Op.43 交差する刃と拳
「射撃が止まった……!」
シタンはチャンスと見て、鋼殻兵の陰からサージェントプラナスを飛び出させた。そのまま一気にライドたちの樹械兵と距離を詰め、乱戦に持ち込む。
銃剣を振るい、一樹、また一樹と樹械兵を倒していくサージェントプラナス。
対して、ライドたちは味方が被弾することを恐れ、サージェントプラナスを槍銃で狙うことができない。
『組みつくことすらできないか……』
ライドは苦々しく言い放ち、ティリアウルガリスを前に出した。
機を得たりと、サージェントプラナスが銃剣による鋭い突きを放つ。
しかしティリアウルガリスは、手甲を装着した左腕で、それを悠々と受け流す。
「なっ……!?」
シタンが驚きの表情を浮かべた。
『速い……しかし、動きが大き過ぎる』
外套に似た装甲を外し、ティリアウルガリスは右ストレートを放った。サージェントプラナスは、銃床でそれを防ぐ。
後退ったサージェントプラナスに向けて、ヘレンが操るクエルクスロブルが銃槍から弾丸を飛翔させた。
「しまっ……!」
右足に被弾したサージェントプラナスが姿勢を崩した。そこへすかさず踏み込んで来たティリアウルガリスが、ワン、ツーからのアッパーを放った。
サージェントプラナスは拳打の突き上げによって銃剣を取り落とし、さらに仰向けに倒れ込んだ。
「ぐっ……!」
呻くシタンの視線の先で、複数のクエルクスロブルがサージェントプラナスを取り囲むように布陣し、銃槍の切っ先を向けてくる。
「これまで……なのか……」
『いえ……これからです!』
その場にいた全員が、声が上がった方を振り返った。
複数の瞳に、クリファを連れて立っているミコトの姿が映った。