目録番号1 マルフェーのガウーナ
目録番号1 「マルフェーのガウーナ」
大陸中部の高原に住む”狼の一族”の女。ガウーナはその中で特に勇武を尊ぶマルフェーの氏族に生まれた。
狼の一族は狩猟の神キハエの子孫であり、ガウーナは先祖返り。常人を超えた力、狼の如き嗅覚、神懸った勘の良さを持つ。
若き日のガウーナは大小様々な勢力として乱立していた狼の一族を戦いによって統一し、確固たる勢力として高原に君臨させた。
狼の一族はそこから急速に武装化し、軍団としての能力と規律を高め、戦力を充実させた。何者も彼らを無視できなくなったのである。
彼らへのあらゆる理不尽や侮りは取り払われた。
大陸南部の大ハラウル連盟王国によって一方的な交易や商取引(酷い時は取引ですらなかった)の餌食にされていた狼の一族にとって、ガウーナは民族の誇りを取り戻した英雄であった。
三十の頃、狼の一族と大ハラウルの関係悪化が深刻な物となり、ガウーナは育て上げた戦力を率いて大ハラウルと戦う。
ガウーナはハラウル加盟国のうち二つを仲違いさせ、三つの軍団を破った。戦場では灰色狼のシドを駆り、時の大ハラウル上級王アデリクに肉薄する場面もあり、彼を失禁させた。
大ハラウルはガウーナに「狼公」の称号を贈り、狼の一族の縄張りを「同盟国の支配領域」として扱った。ガウーナへの懐柔策であり、高原は「狼公領」となった。
国力差や歴史文化等を鑑みればこれは前代未聞の譲歩であり、それほどまでに狼公ガウーナは恐れられていた。
その後もガウーナは大ハラウルと時に戦い、時に交易し、狼の一族を守り続けたが、老いには勝てず隠居。
狼公の恐怖を過去の物として克服した大ハラウルは、高原への復讐を始めた。
高原東部アミアッタの戦いで戦死。大ハラウル将校ドニ・スチェカータの兵団に討ち取られる。
恐るべき事にこの時ガウーナは82歳と言う高齢であり、それでいて尚スチェカータ重装戦士団に少なくない損害を与えた。
大陸中部最強は狼騎兵。そして狼騎兵最強はマルフェーで、マルフェー最強はガウーナ。
彼女の強さは伝説的だった。彼女の纏う白い戦装束は”返り血すら浴びぬ白の誉れ”と讃えられ、狼の一族の神話となった。
麾下兵力 「高原狼騎兵 ”白い野花同胞団”」
狼の一族は馬でなく狼に騎乗する。これを狼騎兵と呼ぶ。狼の一族特有の兵科であり、特に馬に対して有効。
どのような軍馬も高原に住まう巨大な狼を恐れ、これとぶつかり合うと統制を失った。
馬より俊敏で、獰猛で、嗅覚に優れ、執念深い。そして狼は絶対的な縦社会であり、群れの長に逆らう事もない。最強の騎兵である。
その中でも「ハサウ・インディケネ(白い野花の同胞)」を名乗るガウーナ直属部隊は一線を画す。
マルフェーの戦士の中から選抜された若者達を登録長老(名誉職のような物)とし、過酷な訓練を施した後、幾度かの実戦を経験させ、ガウーナの望む戦果を残した者のみが白い野花の同胞となる。
そしてここで言う”戦果”からは焼き討ちや略奪は除外される。それらはれっきとした戦働きではあったが、ハサウ・インディケネに求められるのはそれではない。
「一振りのシャムシールと一頭の狼で二十人を殺せ」 ガウーナはインディケネ候補である登録長老達に狼騎兵としての規律、機転、そして純粋な強さを求めた。
インディケネとなった者は婚姻を禁じられる(望めば団を離れ、婚姻を結ぶ事は出来る)。
またマルフェーの氏族以外から選抜される事もあるが、その場合は出身氏族を捨てマルフェーの人間となる事が要求される。
定数は三十騎。守る物を持たないこの恐るべき三十名の狼騎兵達は、どのような戦場でもガウーナの背を追い続けた。
「ガウーナのマルフェー・ハサウ・インディケネ」
狼騎兵は周辺諸国から恐れられたが、マルフェーの白い野花同胞団はその狼騎兵をして恐るべき存在だった。
+ガウーナの召喚にのみ応じ、騎兵に対し非常に強い。特に機動力に優れ追撃戦にも有効。
-火に弱い。炎の魔法の使い手は総じて天敵である。