37 冒険者ギルドでの会談②
お待たせしました。
活動報告更新からかなり経ちましたが、まだまだ更新しますのでこれからも宜しくお願いします。
テンプレ場面で力を示してから皆の待つ場所へと戻り、ギルド職員に警戒されながらも会議の場へと歩みを進める。
自分で会議を取り付けといて面倒臭さや緊張を感じていた俺だが、テンプレのことで心が満たされ余裕が生まれたことで思い出し笑いならぬ思い出し笑み(邪悪)が溢れる。
考えているのは先程の女性たちの顔だ。恐怖で歪む顔、その後の醜態を自覚して驚きどう行動するかも非常に興味深い。ギルド職員や冒険者を含めた女性たちは主に五パターンに別れた。
驚きを一瞬で平静に戻し何事もなく仕事を続ける者・取り繕うものの頬が紅潮したままの者・顔が真っ赤になり下を向いてしまう者・色々な感情が混ざり涙目になる者・自分よりも仲間を庇うように肩を抱いてこちらを睨む者。
性格が捻じ曲がっている俺は、今非常に気持ち悪い笑みを浮かべているのだろうと思いながらも無意識に「最高だったなぁ……」と言葉が漏れてしまう。
『大丈夫です。私に任せて下さい』
胸に手を置き女神のような微笑みでそんなことを言ってるが、纏うオーラが破滅の黒なんですがそれは……。
(いや、いいです……。)
すごいな、余韻が一瞬で消し飛んだ。まあ、会議室の扉が視線の先に見えてるし慢心を解消してくれたのだろうが、色々と物騒なんだよなぁ。俺や仲間も含めて。
さて、会議室の扉の前まで来たわけだがこの街の重鎮が顔を揃えてこの薄い木の向こう側にいるのか。叡羅がサポート?してくれるとはいえ、一応不安はある。主に相手の心配な気がするけど。
「いいかお前ら、ここから先は一切の暴力行為や不審な行為は禁止だ。武器は携帯したままで問題ないが、抜くなよ?俺を含めた護衛たちが全力で対応することになるからな」
「理解はした」
「……。言い方が気になるし、先程の雰囲気の気持ち悪さからして不安しかないが… 、面倒事は昨日のオーク騒動で十分だからな」
扉の片側を開ける前にこちらに振り向きそう言ったモンドは、面倒事を嫌うオッサン顔になっていた。
軽く深呼吸をしたモンドは扉を開け中に入って行く。俺は後ろ手で二本の指をチョキで挟む合図を送ってからその後に続く形で俺と紫が横並びに、ブレイズとクラグはサラとリアンの前に位置取り、殿はサンダーとアクアが守るように配置して室内に入る。
俺は目にした光景に瞬きを繰り返し、終いには目を擦って見間違いでないかを確かめるも現実は変わらなかった。その光景とは、重鎮会議だったからだ。
白を基調とした緑・茶・青で自然を表現した驚くほど綺麗で緻密な造りの円形テーブル。テーブルを引き立てるために控えめにしてあるが、それでも目を惹くほどの高価だと分かるイス。他にも置かれている調度品の数々は、質素で決して派手ではないが職人の素晴らしさを窺い知ることのできる品ばかりだ。
そんな最高の環境で行われているのはお菓子を摘みながらお茶らしきものを飲む緩みきった老人たちの姿だ。いや、老人と表現するには不適合な者もいるが、平均年齢が五十を越えているのは間違いないはずだ。
だが、聞こえてくる会話内容は昨日の食事会や明日の天気云々なのだ。
重鎮の背後に一人ずつ控える護衛たちは、静かに目を閉じ立っていたり老人に渡されるお菓子を苦笑い気味に受け取る者など様々だ。しかし、立ち姿や老人たちとの会話の最中でも意識がこちらに向き警戒する雰囲気からして全員が一定水準以上の強者だと判別できる。
「いつまでそこに立っているつもりだい?会議をしに来たんだから挨拶を済まして早く座ると良いよ。ああ、予定にない人のイスは今取りに行かせてるから安心してね」
円形テーブルの上座に座るギルドマスターのオルコットから声を掛けられる。彼は俺たちを一通り眺めると急かすようにアイコンタクトを送ってくる。
だが、俺は見逃さなかった。彼の喉が震えるのを。
俺は聞いた。彼の背後にいる護衛が足で床を鳴らすのを。
俺が自己紹介をしようと一歩前へ出た次の瞬間には視界端である左下からショートソードが迫るのを認識し、首元に届く数瞬前で止まるのを予想していたので行動を起こさなかったが、待てない奴が俺の隣に存在した。
── ギキィィイイン! ──
金属がぶつかり合う音を響かせショートソードの勢いが死に、床裏に潜んでいた影の者が驚きという感情を見せる前に手刀が首元に当たって血が出る。
ショートソードを止めたのは勿論、紫だ。方法は至極単純で、素手だ。だが、相手の常識で考えれば「あり得ない」だろう。本来の姿を見ていない者からすれば刃物以上に硬質な皮膚ということになるからな。魔法発動や魔力の使用すらカケラも感じられないので中々の常識破りと言える。
また、相手の影は情報を持つ重要人物の俺に対して手加減を加え寸止めで事を終えようとしていたが、紫はそんなこと関係無しとばかりに薄皮を裂いて出血させた上に、追撃として狂気を孕み極限まで見開かれた瞳が相手の視界全てに映るよう顔を至近距離まで詰めている。
「…!……!?!?」
「…………」
相手の意識が追い付いたのは良いものの、突き出していた手が動かないことと首の生温かさを感覚的に知って声を漏らす前に視界ホラー状態である。美人顔であるが故に狂気を引き立たせ、言葉を発しないことで具体的な恐怖を与えないことが余計に恐怖を煽っている。
影は数秒間理性で耐えていたが、身体が防衛本能から強制的に意識をシャットアウトしたようだ。
倒れた影からアッサリと視線を外し狂気も引っ込めた紫は立ち上がり、ショートソードの刃の部分を摘んでプラプラと軽く振って魅せる。
「ダメだよ〜?こんな柔い武器使ってちゃ。
── シャキンッ…………キンッ…カランカラン ──
ほら、すぐ折れちゃう」
「「「…………」」」
明らかに金属が折れる音とは別の切断された音が響くが、やったことはグーで握った剣の腹を親指と人差し指で挟み圧を掛けただけだ。当たり前のように断面は綺麗で、言っていることと結果が噛み合っていない。
「あんまり舐めてるようだと、胴体から生えてる五本とも飛んじゃうかもだよ?あっ、男の人は六本かぁ!ふふっ」
場を沈黙が支配した。相手方はドン引き、子竜は紫の言い回しに何やらふんふんと頷いている。サラとリアンは「流石です!!」みたいな顔をしている。
俺はその中で一人、「良い感じに歪んでくれたなぁ…。中々に俺好みだ」と感心していた。
それから少しして秘書と思わしき人物がイスを持ち室内に入って来たことで空気が緩和される。
「……ああ、すまないね。」
「いえ、これも務めですので」
秘書の人は高身長のスラッとした美人だった。如何にも仕事が出来そうで全身から自信が溢れ出ているようにも見える。因みにメガネを掛けている。
イスをテーブルの近くに置くと、無言で影に近づき胸ぐらを掴んでビンタを繰り出した。影の頬が赤く腫れ上がる頃に漸く目を覚ましたが、意識が戻ったと判断した瞬間には既に扉の方へと投げられていた。
そして一言「再訓練、覚悟しておくように」
影の怯えた瞳を見て不運だなぁと思わないでもないが、相手に刃物を向けたのだから命令であっても自業自得だと思う。
一連の出来事で場の雰囲気が完全に変わってしまっていたが、一旦仕切り直して挨拶を始めた。
そして、昨日まではいなかった紫に順番が回って来た。口を滑らせなければいいが……さて?
超簡易:小説家紹介しまーす。
再開 異世界国家アルキマイラ 蒼乃暁先生
第一 マジックイーター(Magic Eater :通称ME) 〜ゴブリンデッキから始まる異世界冒険〜 飛びかかる幸運先生
第二 悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ 壱弐参先生
第三 生き残り錬金術師は街で静かに暮らしたい のの原兎太先生
第四 骸骨騎士様、只今異世界へお出掛け中 秤 猿鬼先生
第五 治癒魔法の間違った使い方~戦場を駆ける回復要員~ くろかた先生
第六 学園騎士のレベルアップ! 〜 転生した俺、累計レベル1,000を超えるものの誤判定で落ちこぼれクラスに放り込まれる。そして、 三上康明先生
作者の個人ランキング
1.ありふれ
2.はぐどら。
3.セカサブ
4.アルキマ
5.インディ(I・D)
6.魔力喰い
7.影の
8.ライダン!
9.愚者
10.ハズレ枠
11.治癒魔法
12.ルール
再開期待枠
・街づくり2
・クロステラ
・蜘蛛
・竜師
以上です
また次話で会いましょう!