46 冒険者としての一歩③
早く次に進めたいので短め
雑用班 ―― クラグ視点 ――
解散後、クラグは晴れ渡る青い空を眺めサンダーと途中まで会話して歩いていた。
「衛兵の補佐って何するんだろうねー」
「体験した事もない僕に聞くなよ」
サンダーは興味なさそうに、手元の本から視線を外さず応える。
「配達物の方は楽そうで良いよね…はぁ」
「君に僕の速さが出せるなら変わってもいい」
「出せないの分かってて言ってるよね?」
「勿論だ。何度一緒に死んだと思ってる」
「そうだよねぇ……」
二人とも空と本に視線を固定しながらも器用に人との衝突を避け、先に目的地が見えたサンダーは途中で別れてクラグは東門付近の駐屯所に来ていた。
「失礼しまーす。冒険者ギルドから来たクラグと言う者なんですけど…」
物静かな駐屯所は人の影が見えなかった。
「すいませーん!」
「……ん?…誰が来てるか知らないが少し待ってくれ、今少し手が離せなくてね!」
奥の方にある開いたままの扉のさらに奥、少し暗がりになっている場所から男性の声がした。
少し苦しそうな声を聞き、不思議に思ったクラグは奥の部屋へと近づく。
そこには崩れかけている数十個の備品を魔法で浮かせている衛兵がいた。
「手伝いましょうか?」
「幾つか…頼めるかい……?」
「分かりました。
根を張り支えよ『土蔓』」
空中に浮いている備品を傷付けないように、地面から生やした土製植物の蔓を使い効率よく下ろしていく。
「これで全部ですか?」
「ああ…助かったよ。それで…えーと、君は?」
「冒険者ギルドで 一日衛兵補佐の依頼を受けて来たクラグと言います」
「クラグくんだね?私はサジウス。今日 一日限りだけど宜しく頼むよ。いやー、それにしても見事な手際だね」
「そうですか?僕ではイマイチよく分かりませんが」
クラグは身近にいる仲間のことを思い出しながらそう言ったが、自分も含めて規格外だと自覚していないからこその言葉だ。
「謙遜することはないよ。今日 一日は随分と楽に過ごせそうで安心したぐらいだからね」
「はぁ。……そうですか」
曖昧な返事をしたクラグと一人の衛兵は街の警邏に当たるため、必要事項と業務の手順を確認していくのだった。
◇◆◇
雑用班 ―― サンダー視点 ――
クラグと別れ、目的地を目の前にしたサンダーは少し驚いていた。なぜなら、冒険者ギルドより規模が小さいにも拘わらず見た目と清潔感に大きく差があったからだ。
「ふむ。ギルドより綺麗だ」
白を基調とした建物で、森の静けさを感じさせる深緑色と、清水の如き透き通る水色のコントラストが見る者を魅了する一つの芸術品がそこにはあった。
「おっと、それより仕事だったな」
全てを祝福し歓迎するような大きめの入り口を通り過ぎ、大理石のような白い石で造られたカウンターに待機する受付に声を掛ける。
「すいません。ギルドより依頼を受けて来たサンダーと言う者です」
「うん?依頼ですか?」
「はい。冒険者ギルドに依頼を出していたと思うのですが……」
「ちょっと待っててくれ、上に確認してくる」
「分かりました」
依頼を出したのなら全体に周知させておいてほしいと考えながらも、待つこと数分。
「お待たせしてすまない。やはり今日は依頼など出してはいないそうだ」
「おかしいですね」
「申し訳ないが、依頼書か依頼内容を教えてはくれないか?」
「配達物のお届けと聞いています」
「…………あ〜。なるほど、事情は理解できたよ。それ、街道を挟んでウチの正面にある配達ギルドの事だね」
「…ここは違うのですか?」
「ここは治癒ギルドだよ。最近は間違えられること無かったから忘れてたけど」
「ここの正面……もしかしてあの木造の?」
「そう。あの木造の方が配達ギルド」
「そうですか。失礼しました」
最初見た感動を返してほしいと思いながらも配達ギルドへと足を運び、挨拶と仕事内容を把握したサンダーは恙無く仕事をこなした。
◇◆◇
―― 視点:街 ――
その日、配達ギルドと騎士団は想像以上の稼働率を叩き出していた。原因は混成覇王メンバーがお遊びと称して成果を競い合った為である。
理由は単純であれど結果は劇的である。
配達ギルドは三つ倉庫を管理していたが、その内の二つが空になった。残り一つは他の村や街への物なので減ることはなかったが、無造作に置かれていた物は大きさと、この街からの距離によって整理され管理書類も整備された。
限定職員であるサンダーのギルドと届け先の往復頻度に疑問を抱いたギルド長が第一倉庫を除いた時には半分がなくなっていた。手紙のみの第一倉庫は働き者であれば出来なくもないと決定付けて業務に戻ったギルド長は、業務終了の数時間前に受領書類(物理)によって頬を殴られることになった。
配達ギルドのギルド長は言った。
「楽をする為に雇った人員が仕事を増やした。目の下の隈が消えない副長が目に見えて笑顔になっているが、明日から事務方全員で三日間の徹夜作業だと言うのに本当に分かっているのだろうか?」と。
騎士団に所属する全員が己の情けない為体に悔し涙を流した。
最初は気にもしなかった、畑違いの野蛮な者が言うことだと。だが、異様に鋭い嗅覚を持つ新人冒険者は街のあらゆる場所で起こる諍いや困り事の位置をピンポイントで言い当て、些細なことだと見ぬフリをするような道案内や迷い猫の情報、果ては孤児院に対する金銭と食料面での寄付まで行ったという。
一番近くでその様を見ていた衛兵サジウスは、途中自然と涙し、自分が騎士団を目指していた時の気持ちを思い出せたと語った。
その背後では紙束や荷包みを抱えて屋根を飛び跳ねる金髪の少年や、大量の荷物を軽々と持つダンディーな紳士がいたりするが、全てが表に出てくることがないのも真実である。
更新して来たぜぇいゃぁ!
丑三つ時テンションいぇぁあ!w
これ言ってたらファンタのCM思い出したわw
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今回はここまで