Op.51 歌療士の三姉妹
ララたち歌療士の三姉妹が、大破したサージェントプラナスを取り囲むように立ち、厳かに歌を紡いだ。
複雑な音階に包まれ、サージェントプラナスの損傷部分が、みるみる内に修復されていく。
「すごい……!」
ミコトは思わず声を上げた。
「歌療士は、歌声で動植物を癒やすことができる。中でも彼女たちは優秀だ。数分もあれば、サージェントプラナスを万全の状態にまで持っていけるだろう」
「シタン殿」
ミコトに説明する中、シタンは横合いから声をかけられた。振り向くと、そこに神妙な面持ちでライドが立っていた。
「俺にも手伝わせてくれ。今回の件、責任は俺にある」
ライドは言った。
シタンは、そんなライドの表情をしばらく観察した後、答える。
「ダメだ。貴公は死地を求めている。これは、生きるための戦いだ。自らの未来を絶とうとしている者を、連れては行けない」
「…………」
「先ほど告げられたはずだ。貴公は、貴公にすがる者を悲しませてはならない。生きるべきだ。たとえ、後悔の念に心を焼かれ続けようともな」
「手厳しいな……」
「生きることは、辛くて哀しいものなのかもしれない……しかし、希望はある。貴公も、それを信じたのだろう?」
「…………」
「貴公は道を間違った。しかし、想いは間違っていない。貴公の周りにいる人間の目を見れば、それがわかる」
シタンの言葉を受けて、ライドは自らの袖を不安そうに握るクリファを顧みた。




