広東少林寺の誕生
島の浜に舟が着いた。
李は舟から降りると漁師に礼を言った。
「また、くっからな」漁師はそう言って戻って行った。
李は地図を見ながら寺を探して歩く。
雲行きが怪しくなり雨が降り始めた。
李は雨に打たれながら岩山を登る。
途中、何度か滑りそうになったが寺にたどり着いた。
境内に入ると僧が出て来た。
「どなたかな?」僧が訪ねた。
「少林寺の李英風と言います」李は答えた。
「なぜ、ここに」僧が訪ねる。李は
「寛南寺の僧に紹介されました」と答えた。
「ほう。まあ、中にどうぞ」
雨は激しさを増していた。
部屋の中、僧は茶を運び李に勧めた。
「寛南は元気でしたか」僧が言った。
「はい」李は答えた。
「そうですか」僧は笑顔を見せ、訪ねた。
「どんな事で困っていらっしゃる?」
「少林寺は焼き討ちに合いましたが再興のため同士を探してます」
「フム」僧侶は考えこみ、やがて口を開いた。
「とりあえず、ここを広東少林寺とし私があなたの弟子になるというのは、どうかな」
「ええっ。そんな恐れ多い事は出来ないです」李は驚いて言った。
「私が力になれるとしたら、それしか出来んよ」
「とにかく私の弟子になるなど恐れ多いです」
「では、ここを広東少林寺にしなされ。それは良いじゃろ」
李は返事に窮したが、「それでは、お言葉に甘えさせて頂きます」と答えた。




