みそうだ。


「それでさっき依頼がどうのって言ってたと思いますけど、どういうことなんですか?」

「まあ、簡単に説明すると急ぎ配達しないといけない郵便物があって、その配送依頼が冒険者ギルドに来てたのを俺がリーンの代わりに受けてきたんだ」

「配達って。冒険者ってそんなこともするんですね」

「魔物討伐の他に街の便利屋って側面もあるからな。

配達はまだ良い方だぞ?冒険者は移動速度が速い奴が多いからそれを頼りにしてもらえてるって事だし。

酷いのになると迷い猫の探索から旦那の浮気調査まである。

そう言うのは魔物討伐系の掲示板とは別に掲示してあるから今度見てみると良い」

「分かりました」


そう言えば確かに先日見ていた掲示板の他にもう一つ大きい掲示板があった。

てっきりBランク以上の依頼が掲載されてるから紹介されなかったのかと思えば、そういう特殊な依頼用の掲示板だったんだ。


「まあそれで、今回受けた依頼品は明日の昼までに王都に届ける必要がある」

「明日の昼までって、もうまる1日しかないですよ!」


最短距離を馬で駆け抜ければ何とかなるし飛翔能力のある種族なら今日中に着くことも可能だ。

でも私の飛脚術では王都までなんてとてもじゃないが体力も魔力も足りない。

このタイミングでジンさんが私に依頼を受けさせるという事は修行の一環だろうから、馬に乗っていくぞ、みたいな話もないだろう。


「あの流石に無理なんじゃないですか?」

「大丈夫だ。俺を信じろ」

「はぁ」

「あ、それと他に運ぶものがあれば一緒に運ぶぞ。もちろん手間賃は貰うけどな」

「分かりました。ではこれも一緒にお願いします。配送先の目録はこちらに」


まるで用意していたかのように受付棚の下から手紙の束を取り出すピッキョさん。

配送先には王都以外に幾つかの町の名前が書いてあった。


「って、王都に行くのも時間的に厳しいのに寄り道していくんですか!?」

「安心しろ。王都に行く途中にある町だから、それほどロスにはならん。

それともどこにも寄らずに王都まで休憩なしで走り続けたかったか?」

「い、いえいえ」


やっぱり走っていくんだなと思いつつ、休憩なしは勘弁してほしいと慌てて首を横に振った。

ジンさんは手紙の配送先と受け取った内容が間違っていないことを確認して鞄に仕舞うと私を連れて意気揚々と街の外を目指した。


「それでジンさん。もしかしなくても走っていくんですよね。

私体力がもつ自信ないですよ?」

「そこは俺に考えがある。

だからリーンは俺を信じて身体強化を維持しながら全速力で指示した方向に走れば良い」

「分かりました」


修行の一環だという事であればジンさんの言葉に反論する意味は無い。

私は若干の諦めを感じつつ真っすぐ伸びる街道に目を向けて、って。


「あの師匠。なぜ後ろから私の肩に手を置くんですか?」


なにやらデジャヴというか、つい先日も同じ状態があった様な気がする。


「ただ走るんじゃ面白くないからな。

俺をおんぶした状態で走るように」

「やっぱりですかぁ」


廃村からの帰り道もそうだったけど、またしても大人1人を背負った状態で、しかも今度は全力で走る必要があるらしい。

よっと軽い感じで私の背中に乗った師匠は、あれ?


「意外と軽い?」

「そりゃあ身体強化が働いてればそうなる。

足も軽くなってる筈だからこのまま走ってみろ」

「はい」


言われて一歩を踏み出せばなるほど。

確かに足取りが軽い。

これならジンさんの言う通り明日までに王都に辿り着けそうだ。



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