Op.41 樹械兵の空挺降下
飛行船から複数の樹械兵が降下して来た。
一隻当たり三樹。合計九樹の樹械兵が地面に降り立つ。
『待たせたかな?』
増援の樹械兵に搭乗していたライドが、ヘレンに問いかけた。
『九樹だけですか?』
『思ったよりも早く、鋼殻兵による奇襲を立て直されてな。他は基地の方で足止めされている。いやはや、我が軍は優秀だ』
『離反した以上、もう我が軍とは呼べません』
『相変わらず細かいな……しかし、その通り、我々は孤軍だ。兵站の大半が期待できなくなった以上、早急に計画を進めてしまわなければならない』
ライドは、自身が操縦する樹械兵――ティリアウルガリスをサージェントプラナスに相対させる。
『という訳だ。彼我の戦力差を理解して、大人しく退いてもらえるとありがたい。こちらも余計な損耗は避けたいものでね。念のために付け加えるが、女神の力をアテにしても無駄だ。こちらは対抗し得る備えをしている。何なら試してみても良い』
「女神の力を借りるまでもない。貴公らの相手は、このサージェントプラナスでこと足りる」
『豪気だな』
ライドは言うなり、槍銃を構え、シタンが乗るサージェントプラナスに向かって弾丸を撃ち放った。シタンは、それを間一髪で回避する。
『ほう、噂通り速いな……全樹、目標から距離を取れ。近接では捉えきれない。銃撃で仕留める。ただし樹士は生かしておけ。クリファとの交換に使う』
サージェントプラナスの高い運動性能を目にしたライドは、部下たちに素早く指示を送った。対して、ライドたちの動きから槍銃による一斉射を察知したシタンは、手近にあった鋼殻兵の死骸の陰にサージェントプラナスを滑り込ませた。
シタンは、横殴りの弾丸の雨を一時的に回避するが、すぐさまライドが次の一手を打って来る。
『目標との距離を保ちつつ扇状に展開。あぶり出せ』




