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岩窟
李英風は広東の浜辺を馬に乗り疾走していた。
空は青く雲は白い。
穏やかな波は日に輝いていた。
しばらくして行く手に人影が見えた。
忍者達だった。
李は忍者達と間を置いて馬を止めた。
「こいつを見かけなかったか?」
忍者は似顔絵を見せ李に聞いた。
「知らぬ」李は答えた。
「そうか」と言い、忍者達は海に消えた。
李は馬から降り、海辺を歩いて行った。
孤独な旅だった。
だが焼失した少林寺を再興する目的が李にはあった。
やがて、岩窟が見えてきた。
今日はここで一夜明かそうと李は岩窟の中に入って行った。
すると中から「何だお前は」という声がした。