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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

異世界IN

異世界 IN 俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺。

作者: 秋月みのる

思いつきで書いた作品。

タイトル含めて大分悪ふざけしました。

書いていて俺という言葉がゲシュタルト崩壊しそうになった。


 ――どうしてこうなった?


 とある砦の城門の上に立ち、眼下に広がる万の大軍を見て俺は頭を抱えた。

 

 理由は……全員俺だからである。

 そして今ここに居る俺は「俺・オブ・俺」

 つまり真の俺である。


 ……言っている意味がわからんね。

 安心してくれ。俺もそうだ。

 

 こんな意味不明でカオスな状況になっているのも全部……。


 「あのクソ悪神呪ってやる!」


 俺を異世界に呼んだのはこの世界の神で、自らを悪神と呼称するポルタ。

 ポルタはこの世界の主神である男神と副神の女神の一人息子で、それはもう甘やかされてやりたい放題やってるらしい。

 ポルタは度々自らの退屈を紛らわすためにこの世界に異世界人を呼んで、適当に思いついた変わり種スキルを与えては観察して遊んでいるようだ。

 で、俺にくれたスキルは『分裂』

 このスキルのせいで俺は日に日に倍に増えていくのである。

 1×2が2になって………2×2が4になって。もうね。加速度的に増えたんだよ。

 今じゃ数万人くらいいる。

 当然俺だって食べなきゃ生きていけない。

 最初は森で果物食って生き延びてたんだけど、俺の一人が街を発見。

 俺は通貨も持っていないのに何故か食料を持って帰ってきた。

 そう、俺の奴……盗みを犯しやがったのだ。

 一番厄介だったことは増えた俺に若干の個性があってそれぞれ倫理観が違かったことだ。

 俺は盗みを良しとしないが、新しく作られた俺は盗みを良しとする場合があると言うこと。

 個体によっては好戦的だったり嗜虐的だったりする者もいた。

 だが、そんな俺の分体達に共通して見える一つの特性がある。

 それは『俺・オブ・俺』であるこの俺を崇拝していることだ。

 『俺・オブ・俺』であるこの俺はたった一人で異世界に送り込まれた言わば俺達の祖に当たる俺だ。俺達は基本的に『俺・オブ・俺』である俺のために働く。

 盗みを犯したのも『俺・オブ・俺』である俺を困窮させないために俺達が俺の代わりに罪を犯したのだろうと推測する。

 ……尤も増殖速度から考えて悪意関係無しにいずれ盗みに至ることは確定コースだったと思われるのだが。


 ……結果。俺は指名手配された。初めは三人の冒険者。武器と鎧を持った手強い相手だった。

 俺達は生き延びるために必死に戦った。俺達は全員丸腰だったが噛みつき、殴りかかり異のをを捨てて戦った。二十人近い俺が犠牲になったが何とか冒険者を始末することに成功した。

 冒険者を倒して戦功を得た俺はどうやら将軍という立場に収まったようだ。

 この辺りからどんどん俺コミュニティができはじめて『俺・オブ・俺』である俺と俺達の関係が段々希薄になっていく。

 『俺・オブ・俺』である俺は俺コミュニティの中で現人神だとかそういった象徴的な立場へと推移していく。


 再度、冒険者の襲撃があった。今度は規模が十人ほどに増えていた。

 俺は数の暴力を持ってその戦いも制する。事俺に関しては人材には事欠かない。

 黙ったいても俺は増える。

 装備の方が希少だった。


 いつの間にか俺コミュニティーの中に俺評議会が出来ていたらしい。俺も現人神として出席する。『俺・オブ・俺』であるはずの俺には何故か発言権がなかった。

 俺達の中で、俺の手を煩わせることはないという謎の気遣いがあるようだった。

 評議会の意見は二分。森に隠れて住み続けると主張する穏健派。

 打って出ると言って聞かない過激派。

 変えられない事実があった。俺は日に日に倍に増える。

 現状維持という選択を取れなかった。

 俺のあずかり知らないところで俺達の運命は突き進んでいく。


 

 俺達の過激派の連中が村を掌握したようだ。

 事態を重く見てか異世界人達は騎士団を差し向けてきた。


 俺軍と国の戦いの戦端が開かれる。

 騎士団達は異形の化け物を撃てと士気を高めていた。

 

 ……うん、俺自身の事だけど、俺もそう思うよ。

 このときはまだ俺軍の方が形勢不利だった。

 騎士団と俺の戦い。傾き始めたのは騎士団に死者や怪我人が出始めてから。

 俺達にも死者が出たが、死傷者と日の増加量がほぼ同数だった。

 つまり、数が減らない。騎士団を倒した分だけ装備も潤う。

 一方で騎士団は減る。均衡が崩れ始めると早いもので、徐々に数を増していった俺によって騎士団は引き上げていった。

 そしてそれに追随した俺軍が騎士団の砦を入手し今に至る。


 騎士団は俺を相当な脅威と見たらしい。騎士団は全軍を率いてやって来た。

 数にしておよそ二十万。俺軍は約二万。

 本来なら絶望的な戦力差だ。

 それでも俺達は諦めなかったようだ。

 徹底しての籠城による持久戦の構え。


 未だかつてない大規模な軍勢を前に俺達から『俺・オブ・俺』という彼らにとっての現人神の発破を要求された。 

 

 「あ~俺ども。ほどほど死に、適当に戦いなさい」



 『俺・オブ・俺』である俺はこの頃危機感をを覚え始めていた。

 俺軍の総数は万にも及ぶ。つまり、日に増える俺の数も万単位である。

 誰かが殺してくれないと俺は際限なく増えてしまうのである。

 

 俺は死にたくはない。死にたくはないが、これ以上生きていてもいいのかとも思う。

 ……ふと、日本に居た頃読んだ猫型ロボットの漫画を思い出す。

 宇宙に放り出された倍々に増えるあのどら焼きはどうなったのだろうと。

 そして、倍々に増え続けた挙げ句、俺はどうなってしまうのだろうかと。


 

 俺軍は数の差に負けて初めは押されていた。

 だがチートじみた増殖スピードで数の不利を押さえ続けた。

 結局の所、時間稼ぎという行為は俺軍の味方しかしない。

 三日の籠城と、四日の戦闘、そして一日がかりの掃討線で多々スカ医はあっと言う間に決着してしまった。

 過激派の俺達は軍を異世界の王城へと入れた。

 そして堂々と王位略奪宣言を公布した。


 近隣諸国が俺の存在を嗅ぎ付けるまで時間はかからなかった。


 そして、俺軍VS異世界人の最終戦争が幕を開けることとなる。

 『俺・オブ・俺』は願わくばここで俺の快進撃を止めてくれと願っていた。

 だが、その願いは届かなかった。



 ついに異世界人口の半分が俺に置き換わる。

 その辺を歩いている人間の半分は俺である。

 そしてその翌日には街を歩いている殆どが俺と化す。



 ……もう、俺を止められる存在は居なくなった。

 後はもう俺は増え続けるのみである。


 元いた異世界人口の数十倍の数の俺が出現する。

 結果として食料の消費量が生産量に追いつかなくなった。


 食べる物がなくなった俺達は異世界人を襲い始めた。

 そして異世界人が居なくなると俺同士で殺し合いを始めた。


 もう世界には俺しかいなくなった。

 俺コミュニティがいくつかの派閥に分裂して争いを始める。

 だが、俺は滅びない。

 腐るほど……食料として人肉だけはあったのだ。  


 生まれては死んでいく俺。殺伐と混沌の世界。

 数生まれる俺の中には俺の本能を失う個体が出てきても不思議じゃなかった。

 

 『俺・オブ・俺』である本能を忘れた個体が『反・俺・オブ・俺』軍を組織した。

 俺同士の戦争。見分けもつかず数も減らずほぼ膠着状態の戦争。

 その騒乱に巻き込まれて呆気なく俺は死んだ。


 ……その後のことは知らない。


 気づけば俺は俺を異世界に呼んだ悪神ポルタの前にいた。

 異世界のミニチュア模型では俺達が互いを食らい合い相争っている。


 「ねぇ、パパ。人間って醜いね」

 「これも人間の一つの側面と言うことだ」


 ……この言い分はあんまりではなかろうか。


 「ねぇ、パパ。飽きたからリセットして」

 「うむ。ほいっとな」

 

 ポルタの一言で主神による破滅の光が異世界を覆い尽くし俺惑星は滅びた…………はずだった。


 「ねぇ、パパ。今度はこんな世界を見てみたいな」


 どうやら俺の中に破滅の光を生き延びた個体が居たようである。

 その後、ポルタの父が新しい世界と人間を用意したみたいだが……どうなったかはご察しの通りである。

 

 ……死んだ俺にはもう関係の無いことだ。

 

                                       おわり。


  

 

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[良い点] 読みやすいです。 [気になる点] oh……ポイントで負けた。 [一言] ワシの書いた駄作より面白い(泣)
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