Op.34 ローンチヴィークル
長期滞在が予想されることから、ミコトとシタンは、まずキスカヌにおける生活環境を整えようと行動を起こした。
しかし予想に反して、それは即座に解決した。
キスカヌの建物内には、人が生活するためのあらゆる設備が備わっており、さらに驚異的なことに、その全てが使用可能な状態に保たれていたのだ。
夜、ミコトとシタンは、管制室にてセフィラと会話を交わしながら、ティファレトについて本格的な調査を始めた。
セフィラは会話の中で、自らの本体が存在する場所がティファレトであり、キスカヌの中央にそのティファレトが保管されていることを明かにした。
ミコトとシタンは、早速、キスカヌの中央へと向かった。
キスカヌの中央には、高層ビルのような直方体の形をした建物が屹立しており、そしてその内部には、先端に向かうに従って段々と径が細くなっている円筒が納められていた。
「これって……ロケット……!?」
見覚えのあるその形を目にして、ミコトは呟いた。そして、その呟きを肯定するかのように、セフィラが告げる。
『はい。セフィロトシステムを構成する中央制御衛星ティファレトを、ユグドラシルの周回軌道に打ち上げるためのローンチヴィークルです』




