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異世界最強種〜神龍より生まれし存在〜  作者: 黒神金龍
ドラッへ〜冥護を受けし街〜
34/56

33 ブレイズとクラグの屋台巡り③

新年あけおめ、ことよろ。(今更感)

はい。黒犬です。


いつも通りだから特に感想はないが、すまんかった。

今年は物語の序章を抜けれるといいなぁと思う。

希望的観測の気まぐれシンドローム

 犯罪者の後ろから人を掻き分けて出てきた男性が一人いた。その男性は黙って犯罪者の男に近づき、首筋に手を軽く触れた後にこちらへ歩いてくる。

 ブレイズの数歩先で止まると緊張感もへったくれもない言葉を口にする。


「二人とも随分と美味しそうな匂いがしますね」


 ── ドサッ ──


 ── ガランッガラ、ガラガラァ ──


 そう話しかけたのはサンダーだった。その後ろで犯罪者の男が棒立ちのまま地面に倒れ伏す。役目を終えた球体も地面に近づいてその形を崩し、支えを失った投擲武器の塊は重力により音を立ててその場に山を築いた。


「うっ、おぇっ。不゛っ味゛ぅ!!何コレ、昔に食ったゴブリンの味に(まだら)人面魚を足したような全身逆鱗ものなんだけど……」


 ※(まだら)人面魚とは、身がナタデココのようなサイコロ状でゴムの食感に若干の魚の味、噛み切ると中から半液体状のヨーグルトに近い毒液の(もと)が出てくる。その素が想像を絶する味の変化を起こすので、食べた全員が悶絶するのである。


 味の変化的には個人差があり全員が全員同じ味を感じることはなく、甘味・苦味・酸味・辛味・塩味が強烈な勢いで入れ替わり不協和音の大合唱を起こす。

 その素は唾液(弱酸)に触れると解毒されるのに胃液(強酸)に触れると猛毒に変わるという性質を持っており、味は舌から三日間消えない(アレ)だが栄養価は人面魚三匹食えば部位欠損も治るほど高い。

 ただし、欠損してから二十四時間以内で、水揚げしてから三時間以内の新鮮なものに限られるが。


 ゴブリンはただただ不味い。例えるなら某聖徳太子が食べた『ちょっと変な臭いがするお菓子』レベルに寿司を握っても次のコマでは卵焼き(ダークマター)にする能力を持つ、眼鏡が本体の姉の味を足したようなものだ。


「ふふっ……。当然だよそんなお粗末な魔力食べちゃったら。あ、サンダーお腹空いてるんだったら後で一緒に僕たちと食べ直そうよ」


「それはいいのですが、まだ食べる気ですか?」


「チクショウ。嫌な思い出が二つ同時に蘇っちまったじゃねぇか……。おう、サンダー。俺の口直しに付き合ってくれよ、まだ食い足りねぇ」


「だってさ。僕たちは争いの臭いに惹かれてここに来ただけで、食事は中途半端に終わらせちゃってるから物足りないんだよね」


「そうですか。では、美味しく食べる為に軽く運動でもしましょう」


「「おっけー」」


 サンダーの言葉に軽く返事を返す二人。だが、周りの人間や尻餅をついた学生たちはポカンと口を開けたまま呆けている。


 当然の反応だ。魔法に抗う術を持たない一般人は火炎球(ファイヤーボール)を見た時点で一方的に負けることが確定しており、扱いを心得ている学生たちでさえ対応が遅れた時点で重傷は不可避であり、更に言うと発生した火炎球の手数的に運が()ければ即死だ。逆に即死しなくても部位欠損や火傷で長く苦しむのは確実だ。


 だが、現実はどうだ。一般人や学生たちは誰一人として死ぬことはなく、また怪我人すら出ていない。術が発動した直後に一般人の方へと飛んだ火炎球は全て土塊に搔き消されてそれ自体が被害を出しそうになったほどだ。

 それだけじゃない。一番の理不尽な存在は正面から火炎球を大量に受け止めて無傷どころか味の評価をしている男だ。打ち消す為の魔法陣も確認できず直撃する所を全員が目撃しているはずだが、直撃に対する認識は軽く流されている。

 それはつまり、その者にとって火炎球の直撃は認識するほどの事でもないということになり、気遣いもなく話している二人も同様に理不尽である事が窺える。


 ブレイズとクラグに合流したサンダーの三人が話し終えると同時に、相手の準備も済んだらしく再度攻撃が飛んでくる。先程と違う点は投擲武器に混じって幻惑効果か何かでナイフに見える魔法攻撃が用意されている事だ。


「あれ、意外に準備が早かったね?」


「あれだけの時間を与えたのですから当然では?」


「いんや〜。そこに倒れてるやつらもっと遅かったぞ?」


「本当ですか?はぁ……話にもなりませんね。そういう意味では、私はタイミングが良かったと思うべきですかね」


 会話をしながら自らの周囲に魔法を展開する三人。

 サンダーは先程と変わらず、雷魔法で球体を作り磁石の要領で金属製のナイフを引き寄せくっつける。当然、魔法で見た目を誤魔化したナイフモドキがこちらに飛んできている。

 その魔法攻撃(ナイフモドキ)をクラグが作った土塊(つちくれ)が撃ち落そうとするも、二度も同じ手が通用するはずもなく水魔法で迎撃されてしまう。


「ありゃ?対応されちゃったや」


 と、クラグはケラケラと笑いながら水魔法が飛んできた辺りを"撃ち落とされた土を見ながら"確認する。


「な〜に勝手に負けてんだよ。さっき街中で火ィ使うなって揉めてたばっかなのに、俺に使わせんじゃねーよ」


 ブツブツと文句を言いながらも野球ボールサイズの火炎球をぶつけて相殺し切れず残った炎を消す。

 そうして打ち消し合い時に感じ取った感覚を確かめながらブレイズは「ふーん。なるほどなぁ」と一人で勝手に頷いている。


 少し大きくなった武器の山の前に立ち、眺めながら少し思案しているサンダーにクラグが隣に歩いてきて声を掛ける。


「どう、いけそう?」


「数は足りてますが、安定させるのに少し必要ですね」


「そっかぁ」


 ブレイズの元に戻ってきたクラグは少しの間サンダーを守らないといけない旨を伝える。


「んー……。まあ、何とかするしかねーか」


「人間の魔力って有限らしいから直ぐだと思うけど、面倒なのに変わりはないよね」


「だな」


 二人は魔法相殺時の感想や威力の見極め、気配の位置に魔法の出所の最終確認を行いまたもや時間稼ぎをする。すると、こちらが反撃してこない事に焦れたのか一箇所から水魔法が飛んでくる。その後に続くようにして他の三流潜伏者達も次々に魔法攻撃やら武器やらを飛ばしてくる。


 足並みの揃わない不恰好でお粗末な集団だと認識してしまったが故に、子竜たちの中での評価が三流からクソ雑魚ナメクジへと下落してしまった。

 素人よりもタチの悪い、変に自信を付けた出来損ないだ。素人の方が不慣れな分命令に忠実なのでまだ優秀だ。



 ブレイズとクラグは、サンダーやその他を巻き込まないよう慎重に投擲武器と魔法攻撃に対処していく。

しばらくすると、二人の顔には汗が滴り顔も苦々しいものに変わっていた。相手側の魔法の威力や数も減ってきてはいるものの人数では負けているため、精神的に厳しいものがあるのだろうと思われた。


 数分後には最後の足掻きだろうと感じられる威力無視の手数攻撃を仕掛け、攻撃が一切飛んでこなくなった。


「ふぅー……。やっと終わったか?」


「雰囲気的にそうじゃないかなぁ?最後の攻撃はかなり焦ったけど、威力がショボかったから限界だったんだよきっと」


 額や頬を伝う汗を服で拭いながら、二人ともうんざりとした表情で全身疲れたアピールをしている。


「流石に準備は整ってるよなぁ?」


「予想より長く(相手が)粘ってたお陰で完璧に掌握済みですよ」


 サンダーがそう言い終えるなり、山になっていた武器どころか迎撃合戦をしている間に撃ち落とした武器までが空中に浮き始める。

 地面と平行に浮いていた武器は切っ先を空に向け直立すると近いもの同士が集まり八本で一つの円を形成する。円の大きさを変える事なく軸で固定されたように回る武器たち。


 次第に回る速度は増していき、少し残像が見えるようになるとサンダーの元へと集まりサンダーを軸として縦に円柱―― 一組を円三つで構成した三段、一番上に蓋として円一つ――を成して更に回る。


 周囲を回りながら浮かぶ武器を見て笑みを深くしたサンダーは技名(キーワード)を呟く。


「剣の舞」


 剣たちは技名を聞いた途端にまるで生きているかのように飛んでいく。

 俺たちにとって技名などはただの飾りでしかないが、完全無詠唱化より簡易詠唱化の方が"まだ"怪しまれないのではないか?という勝手な考えからだ。


 数十秒後にくぐもった声が聞こえ、サンダーが非常に良い笑顔になる。


「終わりましたよ。抵抗が下手くそなお陰で、綺麗に地面へと磔に出来ました」


「お?笑顔ってことは全員か」


「当たり前ですよ」


「それにしても、フェイが言ってたことってこんなに難しかったんだね……」


「だな〜」


「負けているように見せかけ、発汗や感情・魔力操作から乱れまで意識して調節するのが良い訓練になるのは間違いないですね。

 ただ、慣れないうちは魔力効率が悪く相当に疲れるのと、上手く出来ない自分に腹が立つことぐらいが問題点ですかね」


 なぜサンダーまで腹を立てているのかと言うと、剣の舞を発動するにあたって取った手順が稚拙だったからに他ならない。

 説明するとこうだ。


 一、石畳の溝に沿って静電気に変換した魔力を走らせる。

 二、剣を帯電させて魔力を馴染ませながら、移動経路を魔力糸で確保する。

 三、魔力糸を極限まで細くしながら、量は多く速く流す。

 四、完全に馴染ませる一歩手前で留めて(九十九.九%)維持すること。


 これがブレイズとクラグの戦闘中に行われていたのだ。技術的にはかなり高度なことをやってはいるが三流や四流相手にしか通用せず、棒立ち状態に完璧な信頼という安全と魔力感知系術者の不在が現状での成功条件という、実用性皆無で親相手だと数千万は殺されているであろうレベルだ。



 未だ現状が理解出来ずに放心する一般人と、魔力感知を拙いながらも出来て『技術とやってる事の出鱈目さ』に言葉を失い尻餅をついたまま口をあんぐりと開けた学生が子竜を見守るなか、数十人の騎士が声を大にしながら慌てて駆け寄ってくる。


 真っ先に事情聴取を受けそうな子竜たちだったが、鬼のような形相で犯罪者共を捕まえろと指示して学生や一般人からも手短に話を聞いた騎士は豪華な鎧を着る二人を残して金属音を立てながら周囲の建物へと散らばっていく。


「初めまして。私はこの騎士団の団長を務めるクラウス・メナファルという者だ。隣にいるのは副長のルナリア・ヴァルグスだ。「どうも」。ここ数十分のうちに起きた連続爆発音の件に関して聞かせてもらえないだろうか」


 こうして騎士団による長時間の拘束があり、解放された後も一般人や学生による感謝の言葉やお礼にと大量に奢ってもらった飯を食い、満腹になったものの一向に興奮の冷めやらない者達によって揉みくちゃにされた子竜たちは、ひと段落した時点でそそくさと逃げ帰った。

 やっとの思いで宿へと帰ってきて、部屋に入るなりベッドへとダイブしたのはそういう理由があったからだった。

投稿が遅れた理由を一応書いとくと、新たに追っかけたい小説を見つけたのと・気まぐれと・気分と・色々な私事と・動画見てたからです。

完全に怠けですね。


あい。って事でいつもの紹介コーナーです。


今回、新たな追っかけが出来たと言いましたがその小説を紹介します。


なろう

『異世界国家アルキマイラ ―最弱の王と無双の軍勢―』

蒼乃暁先生です。

※生存中(現在、第3章執筆中のため停止)

全58話まで投稿されています。

自分の中での追っかけ度が上位に食い込む作品です。比べる訳ではないですが、オ◯バ◯ロ◯ドを超える面白さを持つと思っています。


この作品に対する感情移入は特に激しく、胸熱展開や喜怒哀楽などはモロに影響を受けました。

一気読みするにあたって久しぶりに徹夜してしまったほどですし、胸熱状態で夜中に光を遮る布団の中で泣いてしまうぐらいには入れ込みました。


早く続きが読めればな〜と思い、周回読みしたりしてます。因みにランキングは同率3位でセカサブと並んでます。


今回はこれで紹介を終わります。

あとセカサブが書籍化したので迷わず購入しましたw

セカサブの人物イメージがぴったりとハマり、違和感ゼロだっただけでなくエコちゃんがめっちゃ可愛くてとても穏やかな気持ちになりました。



これからも暇つぶしとして読んで頂ければ幸いかなと思います。

改めて今年もよろしくお願いします。

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