Op.53 復興の日々
蒼穹を背に、真っ白な洗濯物が翻る。
裏庭で洗濯物を干していたミコトは、イノリの泣き声を耳にして慌てて建屋に飛び込んだ。
「よしよし、何かなー? お腹すいたかなー?」
ミコトはベッドに寝そべっていたイノリを抱き上げ、優しくあやした。
イノリが泣き止んだ頃、デイジーがノーチェを連れて帰宅した。
「悪いね。王都に戻って来たばかりだってのに、留守番頼んじまって」
「いえ、家事は慣れていますし」
「しかし、本当――」
イノリを受け取りながら、デイジーはミコトに耳打ちする。
「男の子にしておくのは勿体ないね。ノーチェも、あんたのこと好いているみたいだし」
「あはは……」
ミコトは苦笑した。
ディアボロスと鋼殻兵を倒したミコトは、シタンと共にミストルティンへと戻り、復興に関わる仕事を精力的にこなしていた。
今日も、そうした仕事の一環として、デイジーたち家族に割り当てられた空き家の片付けに訪れていた。
◆
デイジーたちの新居の片付けが一段落し、王城への帰途についたミコトは、ガソリン自動車を運転するシタンと出くわした。
シタンは「市街地の損壊状況を視察していたのだが、兄上からミコトを連れて来てほしいとの連絡を受けた」と告げ、ミコトにガソリン自動車への同乗を促した。




