幼馴染がやってきた
僕は、学校が終わるとすぐに出て家へと向かっていた。もちろん実家……ではなく僕の作業場兼自宅の方だ。BLAZEでの活動のおかげでかなりの稼ぎを頂いていたので両親の許可を取ってスタジオ付きの家を購入したんだ。そこで今日も作曲をしようと家に着いて玄関を開けると、
「おかえり、宇宙」
僕は一度ドアを閉めた。帰る場所を間違えてしまったのだろうかと色々確認するけどやっぱり自分の家には変わりないのでもう一度ドアを開ける。
「もう、なんで閉めたの?」
「いや、それ以前の話。……なんでここにいるのかな?羽海」
玄関のドアを開けるとさっき別れたはずの羽海が、玄関で待っていた。これはどういうことなんだろう……
「僕の家で一緒に住む!!?」
「そうだよ?おじさんたちから聞いてなかったの?」
「うん全く」
「もう、うちの親といいちゃんと伝えないと…」
「まあそこに関しては父さんとか母さんに後で問い詰めるとして、羽海はそれでいいのか?」
「?何が?」
「いや、僕と一緒に住むっていう話がだよ」
「そこ?そこは全然問題ないよ?だって宇宙だし」
羽海は、僕だから問題ないっていうよく分からない理論を展開しながら話を続けてきた。
「それに、やっとまた一緒にいられるんだもん!少しでも長く一緒にいたくって……だめかな?」
「別にだめとは一言も言ってないんだけどね?……まあ羽海がそれでいいなら僕は全然構わないけど」
「ありがと!」
「とりあえず2階の部屋使ってね」
「はーい」
こうして、羽海が部屋に戻ったのを確認してから僕は防音設備付きのスタジオに移動して親に電話をかけた。
「……もしもし、どうしたの?」
「いや、どうしたの?じゃないからね?」
「なんのことかしら」
「いやいや、羽海のことだって」
「え?」
「なんで家に住まわせるってこっちに連絡くれなかったんだよ!?」
「あれ?私達、羽海ちゃんからは宇宙には伝えてるからって言われたけど?」
「はい?」
「こっちは『宇宙には伝えてるんですが、お伝えしようと思いまして』って言われたから許可したんだけど…」
「いや、何も聞いてなかったし玄関開けたらいたんだけど」
「それは私があなたの家の合鍵を渡しておいたからね」
「いやプライバシー!?」
「まぁまぁ、でも相手は羽海ちゃんだしね」
「いやいや、そこで納得しちゃいけないからね?」
こうして、母さんとの電話を終えて僕は2階に用意した羽海の部屋へと向かった。