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地獄

作者: doop

残酷って言ってもそれ程じゃあないです


産まれた・・・


産まれた・・・


産まれた・・・




私は3回目の


・・・・つまり

最後の誕生をした


もう産まれない




もう死なない






久しぶりに聞く

私の声



「痛い、痛い・・・」




目の感覚が

何故か戻ってきた?



あるはずの無い目を

開いてみると




突然

真っ赤な文字で


『地獄』




納得







「・・・そっか」




力なく呟く




見渡してみると

私の知っている物は

何一つなかった




赤黒い天に刺さる

尖って痛々しい雲の下


何色ともいえない

汚い砂で覆われた

砂漠のような所


しかし当然だろう

太陽の輝きは

感じられない




呼吸をするたび

水分の足りない

まとわりつく酸素が

いちいち喉でつっかえる




何かする気になんか

ならなかったから

ただ立ち尽くす・・・




・・・音もしない

・・・聞こえない?


・・・?



静かな砂漠に

私の心の声が

かん高く響いた・・・



あれ?

聞こえる・・・耳で

へーそうなんだ

それが『地獄』



じゃあ

誰にも会いたくないな

1人でいたい


どうしよう?




私は歩きはじめた

何も目指さず

何も無いことを目指して




歩く




歩く






歩く







歩く







歩く







歩く




一度も止まらず

何年も何年も歩く



景色は変わらない



なのに

酸素は喉につっかえる

ここには慣れない


「苦しいよ・・・」




歩きながら思った




誰かと話したい!!



砂漠に私の心が響く






・・・あれ?






・・・・砂は

海になっていた




さっきよりも明るい

水中で歩いている




・・・息が



息ができない・・・!!

助けてっ!!

死んじゃう!!

苦しい!!



苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しいしい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい



歩くしかなかった


何もできない

苦しむしか・・・










・・・!!

人がいる!!


濁った海で視界が悪いが

確かに人影だ!!




ここに来て初めて

希望を持った




「助けて・・・!!!」




徐々に現れる

人間の姿

そして心の声が聞こえる



苦しい・・・!!


苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい



もがき苦しむ顔

ねじれた体

とても人とは思えない







「醜い!!!」

私の心は正直に叫んだ







そいつは私を睨んだ

見たこともない程

恐ろしい形相で


悲しく叫んだ

「そんなに醜いか!!

お前が憎い!!

憎いー!憎い!憎い!」


そのまま

私に殴りかかって


ぐちゃぐちゃの体で

私をボコボコにした

5回は殺す程に












目が開いた



でも真っ暗だ




何も見えない・・・




痛い・・・!

重い・・・!



体が潰れてる

何が何だかわからない




「あ゛〜クソ!!!

おいてめえ!!

オレの上から退け!!」

汚い奇声がきこえる




「あんたたちなんか

いなくなっちまえ!!」



「お母さーん!

痛いよー!痛いよー!」助けてよー!!」




いろんな人間の



・・・絶叫







段々と

視界が広がっていく



ぐちゃぐちゃになった

私が見える




段々と

視界が広がって



私の上に人が乗ってる




段々と広がって



その人の上にも人が




広がって



人の塊




絡まりあい

潰しあい

罵倒しあい




段々と

視界が広がって



私がどこだか

分からなくなった



ただ苦しい

ただ痛い

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