夢
夢とは不思議なものですよね。
いつも、いつも、夢を見るよ。
真っ暗な空間で、独り淋しく泣く女の子。
"どうして、泣いているの?"
君に聞きたくても、ここは夢の中。
僕の声は、君に届かない。
昨日も、今日も…泣いている。
この暗い空間で…独りきり。
僕には、君の涙を止める事は出来ないのかな。
君の泣いている姿を見ると、凄く悲しいんだ。
少しでも、君の涙を止めたくて。
僕は、眠る前に祈る事にしたよ。
"君の涙が止まりますように。
君の隣に、誰か寄り添ってくれますように"
毎日、毎日…祈るんだ。
君の笑顔が見てみたくて。
名前も顔も知らない女の子。
ただ、僕は君の笑顔を祈る。
今日も、祈りながら眠りについた。
"あれ? いつもと違う"
真っ暗な空間に、女の子が独り。
でも、泣いてはいない。
"良かった! 今日は、泣いてないんだね"
女の子の背中に声をかける。
そのまた次の日も。
女の子は、泣いていない。
ただ、俯いているだけ。
今日もまた、君を想い、祈って眠る。
"君の笑顔が見れますように"
今日の君は、俯いている。
あれっ?君の隣に、モゾモゾと動く影。
よーく、見ると…一匹のうさぎ。
女の子の隣に、優しく寄り添っている。
"あの子が泣かないのは、君のおかげなんだね。
ありがとう、うさぎさん"
うさぎさんに声をかけて、夢から覚めた。
今日も、女の子の事が気になった。
確かに、昨日は泣いてなかった。
でも、まだ笑顔を見ていない。
僕は、あの子の笑顔が見たいんだ。
今日こそ、女の子が笑っていますように。
いつもと同じ後ろ姿。
でも、いつもと違う横顔。
君の左隣には、うさぎさん。
そして、君の右隣には大きい鳥さん。
君は、嬉しそうに鳥さんに頬すりしているね。
"あぁ、良かった!友達が増えたんだね。もう、君は、独りじゃないんだね"
君に届くか分からないけれど、そっと呟く。
「私の事、心配してくれて、ありがとう!」
そう言いながら、君は振り返った。
その笑顔は、1番見知った僕の顔だった。
このお話は、私が見た夢がモチーフです。毎日、夢を見るのですが、たまには夢を見ずに熟睡したいものです………