42 直接審査 フェリオス VS ウルト
シャオラァッ!書けたぜぇい!!
投稿じゃい!!
「次は、私とフェリオスさんですね。位置に着きましょう」
職員に促され白線の位置に着く。職員は軽くストレッチを行い身体をほぐしていた。獲物は無いように見えるが、もしかして素手なのか?
「私は準備が終わりましたが、フェリオスさんはどうです?」
「俺はまあ、元々準備なんて必要としてないが」
「では、試合を開始したいと思いますが宜しいですね?」
「質問だが、あんたは素手でやるのか?」
「ええ。私たちギルド職員は全員素手と決まっております」
「なら提案なんだが、武器を取ってくれないか?
このままだと一方的に終わりそうでな」
「すみません。ルールとして決まっている以上、私としても破る訳にはいきません。」
「ルールなら仕方ねぇなぁ……。なら、ハンデとして俺だけが防具無しってのは?」
「それも許可はできないんです。ルールとして決まっていますので、破るわけにはいきません」
「ふーん。ならさっさと始めよう」
この身体の便利なところは、準備体操などが無くとも筋や関節が柔らかいことだろうか。それに、戦闘だと認識した時点で血流促進など勝手に起こるので素晴らしいと思う。
悲しいかな条件反射になっていて修行の後遺症とも呼べなくはないが……。
「それでは、これから三試合目を開始する!
私、 ウルト 対 フェリオス この二名で行う。
なお、この試合の結果で減点はないものとする」
内容次第では減点もあるんだな。こういう所で悪質な奴とかやり過ぎる奴を弾いてんのかな?普通は引っかかりそうにないけど、知能がゴミな奴がいるからなぁ…。
「開始!」
ウルトはその場を動かず、俺は相手の間合いに走り込む。迎撃の手刀突きが左肩に飛んできた瞬間に減速し、反応が遅れ手刀は鎧の繋ぎ目に掠ってしまう。はずだったが、予想に反してかなり鋭かった攻撃は一撃で革を切断した。
舌打ちを鳴らし、罵声と共に反撃を繰り出すも半歩下がられあっさり躱される。一度立て直そうと大きくバックステップを行うも、波の揺り戻しのごとく接近を許してしまった俺は鎧を繋ぎ止める右肩の革をまたもや切断されてしまう。
「あぶね〜」
切断されたあとに着地した俺は小ステップを多用して一気に距離を離す。
「楽々と躱していた人の言葉ではありませんね」
「そうか?俺は割と真面目にやってるぞ」
肩止め革が千切れた鎧を脱ぎ捨てながら俺はそう返答する。
「けどまぁ、鬱陶しい重りが消えたのはラッキーかな」
「まさか空中で身体を傾けて躱されるとは思っていませんでしたが」
「いやぁー、望み通りの攻撃が釣れて俺は満足だよ」
「茶番ですね」
防具によって窮屈になっていた肩周りを解して軽くピョンピョンと跳ねて調子を確認する。腰の横へ適当にぶら下げていた木製のダガーを逆手に持ち、構えを取る。
「よっし。準備完了」
「では、今度はこちらから行きますよ!」
非常に素早い動きで近づいてくるウルト。だが傍目から見ていると違和感を感じることだろう。何せ相手のタイミングをずらそうと歩幅や踏み込んでからの二の足 ―― 右足の次に右など ―― をごちゃ混ぜにすると言った不規則なリズムが生まれているからだ。
簡単に表現するなら「キモチワルイ」の一言に尽きる。
間合いを測りかねて、足がこんがらがって転ばないかなとか思っているうちに格闘距離まで接近されてしまった。これまた予測困難で、フェイントの入り混じる拳と蹴りの連撃が放たれる。
様子見がてらに回避行動を取っていたが、くしゃみが出そうで出ない微妙な感情と閃きが中々出ない時のモヤモヤ感が合わさり早々に見切りは諦めた。
といっても、見てからの回避は余裕なので修行時代から苦労している受け流しの練習をすることにした。技術がなくとも元来の馬鹿力のお陰で何とか出来てしまうので気を抜けば力に頼り、ピンチになると技術そっちのけでパワーオンリー、成長もくそもないのでこの機会にという訳だ。
あらゆるフェイントを混ぜてくるウルトの技はなかなかに判断しづらく、受け流しに必要な力加減や角度を何度も間違えそうになる。しかも、スピードに手数にと追求しているらしく不規則な角度で次々と襲ってくる。こまめに狙う部位を変えてくるのも厄介だ。
まだまだ余裕はあるが「少し面倒だ」と思うぐらいには慣れてきた頃、最後に今までより鋭い五連撃が襲い掛かってきた。今の技量では難しいと判断し、少しの悔しさと共に全て叩き落とした。
ダガーの間合いとしている範囲から、これまた不規則な動きで距離をとった。ウルトの顔には少しの驚きからか軽く目が見開かれている。
「まさかあれを防がれるとは……。そろそろ目が慣れた頃だと思い仕掛けたのですが」
「確かに驚きはしたな。最後の連撃ではなく、決着をつける前に距離を取られたことに、だけどな」
「おや、不思議なことを言いますね。私は依然として無傷のままですが?」
俺は笑みを浮かべ「本当にそうか?」と訊く。ウルトは俺から目を離さず不思議そうに身体の調子を探る。防具に触れたその時、防具を固定していた革が「ブチッ」という音と共に千切れ、胴・籠手・足甲がボトボトと地面へと落ちた。
「これは……随分と綺麗な切り口ですね」
内心で冷や汗をかきながら、ウルトは不安を隠しそう呟く。
「感想そこかよ。いやまあ、期待してた訳じゃないけど……」
漫画や物語によくある反応を想像していた俺は少し残念に思った。テンプレが存在したんだ、特定の反応が返ってくることを考えても不思議じゃない。
「ばっ…ばかな……」とか「いつだ、何時攻撃した!?」とかあってもいいと思うの。この人の性格的に無理だとは思うけど。
「長引かせて皆さんや他グループを待たせるのも悪いので、そろそろ決着をつけましょうか」
「おっ、マジで?内容は?」
半身になりダガーを逆手で構え、腰を落とし左手はいつでも使えるようにと、相手から見えにくいよう身体で隠す。
「……ルールは簡単です。私の一撃を受けないこと、ただ一つです」
受け流しでも叩き落としでも、回避でもありですよとウルトは言った。回避の場合は即座に追撃されない距離までの移動と制限がついたが俺には問題ないので了解を伝える。
「では、いきますよッ!」
独特の動きは鳴りを潜め、洗練された動きで急迫してくる。
「フッ」
俺はその場から動くことはなく、至近距離で放たれる上段からの拳と相手の動きを注視していた。
迫る拳にダガーを動かすも、衝突する直前に下へと向きを変え空振りとなる。
「ハアッァ!」
空振りした拳の勢いと遠心力を利用して回転したウルトの裏拳が襲いくる。俺は冷静に出していた手を引っ込め上体を反らすことで攻撃を躱す。
……が。そう簡単に逃がしてくれる筈もなく、第三の脚撃が直ぐに飛んできた。
「フンッ」
どうやらあの裏拳自体も躱わされることを想定していたようだ。不利な体勢ではあるが防げないこともないので、斜め上から降ってくる蹴りに対して受け流しを行う。
受け流した蹴りは地面へと突き刺さり反撃へと移り首にダガーを当てようとしたときだ。動きの不自然さに気付き未だに流れが途切れていないことを視認したのは。
「これでどうですッ!!」
まさかの地面に刺さった足を軸にした真一文字の回し踵蹴りが飛んでくる。
「マジかよ!?」
慌てて体勢を立て直し、フリーにしていた左手で回し蹴りの足首を掴むことで受け止め、順手に持ち直したダガーを首に寸止めで突き付けた。
「勝負あり、ですね。最後のは一撃入ったと思ったのですがね」
苦笑いしながら「私では力不足だったみたいです」とウルトは残念そうにしていた。
「最後のは正直危なかった。けど引き分けか、採点的にこれはどうなるんだ?」
掴んでいた足を離し、目を細める。
ウルトの左手には視認しづらい糸のような細さの針が握られており、指と同化するよう巧妙に隠されているが今の俺では受けきれたか微妙なところだ。
「いいえ、私の負けです。武器は無しと決めていたのでこの針を使用した時点でルール違反になります。それに、一撃と言いながら意地になり二撃目を繰り出してますからね。完敗ですよ
勿論、満点を付けさせて頂きます」
「そりゃ良かった。今度は武器を持った貴方と戦ってみたいもんだ」
「遠慮してほしいですね。……ギルド職員として申し込まれれば断れませんが」
「どうしてだ?」
疑問に思っていると「動きを読まれた私では勝機が薄いですから」と笑いながら言われた。
さて、俺は満点らしいので合格したみたいなもんだが、他はどうなるのかねぇ?
テンションがイマイチ上がりきらないので
簡易紹介でいきまーす。
可換環先生
1.俺の前世の知識で底辺職テイマーが上級職になってしまいそうな件について
異界の神をテイムとかマジかよ…いあ!いあ!
ポルカ先生
2.縁の下のチカラモチャー ~僕だけが知っているスキルツリーの先~
派手さが好きな自分からするとモヤモヤするけど、たまにある場面でスッキリ
ニコニコ
ときちくさん
1.時々鬼畜なアサシンクリード
ポイっちょ好き
marasyさん
2.ピアノ関連
溶接職人。アニメメドレーの繋ぎ完璧すぎかよ
アブさん
3.Hero and Daughter や 天災外科医シリーズ
声やプレイスタイルに好みの差が大きく出るが、楽しくプレイしているのが伝わってくるので見ていて面白い
今回はここまで。