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Ain Soph Aur ― アイン・ソフ・オウル ― 【プロット・企画書】  作者: 昭丸
第六楽章 サウイフモノニ、ワタシハ――。
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Op.58 聖樹士の名に賭けて

 白いベールに包まれた視界が、少しずつ鮮明なものへと変わっていく。

 夜空。

 星。

 それらが天蓋に描かれたものであることを認識したところで、ミコトは覚醒した。

「ここは……」

 やわらかな感触が全身を優しく包みこんでいる。どうやら、ベッドの上に寝かされているようだった。

 ミコトは、仰向けのまま首を巡らせた。

 すると、ベッドの端に顔を伏せながら静かな寝息を立てている、シタンの姿が目に入った。

 ミコトは手を伸ばして、シタンの髪を優しく撫でた。

「ん……」

 瞼をゆっくりと開けたシタンが、ミコトを視界に入れた。

 途端、表情をくしゃりと歪めて抱きついてきた。

「! ……ミコト……ミコト……っ!」

「シタンさん……心配をかけてしまってすみません」

「本当だ……私が怖がりなことは知っているだろう……」

 言いながら、シタンは涙を拭った。

「シタンさん、会議の方は?」

「始まっている。今日で三日目だ」

「そんなに経っていたんですね……」

「残念ながら芳しい状況ではない。シュタールを始めとする大国が難色を示している。機構の運営には、経済状況に応じた負担を強いることになるからな」

「……手を取り合うことは、できないのでしょうか……」

「この会議に集まっている者は、それぞれが国を背負っている。自国の利権を蔑ろにはできないのだろう。気持ちだけでは、難しいのだ」

「でも、気持ちがなければ、何も始まりません」

「そうだ……その通りだ」

「僕も、会議に参加します」

「意識が戻ったばかりだ。起き上がることはもちろん、出歩いて良い状態ではない」

「そうですね……一人では歩けそうにありません……だから、シタンさん、僕を支えてくれませんか?」

「…………」

 しばしの間、シタンは強い光を宿すミコトの瞳を見つめ、それから微かな苦笑を漏らす。

「……貴公は、いつの間にか……これでは、私が置いてけぼりを食いそうだ……」

 シタンはミコトの手を握り、恭しく告げる。

「支えてみせよう。聖樹士の名に賭けて」


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