36 冒険者ギルドでの会談①
お待たせ〜(=゜ω゜)ノ
ニコニコ漫画で気になった作品の原作読んでたら遅れますた
物騒な発言を聞いて適当に反省して、未だにベッドですやすやと気持ち良さそうに寝ている男四人を叩き起こす。
「おらっ!行くぞ。準備しろ」
よほどベッドの寝心地が良かったのか、一発で起きることがなく転がし落として床の冷たさでようやく起きた。普段から固い寝床で生活している魔物側からしたら高級ベッドは反則だろうしな。
日の出から活動し出すはずなのに今はもう太陽の位置からして九時付近だろうか?それぐらい寝坊していることになる。
『正確には九時四十五分です』
あ、はい。即座に訂正するような声が頭に響く。
大雑把な俺に合わせて、秒を報告しないところがよく分かっているって感じだな。
男性陣の準備が終わり女性陣の部屋に確認しに行くだけなのだが、こちらと同じ状況になっていたら面倒だなぁ思いながら、隣の部屋へ行くために扉を開けると同時にアクアが出てきた。
「起きてたのか」
「当然でしょ?フェリオスが念話で起こしてくれたじゃない」
「そ、そうだったな」
あれ?と思いながらも部屋の中に声を掛けて食堂へと降りる。その途中で叡羅から『女性の色々な準備を含めて一時間前に起こしておきました』との報告を受け、ぐう有能だなと思いました。
昼ではなく昼に近い時間という微妙な時間帯では、食事をしている人数はかなり少なく疎らに話し声が聞こえるぐらいでかなり静かだ。
出された白パンのサンドイッチと魚介系スープをぺろりと胃に収めて食堂を後にする。寝起きの胃に活力を与えるような優しくも量のある朝食には感謝だな。
宿を出た後はアクアたちに服屋の場所まで案内してもらい、服装を何とかすることにした。
店に入ると店主と思わしき豪華な服を着た中年の男が挨拶をし、後ろのアクアたちを見ると真剣な表情になりいつ呼んだのか店員が集まり総出で謝られた。
謝罪を受け入れ早速服を選定してもらっていると、店の中をキョロキョロと見ていた俺の隣に店主がやって来て話しかけられた。
「何かお探しですかな?」
「いや、特には。けど、どこか寂しく感じてな」
この店には一般貴族たちが着るような実用性もある質素な衣服や、宝石ジャラジャラ装飾盛り盛りの無駄に派手な詰め合わせセット状態な金持ち向け商品などがある。だが、働いている店員の表情は営業スマイルのみでやり甲斐を感じているようには見えない。
「やはり、見る人によってはそう感じますか……」
「ああ。だが、この店で働けているという誇りは感じるけどな」
やり甲斐を感じるほど満足してはいないが決して表情や心が死んでいる訳ではなく、この店のために働けている喜びが行動から感じ取れる程度には忙しなく動いている。
「はっはっは。そうですか、そうですか。なんとも嬉しい評価ですな」
店主はニコニコとした後に悪戯をする子供のような表情になると驚くことを口にした。
「良い観察眼をお持ちだが、訂正させてもらうと私はまだ三十代前半ですよ。よく中年だと勘違いされますが、まだまだ青年の範囲ですな」
「それは老け顔過ぎないか?ちょっと無理があるだろ」
「いやいや、事実ですとも」
選定が終わり店を出るまではずっと店主と話し続けており、街の近況や服の管理や着方についてのあれこれを教えてもらい、こちらからは冒険者になる旨と服に使用される素材について無理のない範囲で探してみると伝えた。
「うむ。これで大丈夫でしょう。実用性があり、最低限の礼儀は弁えています」
「助かった。服に関してはサッパリだからな、これからも贔屓にさせてもらうよ」
男性陣は地味な色に自分の色を示すような形となり、女性陣は目立つのを完全に避けて紺色や黒色といった動きやすいドレスになった。
その中でリアンだけは執事服に似たものにした。理由は単純に様になるからってだけだ。
「是非とも宜しくお願いします」
後は冒険者ギルドに向かうだけとなったが、少し心配事があるので一人路地裏に寄り道をする。そして、早速伝説の武器である紫に呼びかける。
「おい、紫。少し話がある」
「どうしたのー?」
「形状変化ってのは直ぐに出来るのか?」
伝説の武器である紫は俺が名付けたことで"八百万神"の名を持ち、八百万もの数だけ形状変化出来る。
「んっとね〜。使用者の魔力量にも依るんだけどね?ご主人の魔力を使って良いなら今すぐ出来るよ!」
「なら今すぐやってくれ」
「分かった〜!じゃっ、武器の範囲でイメージしてね」
ギルド会談にも持ち込めるような危険性が伝わり難い武器で、なおかつアクセサリーに見えるような"指装甲"を選択した。形としては人差し指の第一関節から第三関節を守るようなもので、部分変化で指先を覆う鋭爪を出せるような感じだ。
それを人型状態の紫の指と融合したイメージする。
紫は俺の魔力を十分の一程度吸収すると、即座に変化しだした。
「おっけーだよ!少し耐久力に問題があるかもしれないけど、魔鉄製の武器を弾くくらいなら問題ないよ〜」
「少し前から気になってたんだが、異世界準拠の鉱物硬度とか名前とかってどうなってんの?用語だけぽんぽこ言われても知識が無いからサッパリなんだが……」
『少しお待ち下さい。知識をぶんどri……取得しますのでギルドへ向かいながら説明致します』
叡羅が紫から魔力に似た何かを吸い上げるようにしながら黒い発言をした。
「えっ!?ちょっ!何これ気分が……?!」
何の説明もなく記憶を覗かれているのであろう紫は、言葉と雰囲気からして目を回しているのが容易に想像できた。
△▼△
以下が紫から取得した知識と俺の知識とを混ぜ合わせた比較表だ。
総合的な硬さ順
硬
・魔霊 … 魔鉄より硬く、非常に軽い。魔力効率が八割を超える。
・魔鉄 … 金剛より硬く、非常に重い。魔力効率は六割。
・金剛石 … 魔力効率は五割。
・霊銀 … 鋼より硬く、軽い。魔力効率は七割。
・鋼、鉄、青銅、銅、銀、白金、金、爪、皮膚
柔
△▼△
「おお〜、よくある並びだなぁ。にしても、ミスリルの上がダイヤなのか」
『この世界では一般的……ではないですが、一部の者がダイヤモンドを使用しているようです。次いで私のスキル説明欄が増えたようです』
叡羅の報告を聞き、確認してみると確かに『接触した者の記憶を読み取る』といった内容が追加されているのを確認した。
「てか、さらっと記憶を読むとか凄いことしたよなぁ……」
俺は先を鼻歌交じりに進むサラや、他六名の少し後ろを少し遅れて歩く。そして叡羅は『いえ、それ程ではありません。順次、私に与えられた役割を確認しているだけです』と謙虚でありながら存在意義を探すように答えた。
因みに、男組は魔物やこの街の食べ物について話し、女組は先ほどの服屋にあった華やかな服の話しに夢中であった。
さて着きました、冒険者ギルド。大きな盾に地に刺さり交わる三本の剣が特徴の看板。中は広く全体的に清潔に保たれている。そして、古い酒場と比較的新しい冒険者ギルドがくっ付いた珍しい形をしている建物だ。
受付カウンターや酒場には疎らに人がおり、二つあるボードのうち片方は規則的に張り紙が並び、逆側は張り紙が千切られたのか虫食い状態になっている。
「会議〜。かいっぎ〜、会〜議♪」
自分で言いだしたことではあるが、面倒臭さと緊張を紛らわすために呟きながら受付に向かう。
だが、今回はテンプレが俺にちょっかいを掛けてくる。
「おい、そこの坊主。ちと、顔貸せや」
スキンヘッドの二メートル近い大男が話しかけてくる。雰囲気は不良で一般人なら怖がるであろう顔をしているが、行動からは雑さや不満を感じるようなところが見られる。
大男が後ろを振り返らずスタスタと歩いて行くのを見ながらリアンへと指示を出す。
「俺のことは気にしなくて良いから、状況説明と皆んなの誘導頼むよ」
後ろで「面白そう!」と目を輝かせているブレイズとクラグの視線を振り切り、対応と会話が一番安全そうなリアンに全て押し付ける。
俺は大男の後ろに付いていく振りをしながら、受付にいる受付嬢たちの顔を伺ってみるが、特に変わりなく平常運転だった。
「なあ叡羅。今、何時頃?」
『十一時四十五分です。早めに終わらせた方が良いかと』
そのまま酒場の奥まで来ると壁際で脅された。内容はそれほど興味がなかったので聞き流していたが、要するに金と使い走りが欲しいから言うことを聞け、拒否するなら暴力って感じだ。
非常に分かりやすくて助かるな。この状況で勧誘とか頼みごとだとか、ちんぷんかんぷんな内容が飛び出してこなくて逆に安心した。
大男の不満は更に膨れ上がり、視線が時々逸れたり分かりにくい貧乏ゆすりをしたりしている。その原因は視線が逸れる先にある。
大男の仲間と思われる者たちが酒を飲んでおり、見せびらかすようにジョッキを掲げて揺らしたりニヤニヤしていたりする。
元から外見や態度の感想として「怖さ(笑)」しか感じていなかったが、これでは雰囲気が色々と台無しである。
俺は進展しない状況に欠伸を噛み殺していると、暇そうな俺の感情を汲んでくれたのか態度が変わる。
「あ゛ぁ?殴るぞテメェ」
「はいはい。暴力バンザーイ!ってな。この後用事あるし、俺も暇じゃないから早めに終わらせて欲しいんだが?あと、仲間に煽られて不満が駄々漏れだと作った雰囲気が台無しだぞ〜」
俺はそう言って態と大きな欠伸をしてやる。
「ガキに舐められてんなよ〜!」
「そうだぞー。情けねぇ!」
「怖さは見た目だけか〜?」
『ギャハハハハ』
仲間によって更に煽られた大男はついに実力行使に出た。最初からそうすればいいのに、態々苦手な話し合いで済ませようとしているところに疑問を感じるが最低限の話しはするってもんなのかな?
「オラァ!」
正面から飛んできたストレートパンチは驚くほどに遅かった。素早い動きに慣れた動体視力的な意味ではなく、男の体格や筋力量から考えたスピードと釣り合っていないのだ。つまり、完全に手加減されている。
それに可笑しなところは、まだある。男の顔は怒っているのに拳に感情が乗っていないし、即発的に殴っている割には鼻の先端に当たるよう調節してある。
まるで最初からそこだけしか狙っていないかのような不自然さを感じるし、体格差があって狙いにくいだろう俺の的が小さい顔を選ばなくても、胴体を狙えば簡単なはずなのだ。
何か狙いがあるのかと考えていたが、一つの可能性に辿り着く。それは、力試しや度胸試しと言った一定の実力を持つ冒険者による見極めだ。
そう考えるとこの不自然過ぎる様々な行動に筋が通るように感じられた。間違っている可能性があるかもしれないが、そういうことにした。
そうなると回避か防御、反撃か威圧のどれかになるのだが、どれが一番印象に残るだろうか?
回避
・相手に認識出来る範囲で素早く動き躱す
・必要最低限の動作により紙一重で躱す
メリット:能力の高さを示せる
デメリット:インパクトがない
防御
・受け流す
・指だけで勢いを殺す
・魔力や障壁で阻む
メリット:技術の高さを示せる
デメリット:驚きはあれどすぐ薄れる
反撃
・拳に対して拳を突き返す
・相手の腕を蹴り上げる
・相手に攻撃して黙らせる
メリット:インパクトがあり印象に残る
デメリット:個人的にあんまり面白くない
威圧
・攻撃を認識した上で動かず笑う
・一瞬だけ殺意でない純粋な威圧を放つ
メリット:確実に不気味さが伝わる
デメリット:相手が怪我する恐れがある
やはり威圧一択だろうか。個人的に楽しめそうな内容であり、耐性のある者とない者がどこまで追い詰められるのか気になるってのもあるな。
鼻先から十センチもない場所にまで拳が届く。あと一、二秒もあれば顔面に直撃するだろう。だからその前に拳を見てニタァ……と笑い、大男の瞳の奥底を覗き込むように見る。
そして、俺がこの世界に来て初めてブラッドに浴びせられた"生命活動を拒絶させる"の威圧に似せた"動くな殺すぞ"の威圧を放つ。
俺の放った威圧は波紋のように建物内だけに浸透した。一秒にも満たない僅かな時間だけ存在していた威圧だが、効果は劇的だ。
目の前の大男の拳は鼻先に触れないギリギリの所で硬直し、足はガクガクと震えて体勢を保てなくなり尻餅を着く形で後ろに倒れた。そして、急に喉を抑えて口をパクパクとさせた後に白目を剥きながら泡を吹いて沈んだ。
距離的に次に近かったのはこちらを煽っていた冒険者や酒場の飲んだくれ共だが、反応的には三種類に別れた。大男と同じく床に沈む者、心臓を抑えて苦しむ者、目を細めて冷静に俺を観察する者だ。
特に目立つのは、威圧を受けても平然としてグラスを磨いている酒場のマスターだな。
次に反応を見せたのは受付カウンターにいる受付嬢やその奥にいるギルド職員達だ。態々距離減衰するように仕組んでいたので倒れたり苦しむ者は現れなかったが、受付嬢と一部の職員は恐怖に震え上がり、残りの職員は威圧の発生源である俺の方を睨み、腰に下げている短剣に手を掛け構えている。
ギルドの二階にいる者達の気配を探ってみるが、何らかの魔法の所為で正確な人数や位置はつかめずトゲトゲとした雰囲気しか感じることができなかった。
結果的にパニックになったものは一人も存在せず期待外れという形になった訳だが、漫画みたいに綺麗な倒れ方と失神したやつが多くて面白かったから良しとしてやる事にした。
恐怖で失禁するやつがいるかも?という期待も一応はあったが、行動阻害を優先し過ぎたようで目に見えて漏らしたやつはいないらしい。ギルド職員の幾人かは顔の反応からして少しはいたようだが。
そうして俺はテンプレのような場面で力を示して悠々と皆の待つ場所へと戻り、ギルド職員らに警戒されながらも会議の場へと向かった。
俺の小説も漸くユニーク2万人越えして凄いなぁと思ってる。こんな投稿期間ぐだぐだの作品がここまで一応は来れるんだなぁ。
付け足すとPVは72,724まで来たよ…
理由は、あらすじだけ面白そうなこと書いてる事と作品紹介があるからだと思ってるよ。
今回はニコニコ漫画で紹介されてたの読んでハマったなろう作品を紹介します。
「<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム-」の
海道左近 先生です。
今も現在進行形で読んでる最中なんだけど、とっても面白いです。パッと作品を軽く知りたい人は公式サイトに載ってる漫画を読むと良いと思います。
自分は続きが気になり過ぎて原作に釣られた一人って感じですね。漫画の勢いとか躍動感とか凄いから早く漫画の続きを読ませてくれって思ったりしてます。
次はもう一つの作品の方を進めるから、投稿はいつになるか分かりません。
今回は以上です。