54 E → D ランク昇格試験
なんとか一年過ぎる前に更新出来た。生きてます
耳タコ
「趣味だとしても創作はカロリー高いんや……」
「しゃーないやん、自分の書いてる作品には欠点しか見つからないけど、他人の作品読んでる方が有意義なんやもん」
ランクEの昇格試験を受ける為、午前中にギルドが指定している依頼を全て終え、試験を正午に予約しておいたのだ。しかし、受けた依頼の内容では確実に時間が余るだろうと考え、チーム内の実力把握や憂さ晴らしを含めた模擬戦を許可した。……が、白熱し本来の姿を連想させる特徴を晒したばかりか声を掛けるまで気づかない始末。いや、まあ。俺だから無視されていた可能性も無くはないが……。
目の前にはポカをやらかした男どもが頭にコブを生やし正座している。サラも模擬戦に参加していたが、特徴を出し始めた辺りでアクアに呼び出され平常心を取り戻し事なきを得た。
元々見学もといヒーラーとして参加していなかったアクアは関係なし。
俺は怒鳴ったりガミガミと長い事話すのが得意ではないので一言「巣に戻るか?」と真剣さが伝わるように感情を殺して問う。
正座する四人は即座に首を横に素早く振った。当然だ。リアンには巣での事を話してあるが、ほぼ楽しみがない・訓練は地獄 = 二重苦なので戦ってみたいと思っていた魔物二人も「龍の巣・訓練」という単語を聞いた瞬間に震えだすぐらいにはなった。
俺たち?ハイライトが消えて、焦点が合わなくなって、瞳が左右小刻みに震えだすぐらいにはトラウマもんだよ……。圧縮教育ダメ!絶対!
さて、そろそろ反省もしただろうし午後の昇格試験に向け人間として準備運動を始めるか。先程までは魔物としての模擬戦となってしまっていたので、今から行うのは徒手空拳による動作確認。つまり組み手による洗練を行う訳だ。
参加しないアクアを観察員兼指示要員として配置し、大まかなローテーションを組み数分ほどで入れ替わる。その際にアクアから飛ぶ内容改善の指示や提案を受け、最短最善を目指してゆっくりとだが着実に動きを見直してゆく。
地味な作業のようであるが、その実、動作速度はアクション映画のように素早く相手のミスや隙を見つければ軽く一撃を入れることも許可し合っている為、おふざけや手抜き行為が入る余地など無く全員が真剣に取り組んでいる。
なお、軽いの目安は個人の裁量に任せているので致命的なミスや隙には強力な一撃がめり込む。誰しも痛く苦しいのは特殊層以外は苦手なように体罰みたく身体への痛みで矯正するやり方を採用している。
そうやって組み手を行なって数十分。シンプルな打撃音が響く修練場に扉の外側から加えられた力によって軽い音が2、3度鳴った。
アクアが視線を向けてくるので一つ頷く。模擬戦を行いながら視界の端で見守る。扉の先にはタイミング的にやはりと言うべきかギルド職員が立っていた。
身嗜みは整っているのに顔が眠そうで、雰囲気がいかにも早く終わらせて帰りたいと物語っている。そう、実力測定で案内役を勤めていたエイラス=アルバという中年の男だった。
「おうおう。これから試験だっつーのに元気だねぇ〜」
「えぇ、まあ。フェイの考える通りであれば期待外れでしょうから」
こちらに流し目を向けてくるアクア。う〜ん、眼福。
「そうかい。じゃ、冷めないうちに手早く終わらせに行こうや」
「そうね。飽きないうちに終わらせないと……」
街から北北東へ歩いて数十分。萌芽の森。入り口から数分歩いたらキモい新緑色の投擲猿がいた。先日倒したばかりなのでまたか……という思いだが、数の割合としては結構多いらしいので仕方ないなとか考えていると、アルバが投石を投げ返して落ちてきた所をナイフで一撃。早々に処理してしまった。
猿の死体から離れつつ、少し開けた森の木漏れ日の中で向かい合う。
「少し邪魔が入っちまったが、これから試験の内容を発表する」
面倒だと思ってる顔が少しシャキッとして、ポケットから折り畳まれた数枚の紙束を取り出す。
「あー…っと。この中の数枚から一つ依頼を選んでクリアしてくれ。方法や手段は問わない、俺が少し離れた後ろで見てっから自由にやってくれや」
依頼は四つ。どれも討伐系のモノでパッと見どれも簡単そうなのが並んでいる。
「あ〜。猿・鳥・狗・猪ねぇ… (小声)干支かな?」
しかし、騒音鳥と投擲猿は知ってるが、この屍狗と怒猪は知らないな?しかも読み方が変わってるのは何故だ?
「この二体知ってるか?」
受け取った依頼書の絵を二枚見せる。
「狗の方は特筆事項から覚えがあるな。俺とクラグが依頼やってる時に隙を狙っては死骸を持って行こうとした狡賢い奴らだな」
「そうそう。移動中ずっと付いて来てて戦闘中や休憩中の時に奪おうとしてくるんだよね。気は抜いてないから気配だけであんまり関係なかったけど」
ブレイズとクラグが言うには姿は見えなかったけど、小さな気配が付かず離れずを維持していたとの事。
「こっちの猪は多分僕の捕獲依頼を邪魔してきた魔物ですね。どうやらG魚が好物のようで、一匹殺されてしまって探す手間を増やされましたね」
あの依頼は確か、ゲテモノ料理を扱う店から無傷での生捕をお願いされていたはず。人としての感情がある俺には極力近付きたくないと思ってしまうので、前世の知識から素早さに長があるサンダーにお願いしたのだ。
後日調べて判明した事だが、違いは集団で襲って来た場合に対して村人が対応出来るか否かで呼び方が変化するらしい……。片仮名は冒険者に対処を求めるべきとあったが、こっちのスライムは中々に油断出来ないようだ。
⦅戦闘データはありませんが、森で醜鬼が解体していた猪と特徴が一致しますね⦆
(あぁ〜!!あんとき醜鬼と一緒に燃やした猪か!)
じゃあ、この中で簡単なのは狗と猪な訳だが……探す手間を考えたら狗の方が断然楽そうだな?
⦅そうですね。特筆事項と証言からして獲物を見繕って罠を仕掛けるのが簡単かと⦆
作戦は決まったので屍狗の依頼書を全員に見せて内容を伝え、特に反対意見も出なかったのでちゃちゃっと終わらせることにする。
「アルバさん。依頼は屍狗に決めました」
「んあ、もう決めたのか?まだ数分も経ってないが、後から依頼の変更は出来んぞ?」
「はい。大丈夫です。内容的にもこれが一番簡単でしょうから」
俺は微笑みながらそう答えた。
「ほ〜ぅ?それは楽しみだなぁ…」
アルバは顎髭をじょりじょりしながら口角を上げる。この男はこう言っているが内容は屍狗以外が厭らしい。
討伐数は、狗十匹・猪七匹・猿五匹・雌鳥三匹。
片仮名が、猿と鳥 平仮名が、狗と猪。
この内容だけ見れば少し難易度が高くても討伐数が少ない猿と鳥が選ばれそうだが、先程言った通り狗以外罠である。
騒音鳥が煩く鳴くのは番いの時と雄のみ。この静かな森で普通の動物もいる中、雌だけを探せとは鬼畜である。
同じく探すのに手間なのが猪だ。同種の断末魔が四、五匹も響く中で近場から離れていくのが目に見えている。
次に猿だが、こいつは集団で襲って来るから数的には楽なものの糞など投げてくる点、厄介だ。当たる気はさらさら無いが、糞は飛び散るから面倒なんだよなぁ……。
さて、そんなこんなで現在猪や猿といった死骸を囮に八匹目が掛かるのを観察中だ。十分以内に七匹目までは景気良く死骸に飛び付いて来てくれていたが、流石におかしいと気付かれたのか前回から二分以上経っても掛からなくなった。単純に近辺に居なくなっただけかもしれんが。
罠の構造は簡単で、土属性魔法で死骸を地に縛り付け屍狗が走ってきた所をタイミングを合わせて落とし穴を作るだけ。先に落とし穴を作るよりも警戒されず、全部引っ掛かるまで違うタイミングで落とし続ければ近付く必要すらないので非常に便利だ。
が、やっぱり飽きてきた。狩りに関しては非常に血の気が多い俺たちだ。前回からそろそろ三分程経過したが、獲物が来る気配がないので全員一致でサーチアンドデストロイへと移行し無事依頼を達成した。
能動的な狩りを得意とする俺たちには"仕掛け待ち"は完全に向いてないとよく理解できる試験となった。
「お前らなぁ……。ちったぁ、我慢ってもんを知らねぇのか?」
「結果的に早く終われたので良かったのでは?」
「そうだぜぇ?サンダーの言う通りだ!待つだけってのは性に合わねぇ!!」
「いやはや後輩が優秀なようで先輩は嬉しいぜ。ははは」
アルバはやれやれと大袈裟なリアクションをしながら笑ってみせる。
本心は仕事が減って楽が出来そうだな。とか、考えてんだろ……。ギルド職員だから現役ではないはずだが、緊急時に対応させられる事を考えたら優秀な冒険者が居るに越したことはないはずだ。
その後、ギルドの受付嬢に依頼書を持った代表の俺とアルバが報告に向い、無事Dランクに昇格する事が出来た。
ようやく一端の実力ある者としてスタートラインに立てた訳だが、受付嬢が質問してきた内容に衝撃を受けることになった。
「Dランク昇格おめでとうございます。これで混成覇王の皆さんは『最低限の実力者』として世間に認められました。
つきましては、冒険者と探究者のどちらに進まれますか?」
え?この世界の冒険者って一本道じゃないの!?
遠い記憶の彼方で久しい好きな作品紹介コーナー
簡易バージョン
最近読んでるの(未紹介)
・なろう 今日も絵に描いた餅が美味い
バトル系に疲れた時の最強ほっこり空間!
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途中まで読んでたの(未紹介)
理由は様々ですが大抵は自分の飽き性な性格のせいです。最新話まで読み切ったり途中で別の小説に移ると一旦関心がリセットされるの…
・なろう セーブ&ロードのできる宿屋さん
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最近また復帰した作品
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2週間に1回のペース?
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定期的に更新してを繰り返してます
十章面白かった!(紹介時期が遅いw)
・なろう 水属性の魔法使い
更新止まってた訳じゃないけど
個人的には『新しいゲーム』の更新復帰が1番嬉しかった!悪徳領主は定期的に来てくれるの理解してるからまだ耐えれる




