Op.33 告白
管制室のような暗く広い部屋において、ミコトは立体映像として投影された神秘的な銀髪の女性に遭遇した。
セフィラと名乗るその女性は、自分は人工知能を備えた対話型OSであると、ミコトに説明する。
ミコトは、セフィラに防衛システムの解除を依頼した。頷いたセフィラは、即座に防衛システムの解除を実効する。
◆
ひとまず建物を出たミコトは、シタンに防衛システムが解除されたことを伝えた。
シタンは銃剣から弾丸を放ち、それが迎撃されないことを確認してから、サージェントプラナスをキスカヌの敷地内へと前進させる。
ミコトの近くまで来ると、シタンはサージェントプラナスから降りた。その表情が固く強ばっていることにミコトは気づくが、取り合えず建物の中へと先導する。
最中、シタンが背後から抱きついて来た。
「シタンさん……?」
「ミコト……すまない……私は貴公に、過酷な判断を強いてしまっていた。本来、私は強要すべき立場なのだ。無理強いをすべき立場なのだ。それなのにベリンダの時も、今回も、重要な局面で判断を委ねてしまっている……私は卑怯者だ。身の内の不安から逃れるため、貴公に難題をぶつけ、その答えを言い訳にしたいだけなのだ」
「そんなことは……」
「ないとは言い切れない! 判断には責任が伴う。だから困難な判断を迫られた時、仕方がない、そう言えるための理由をいつも探していた……」
声を震わせながら、シタンは続ける。
「恐かったのだ……兄上から歩く力を奪ってしまった時のように、自らの判断が、自らの行動が、誰かを不幸にしてしまうかもしれない。そんな考えが頭を過って、恐くて仕方がなかった……しかし、先ほどミコトが撃たれそうになった時――」
シタンは、ミコトの身体に回した腕の力を強めた。
「これまでの、どんな時より、恐くなった……だから、どう思われても、どう思ってくれても構わない。むしろ軽蔑してくれ。私はそれで良い。その程度の人間だ……ただ、お願いだ。今だけは、貴公を、ミコトを離したくない……もう少しだけ、このままでいさせてくれ……」
震えるシタンの手を取り、ミコトは自らの頬に添わせた。
「たくさん、心配してくれたんですね……」
瞼を閉じ、ミコトは言葉を紡ぐ。
「シタンさんは、卑怯者じゃありません。真面目で、誠実で、一生懸命で、そしてとても優しい人なんです。その証拠に、弱くて、どうしようもない僕を、ずっと見守ってくれていました。だから、軽蔑なんてしません。してくれと言われても、してあげません」
すうと息を吸い込み、ミコトは意を決したかのようにシタンへと向き直る。
「僕は、シタンさんのことが、大好きですから」
「……!」
シタンは顔を赤らめ、嬉しさと恥ずかしさが入り交じる表情を作った。
「シタンさん、変な顔をしています」
ミコトの言葉に、シタンは目尻に溜まっていた涙を拭う。
「……仕方ないだろう……こんな気持ちは、初めてなんだ……」
告げながら、シタンは少し照れ臭そうに、にっこりと微笑んだ。




