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Ain Soph Aur ― アイン・ソフ・オウル ― 【プロット・企画書】  作者: 昭丸
第一楽章 エルドの予言詩
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Op.13 シュタール連邦共和国大統領府

 シュタール連邦共和国の大統領府――その大統領執務室において、現大統領のガルベルト・ベルギウスを囲み、複数の高官たちが話し込んでいた。

「アルテシアの大使館から報告がありました。ライド大佐の率いる樹械兵(ドライアード)連隊が、ミストルティンに達したとのことです」

「独断先行も甚だしい。一体、何をしようというのだ」

「外交だろうな。少々、手荒ではあるが」

 どこか可笑しげなガルベルトの言葉に、高官が眉根を寄せる。

「一介の軍人に、国家間の政治的な交渉を主導する権限はありません」

「無論だ」

「では、アルテシアに派遣する連隊を編成する際、なぜ彼を指揮官に据えるよう口添えされたのです? 部下には慕われているようですが、命令違反の常習犯である上に、反体制の思想も強いと聞き及んでおります」

「ルールや枠組みというものを解さない人物だからこそだ。適当な力を与えておけば、それを過信して今回のような軽挙に及び、さらには同族を巻き込んで身の内に流れる血の色まで晒してくれる」

「……囮ですか」

「セバル人系の資産家や企業経営者たちが、ここ最近、妙な交遊を繰り返している。以前からコミュニティを重視する基調はあったが、職業的なつながりが少ない者同士が頻繁に接触を重ねることには、どうにも違和感を覚える。今のところ、目ぼしいものは何も出て来ていないがな……」

「そういえば、彼もセバル人でしたな」

「器の縁からあふれ出る水をすくい取るより、器の底に穴を開け、そこからこぼれ落ちる水をすくい取る方が容易い。監視もタダではないからな。少しは効率というものを考えねばならん」

「アルテシアへの対応はどうします? 再三に渡って、非難じみた問い合わせが来ておりますが」

「確認できていない。そう返しておけ。こちらは徹頭徹尾、無関与を貫く。それに女神のこともある。今は投げ込まれた石に対する反応が見たい」


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