幼馴染と話し合い
僕は羽海の部屋の前に立ちノックをした。
「はーい」
「僕だけど、入らせてもらうよ?」
「どーぞー!」
ドアを開けるとそこには部屋着に着替えた状態の羽海がいた。問題はその格好だった。かなり肌色成分が強いネグリジェを着ていたのだ。思わず僕は顔を逸らしてしまう。
「……なんで顔逸らしちゃうの?こっち向いてよ!」
「いや、その格好なんとかならないかな……」
「ふぇ?……さては宇宙、照れてるんだなー!」
「いや、昔とは違うんだから当たり前だろ?」
「そうだねー」
「まあ、そんなことどうだっていいんだよ。羽海、うちの親に嘘ついただろ」
「え?なんのことかな?」
「いま母さんに聞いたら羽海がもう僕に伝えたって言ってたって言ってたけど僕は一言も聞いてないよ?どういうことかな」
「……あちゃー、バレちゃった?」
「どういうことかな?」
「……まぁまぁ、そんなに怒らないで笑顔笑顔!」
「まあ頭ごなしに怒るのもあれだしとりあえず話し合おうか。リビングに来てもらってもいいかな?」
「りょーかい!」
こうして、僕は羽海を連れて1階のリビングへと降り、そこで僕と羽海との話し合いが始まるのだった。
「まず第一に、なんで僕にも母さんにも嘘をついたのかな?」
「………ったから」
「え?」
「最初に宇宙に言ったら絶対に断られると思ったから」
「なるほどね。だから既成事実っていうかこっちが後手に回るように先手を打ったと」
「……うん。そういうことになるかな。…………怒ってる?」
「いや、別に僕は怒ってなんかないけどね?一言言っておいてくれたらもっとちゃんとした準備とかもできたのになっていうだけでさ」
「だって宇宙と離れてからもう3年も経ってるし、聞いて『彼女いるから無理』とか言われたらショックから立ち直れる気がしなかったし……」
そう言って俯きながら悲しげな顔をしている羽海を見て僕は一緒に遊んでいた頃を思い出して思わず笑ってしまった。
「……っはは。羽海はそういう所、相変わらずだな」
「もう!こっちは本気で悩んでたんだからね!?」
「ごめんごめん。昔のこと思い出してさ。羽海っていつもはガンガン来るのに変なところで気を遣って最終的に予想外の事をして僕たちの事を驚かせてたよね」
「そ、そうだけどさー」
「まさかこんなスケール感になって返ってくるとは思ってなかったけどね?」
「それはごめんなさい」
「もう大丈夫だよ。それとね」
「なに?」
「離れていたって僕が好きなのは羽海だけだから」
僕は当たり前のことを言ったつもりだったけど、羽海はしばらく固まってしまった。
「う、羽海?大丈夫?」
「宇宙のそういう所、良くないと思うな!!」
「え、ぇえ?」
「わかってないなら教えないけどね!」
「うーん。まあなんだかモヤモヤしちゃったけどとりあえずこの話は解決だね」
「そうだね。でも私も1つ宇宙に問いただしたいことがあるな?」
「え?何かある?」
「何かある?じゃないから!BLAZEを作ったのが宇宙だってどういうことさ!?」
「え?別にそこは気にすることないんじゃない?」
「気にするよ!だって私、普通に賃貸のマンションとかに住んでると思ってたんだからね?だから荷物も最低限にして、迷惑をかけないようにと思って宇宙のお母さんに話をしたら渡されたのがカードキーだった時点で疑問を覚えたんだよ!で、いざ着いてみたら地上2階地下1階ってこの年齢の人が住むような家じゃないからね!?」
こうして、僕たちの話し合いは攻守逆転して再開された。
次回は宇宙のバンドについてのお話になります。
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