Op.15 リモートコントロール
シュタール連邦共和国のクエルクスロブルは、一定の時間を置いて次々とランスを取り落としていった。その都度、至近の建物がランスの直撃を受けて倒壊する。
と、クエルクスロブルの動きが一斉に止まった。
暫くしてから再び動き出したクエルクスロブルは、どういうわけか、市街地の外へと整然と引き返して行った。
「ん……!?」
そのような命令を出した覚えのないライドは、眉根を寄せ、そして城壁の上に立つ二人の人影に気づいた。
何かを悟ったライドは「興味深いものを見せてもらいました」とカムラに告げ、会議場を退出した。
◆
ライドが指揮する第十三樹械兵連隊は、ミストルティンから離れ、支天樹の森の中で暫しの休息を取った。
「どの樹士たちの証言も同じです。樹械兵が勝手に動き出したと」
ヘレンがライドに報告した。
「外部からの操作か……」
呟きながら、ライドは隣に立つクリファを見やる。
「どうやら、お前と似た力を持っているようだな」
「樹械兵が操られている間、ラジオの音が乱れた。あれはおそらく、電波による通信技術を用いたリモートコントロール。クリファの事象定義通信とは少し違う」
「……防ぐ方法はあるのか?」
「ある」
クリファは無表情で答えた。
「これからどうします?」
ヘレンの問いかけに対し、ライドは腕を組む。
「女神の力があれだけとは考え難い。もう少し探りたいところだが……これ以上、正面からの力押しを繰り返しても、埒は明かないだろうな。一度、出直すとしよう」




