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019 土壌の改良

 翌朝――。


「なかなか思い切りましたね、ミレイユ様」


「ふと思ったの。ミラクルジョウロはただ水を撒くだけでもすごい効果があるんだから、もう少しちゃんとしたらもっとすごいことになるんじゃないかって」


 朝食を済ませた私達は、土壌改良に必要なアイテム一式を買ってきた。ウシコちゃんとバリチェロに連結された荷台はどちらもパンパンだ。


「それにしても、流石は酪農家の町だね。店員さんもすごい詳しかった!」


「もしかすると我々が最も無知かもしれませんな」


「あはは、言えてる!」


 アイテムは、〈モーモーショップ〉で調達した。この町の酪農家がこぞって愛用している専門店だ。牧場経営に必要なアイテムが漏れなく揃っている上に、店員さんが博識なので非の打ち所がない。


「それじゃ、始めるわよー!」


 買い込んだアイテムを使って牧草地作りをしていくとしよう。


「色々なアイテムがありますが、まずはどれから使っていきますか?」


 じぃやは全てを委ねる考えだ。私がそうして欲しいと頼んだから。


 いつまでもじぃやに甘えてばかりではいられない。立派な酪農家になるべく、自分で頑張ろうと思った。だから、店員さんから詳しく教えてもらったのも私だけだ。


「まずは更地に肥料を撒いていってちょうだい。更地の全域に行き渡るよう、まんべんなくお願いね」


「撒いた後は耕しますか?」


「いいえ、その必要はないわ。ミラクルジョウロがどうにかしてくれるはず!」


「かしこまりました。じぃやが作業をしている間、ミレイユ様は?」


「私はミラクルジョウロを改良して水が尽きないようにする!」


 ウシコちゃんの荷台にある買い物袋から、水の魔石とそれに嵌め込むフレームのような物――水発生装置を取り出す。


「ミレイユ様、装置の扱い方はご存じですか?」


「魔石を嵌めたら水がドバドバ出る! 装置の半分が水に浸ったら止まる!」


「問題ありませんね。では、じぃやは肥料を撒いてまいります」


 言うなりじぃやは動き出した。肥料の袋を左腕で抱いて、右手で鷲掴みにした肥料をばらまいていく。灰色の更地に灰色の肥料が撒かれて、見てくれはますます悪くなった。


「私も頑張らなくちゃ!」


 ジョウロの水を空にして、中に水発生装置を取り付ける。大きく「取扱注意」と書かれた超強力両面テープを使い、装置をジョウロ内部の側面にセット。そこへ水の魔石を嵌め込んだ。


 魔石が光り、水がドバドバ出てくる。ジョウロの内の水位がぐんぐん上がっていく。そして、思った通りのところでピタッと止まった。


「これで大丈夫なはず……!」


 試してみることにした。ウシコちゃんらが水飲み用に使っているバケツに、ミラクルジョウロの水を注いでみる。終わったらジョウロの中を確認した。


「やったー! 成功だー!」


 ジョウロの水は減っていなかった。厳密には減った瞬間に充填されている。これで今後は、遠慮なしにジョウロの水を使いまくることが可能だ。


「ミレイユ様、こちらも終わりました」


「早っ! 流石はじぃや!」


 いつの間にか、更地の全域に肥料が撒かれていた。


「次はどうされますか? 牧草の種をまきますか?」


「ううん、まずは水を撒くよ。ミラクルジョウロの水と肥料の栄養を吸収することで、土壌が改良されるはず! 牧草の種をまくのはそれから!」


「かしこまりました」


 私はジョウロを構え、「いくよ」とじぃやを見る。


 じぃやが頷いたのを確認してから、ひと思いに水をまいた。


 その結果――。


「じぃや! 土が! 土が!」


「色が変わっていきますぞ!」


 土の色が灰色から黒っぽい色に変わっていく。同時に質感にも変化が見られた。


 そして――。


「大成功だぁー!」


「流石でございます、ミレイユ様!」


 足の裏が痛くなる程だった灰色の砂利道が、瞬く間にもふもふの耕地に変貌した。

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