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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

僕は世界を守る為に魔王になった 中編

作者: Raido  lupus

父である魔王が勇者に討たれ、勇者が去り数日が経過した



 僕は父の残した日記を見つけ、その内容を読むことにした

父が魔王となった後のこと、そして何故自身から勇者に首を差し出すことになった

経緯がそこに書かれていた



・・・・・・



 魔王になることを決意したのは、息子の一言だった

どうすれば魔族と人間が手を取り合うことが出来るだろうか

この一言を聞き、兼ねてより他の魔族から魔王になるように説得されていた提案を

受けることにした



 魔王となり、魔族に人間との良好な関係を結ぶことを提案すれば、

やがて人間もこちらと良好な関係を築くことが出来きると考えたからだ

私も、息子も人間によって助けられたことがある、ならば人間の全てが魔族と争いたい

訳では無いのだ、魔族が歩み寄ることでわだかまりが解消される問題もあるはずなのだと



 実際に行動に移し解ったことが有る、それは思っていた以上に人間と魔族との間の溝は

深かったということだ、魔族の方は、魔王として人間と歩み寄ることを教えたことで

人間との共存に同意してくれたが、人間の方は、魔族が近づくだけで怯えてしまう

このままでは、いつまで経っても人間との共存など出来ない、それに下手に近付き過ぎて

警戒され、争いに発展しかねない、どうしたものか



 ある日、人間が落としていった物を持ち主に返したとき、怯えながらではあったが

落とし物を届けたことで感謝された



 そうかこれだ、人間が困っていることを解決すれば、少しだが人間に歩み寄ることが

出来るのだ、私は早速、魔族達に人間が困っていることの解決に協力するように言た



 目論見は見事成功し、3年程で人間達の方から魔族に話かけてくれるようになった

まだ、手を取り合うとまではいかずとも、このままいけば人間と魔族が手を取り合い

生きていくことも夢では無いはずだ



 魔王になり4年目にして不穏な噂が立ち始めた、魔王が人間を騙し殺そうとしている

のだと、私はそんなことは無いと人間達に主張したが多くの者が私の話に聞く耳も持たず

恐れ逃げていってしまった



 僅かに残った私の話を信じてくれる人間がいたことだけが救いだったが、

その救いも長続きしなかった



 ある日、残ってくれた魔族と共存派の人間と暮らしていた魔族の1人が

私の元にやってきた、彼から聞いた話はとても信じられない内容だった

突如ジグムント王国の兵士がやって来て人間諸共、魔族を襲撃したというのだ

唯一生き残った彼が、私にこのことを報告したすぐ後、



 ジグムント王国の領土で、多くの魔族が死体で見つかったと報告を受けた

そして王国は自ら襲撃した人間達の死を我々魔族が実行したと言い放ち、

王国を攻め入ろうとした魔族を制裁したのだと国民に公言し、魔族を倒すべき象徴として

宣言した



 私は何故王国がそのような行動を取ったか理解できずにいた

そして王国から戦争の宣言が届いた



 私はどうしてこうなったらのかと悩み続けていたがそこにある知らせが届いた

城の中に現れた侵入者を捕まえたとのこと、そして侵入者と遭遇してしまった妻が

殺されたことだった



 私は怒り、つい侵入者の首をへし折ってしまった、物言わぬ死体を見、

自分のしでかしたことを理解する、私は考えが甘かったのだ、人間を信用し過ぎて

しまったばかりに取り替えしの付かないところまできてしまった



 こうなってしまったらもう世界平和など到底叶わないだろう、おそらく私が死ぬまで

王国は魔族を殺し続けることになる、そうなれば息子も遠くないうちに



 私の考えは人間との共存から次第にどうすれば争いを早く終わらせるかに変わって

いった、残っている魔族と共に出向き王国を滅ぼすことは簡単だ、奇襲されず正面から

戦えば魔族が人間に負けることは殆ど無い、正面から魔族に打ち勝てる人間が存在する

ことはあるがほんの一握りしかいない彼らだけで国を守り抜くことは出来まい



 だが王国を滅ぼすことには大きな問題があった、他の国の存在である

王国を滅ぼしたとなれば、隣国に位置する帝国が黙って居ない、帝国との国境に

高い山があることで直接、帝国が魔王の領土へと足を運ぶことは無いが



 平地で繋がっている王国へ攻め込めば、こちらに進行する可能性もある

いくら魔族が人間より強いとはいえ、疲弊した状態では戦いにすらならない

それに争いを終わらせたいのに、余計な争いの種は生みたくない



 どうすればいいんだ、そこへ息子が妻が見当たらないことを疑問に思いどこにいるかと

聞いてきた、私は息子を不安にさせないように初めて息子に対して噓をついた



 息子はその後、仲のよかった騎士を連れて出て行ってしまった

だが問題はないだろう、あの騎士が連れているならば息子を危険にさらすことは、ないだろう



 息子が出ていき、程なくして勇者が城に到着した

魔族には勇者に手出ししないように伝えた、私は勇者の実力を見る為、魔物に相手をさせた



 私の勝手な都合だが勇者に実力があるならば、勇者に世界平和の夢を託そうと思う

勇者は王国に遣わされた存在だが、異世界から召喚されたと聞く、ならばこの世界の古くからのわだかまりに囚われず、この世界の人間達とは違う考えかたを持つと思うからだ

もしかしたら話すことで私の夢に賛同してくれると思ったからだ



 だが相手にさせた魔物に負ける程度の実力ならば夢を託すことなど出来ないだろう

もし実力があろうと賛同しないのでは意味がない、その時は勇者を捕らえ別の方法を

考えるだけだ、もし賛同してくれたとしても手ぶらで勇者が帰ることは難しいだろう

その時は私の首を差し出すつもりだ



 そして最後にこれを見るかもしれない息子へ

これを読んでいると言うことはおそらく私はもう死んでいるだろう

だが勇者を恨むこと、人間達を恨むことはしないで欲しい

お前には憎しみよりも平和な未来の為に生きて欲しい



 出来れば私の手で、お前がいつか言った人間と魔族が手を取り合う世界を

実現させたかったが、もし勇者が失敗するようなことがあればお前にこの夢を継いで

欲しいと思う



 私の勝手を押し付けてしまいすまない、どうか不甲斐ない父を許しておくれ



・・・・・・



 この日記を読み不甲斐ないなど言えようものか

そもそも父が託した夢は僕が考えるべきことだ、それなのにその夢を僕に代わり

実現させようとした父を誰が責められると言うのか



 僕はこの時、父の夢、そして僕自身の夢を叶えることを心に誓った

まだまだ小説のいろはを独学中ですが書きたい物語をかけるよう頑張ってみました

後編へと続くのでよければそちらも読んでいたけるとありがたいです

少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです

読んで頂いた皆様ありがとうございました

評価の方をいただければ今後の励み改善につながるのでしてもらえると助かります

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