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出オチの王国  作者: 迫る騎士シカマル
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信仰、クスクス

 「もしもし、突然でごめんね」


 「いや、別にいいけど。どうした」


 夕食を食べ風呂にでも入ろうとした馬淵。その矢先、クラスメイトの犬養さんから電話がかかってきた。


 正直、うれしい。というのも、馬淵は犬養に対して一目を置いていたのだ。


 これは相手から何かしらのアプローチか。もしかしたら、告白なのでは。


 これでも高校生の端くれ。色恋沙汰に興味津々の思春期である。そのため、憶測が憶測を呼び、彼女の発言に全神経を注ぐ。


 「あのね、馬淵君。私、あなたのこと……」


 「お、おう」


 キタキタ、これは絶対に告白の流れだろ。


 「勧誘します」


 全然違った。



 「はい、じゃあ笑顔の練習」


 屈託のない笑顔で犬養は馬淵にそう命じる。


 場所は放課後の教室。馬淵と犬養の二人だけ。


 「要領を得ないな」


 「何が?」


 「ええと、犬養さんの話をまとめると……」


 要はこうだ。彼女はよくわからん宗教を信仰しているらしい。まあ、宗教の自由は権利として保障されているので俺がどうこういう筋合いはない。


 で、問題はその宗教に加われということだ。


 「で、昨日俺に電話してきたと」


 「そうそう、だって馬淵君にピッタリだと思うんだよね。ツルハナナス教」


 ツルハナナス。花言葉、笑顔。ではなく正確には微笑みだったな。



 犬養は今でこそ笑顔を絶やさない女子高生だが、中学生までは対照的に無口で暗い性格だったらしい。


 そんな自分を変えるべくネットで色々検索したところ、カルミア教に行き着いたらしい。



 「今の私があるのはツルハナナス教のおかげです」


 この後下校時刻になるまで俺は犬養と笑顔の練習を強制的にやらされた。



 帰り道。なぜか馬淵の家まで行きたいという犬養。こちらとしては断る理由もないし、別の要件かもしれない。


 「馬淵君って家が花屋さんなんですよね」


 「ああ。花でも買うのか」


 「どうです、かね」


 「……」


 「……」


 馬淵の家である花屋に到着。


 「まあ、そのなんだ。今日のお礼だ」


 俺はツルハナナスの花を9本渡す。


 彼女は恥ずかしさの混じった笑顔をこぼす。


 まさか、俺が花屋のサイトで作った宗教を信仰して救われた奴がいたなんてな。




ツルハナナスの花言葉

9本の場合、「いつまでも微笑んでいて」

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