31 ブレイズとクラグの屋台巡り①
最近は予定に予定が重なって忙しさが半端なかった
3週間も遅れたけど予定の合間に書いてたお陰と、ストレスから逃げる為に生まれる想像力に助けられて1週間程は投稿を縮められたと思ってる
遅れた分少しだけ長めにしてあるよ
サンダーが宿を出た頃、ブレイズとクラグは既に北門近くの屋台の列にやって来ていた。自由に動いて良いと言われ、解散の合図を聞き次第飛び出して行ったからだ。
「さて、兄貴がくれたこの紙で食べまくるか!」
「おー!」
二人して通りの真ん中で拳を天に掲げる。そして、周りにいた数人に不思議な目で見られていた。
二人は、未だに食べていた。門に一番近い屋台から食べ始め、既に三十分も掛けて五店も売り切れにしているにも関わらず…だ。
食べたのは、ウォーバードの焼き鳥、レイニーエレファントのステーキ、ブレッドプラントの姿揚げ、デビルウルフの白パンサンドイッチ、ブレスマッシュの具沢山スープの五種類である。
「いや〜どれも美味しかったな!」
「そうだね」
二人とも口の端に付いたスープの汁を舐め取り、次の店を狙う。
そこには初めて調理された食べ物をもらい、食べた時の優しい甘さが売りであるタマゴ焼きの店があった。
「お?確か兄ちゃん達はあのモンドさんに連れられてたよな?」
店に近付くと、おっちゃんの方から声を掛けてくる。
「兄貴以外に興味はないから、知らん」
「は、はい。そうです」
クラグは問答無用で興味なしと切り捨てるブレイズを抑えながら肯定する。
「それならこのタマゴ焼きを二本奢るから、一人一本で勘弁してくれねぇか?」
おっちゃんは木を加工したような棒にタマゴ焼きをぶっ刺して渡してきた。
「はぁ?何言ってんだよ、まだそんなに余ってんだから売れる分には文句ねぇだろ」
ブレイズは先に閉店させた店の店主が売れ残りを気にしていて、完売した事に喜ぶ姿を思い出しながら言う。
「すまねぇな。それでも俺はよ、まだ見ぬ人達が寄ってくれる可能性がある限りは意思を貫き通すって決めてんだ」
「ふーん……」
暫しの間見つめ合ったブレイズは、おっちゃんの瞳に宿る商売人としての覚悟を見たのか生返事をした後に考え込んでしまった。
「あ、えーと……そういえばまだ、自己紹介をしてませんでした」
「ん?そう言えばそうだな。俺はこの屋台で二十年店主をやってるケニーだ。」
「僕はクラグと言います。隣で考え込んでるのは家族のブレイズです」
丁度紹介を終えたその時、ブレイズも何か考え付いたのかバッと顔を上げるとケニーに向かってニィと口を歪めて見せる。だが、口の周りには考え込んでいる間も食事を止めていなかった所為で、タマゴ焼きの食べカスが付いている。
「おっちゃん、塩持ってるか?」
ブレイズは机に手を付き屋台の内側に乗り込み気味で問いかける。
「塩ぉ?何で今そんなもんが必要なんだ?」
ケニーは意味が分からなくて頭に複数の疑問符が浮かんでいる。
「いいから!持ってんのか、持ってないのか!どっちだよ」
「い、いやまあ、味付けの為に少しはあるが……」
「おっし、ならここに出してくれ」
「お、おう」
戸惑いながらも木の器に入っている五センチぐらいの小山になっている塩を出す。
「確か……一掴み?いや、一摘みだっけか?」
朧げな記憶を探るようにしながら、塩をタマゴ焼きに振り掛ける。
そしてそのまま一切れを口に放り込む。
「……うーん。何か違うなぁ」
「おいこら、説明もなしに商品を食うな」
ブレイズは思い通りにいかなかった事に首を傾げながらも、文字通り死ぬような猛修行中に行われた訓練後の雑談を思い出す。その時は奇跡的に誰も死線を彷徨う事なく訓練を終えることが出来た時の話だ。勿論、子竜達は全員がボロボロでヘットヘトだった。
それは兄貴であるフェリオスが、草原に大の字で寝転がりながら大声で叫んだのだ。
「クッソー!めっちゃニラたま食いてぇ〜!」
その「ニラたま」を知らない俺達は当然不思議な顔をしたし、食いたいと言う言葉に反応してとても気になった。
兄貴に質問すると、卵の中身とニラという草を混ぜて焼いたものらしく、甘くて美味しいと笑顔で話していた。そのニラたまに塩を振り掛け食べると元より甘くなり、食べ物に好き嫌いが多かった自分としては大好きな食べ物の一つだったという話だ。
他にも説明をしていたが、暴食野いちごより甘いと聞いてしまい想像を働かせてしまうのは仕方ないと思う。
だが、俺はそれだけは聞き逃さなかった。甘くするのに白い砂のようなものを入れるのだと。そしてその砂は砂糖と呼んでいたはずだ。
「砂糖?そう……多分、砂糖が足りないんだ」
「は?なんだ、その「さとう」というやつは」
「甘くて白い砂だって俺は聞いたぞ」
隣で黙々と味を堪能していたクラグも、顎に手を当てタマゴ焼きと野いちごを比べてから、一つ頷き口を開く。
「確かに、砂糖が足りなく思うね。実際にそこまで甘いものは食べた事ないけど、このタマゴ焼きよりかは野いちごの方が甘いしね」
「はっ。それは幾ら何でも冗談が過ぎるぜ。俺のタマゴ焼きが野いちごに劣るたぁ、随分と大きく出たもんだなぁ?」
「僕もブレイズも食べ物の味に関しては結構うるさいし、『こだわり』について僕は仲間一、強いよ」
クラグはケニーの瞳を正面から受け止め、尚強く出る。
「そうか。だが、一般的に森なら何処でも『簡単に』取れそうな野いちごに負けるとは……悔しいものがある」
はぁ……。と溜息を吐き。俺の二十年はこんなにも脆かったか、と落ち込んでしまうケニー。
だがそこで簡単だと言われたブレイズは、何も分かってねーなと愚痴る。
「はあ?簡単じゃねーよ、時間が掛かるし、無駄にしぶといし、個体数が少ないし、で量が取れないくせに食べるまでが遠い手間取り草だろ」
「そうそう。収穫したからって直ぐに食べるとそこら辺の木の実より少しはマシって程度で、半日もずっと付きっきりじゃないと熟れる前に腐るし、熟れても調整に失敗してたら味が偏る残念植物だよね」
ブレイズはクラグの補足説明に、過去に何度も苦労させられたという表情をしながら小刻みに首を上下に振っている。
「まあ、成功した時が「めっちゃ美味い!」から飽きは来ないけどな」
と、味の部分だけ二人とも綺麗にハモる。そして「あの味を忘れろってのがまず無理だよねぇ」、「だよなぁ!」と共感して話し合っている。ケニーは完全に置いてけぼりだ。
「お、お前ら、一体何の話をしてやがる……。そんな手間だらけの野いちごなんて聞いた事も見た事もないぞ……」
凄く険しい顔で、必死に対象を記憶から探すも見つからないのか、頭を抱えだしている。
「おっちゃんでも知らねーのか」
「いや待て、決めつけるな。一つずつ質問するから答えてくれ」
「おう!」
「じゃあ、先ず一つ目からだ」と言い、二人に向けた質問が始まる
「見た目は?」
「足と口が生えた草」
「ん?!何かもう既に見当違いの方に行っちまってるがまあいい、次だ。
大きさは?」
「普通の木の半分くらいだから、多分二メートルだよ」
「…。いちごの大きさは?」
「大きい奴で本体の半分はいってたから、小さい奴だと五十か六十だぜ」
「……。足と口って何んだ?」
「足は植物の根そのものだよ。口は〜葉っぱかなぁ?あれってウルフ系に似てるよね」
「だな。姿形は似ても似つかないのに口ってか頭みたいな所だけ凶暴だよな」
「はぁ……。最後に一つ。仲間内での呼び方は?」
「「暴食野いちご」」
「バカやろぅー!!それはファングフルーツっていう魔物の種類だ!」
ケニーは魔物だと知り、真面目に比べる気がないのかと怒る。
「ちょっと待てよ、暴食?」
ケニーは気付いてしまった。ファングフルーツは強暴ではある……が、別に暴食という訳ではない。それに先ほど"根の足"と聞いたが、奴はその場から移動したという事例はない。本体が燃やされても体内に貯めた水分で消火しようとするのだ、敵が目の前にいたとしても。
後になってからケニーは、呆れと歓喜を含んだ顔をしてこう語ったという。この時が非常識と未知の領域に片足を突っ込んで、引き摺り込まれる要因となった場面だと。
「そう、暴食。いちごを中心に口みたいな頭が八個付いてて、いちごのヘタから根や口を支える茎が生えてる感じかな。」
「そうそう。魔物やら動物やら食ってりゃ良いのによ、虫まで食うから味が不味くなるんだよなぁ。しかも強弱が測れないから毎回全力だし、植物だから死ぬって概念が薄いのか自分の体力無視した再生ガン振りだしな」
「は、はは、あははは……んな、バカな。"八つの頭"に"貪食"な緑、"再生"が恐怖や絶望を齎しその未来を表現したかのような"血の赤"。
存在を疑ったことなんて無かったが、まだこの島にも生息してるのか……」
この街で生まれ育った人々は知っている。その植物が悪魔の使いと呼ばれていることを。
まだ規模が小さく集落だった時のドラッヘに壊滅的な被害を与え、勇者がいなければ全滅が確実だったこと。そして、その名を忘れぬよう歴史と人々の心に刻み込むため、大量の資料と勇者の体験を基に絵本にまでされている。
絵本の題名は『勇者とドラッヘの悪夢』
悪魔の使い 名を『ファングルファミリア』、別名『赤緑の王』
ファングフルーツやその上位種を操り、集団で襲ってくる下手な軍隊より脅威な存在である。
今回は早く投稿したいので説明は簡略化します。
『元・世界1位のサブキャラ育成日記 ~廃プレイヤー、異世界を攻略中!~』
沢村治太郎先生
軽ノリの主人公最強系、"ありふれ"や"転スラ"が好きならハマる可能性はある。作者内の今気になる追っかけランキング3位
1位ありふれ、2位はぐるま
『継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》』
リッキー先生
幼少期から特訓する系で身内が少し特殊。更新が早くて内容が飛び難いのでおススメ
カクヨム
『戦闘員、派遣します!』
暁なつめ先生
主人公の作戦内容が最高に好き。敵に容赦ない所とかも。カクヨムだと導入部分と少ししか読めないけど書籍を買うぐらい面白いと思った
ニコニコ動画
『銀河に拡がれヌメヌメ美少女計画』
馬刺しの人
19話に初めて出てくるXeltekが超大好き。特に24話の3:10辺りにある文化発展の茶番が好き過ぎてもっと欲しい
『茜ちゃんのアルバイト』・『Evolveニンゲン クウ』
豚野郎
バイトの方は完全に下ネタなので注意。エボルや他は単純にどれも好きなので選べない。人外系になると急に強くなるのホント好き
『プーさんの鬼畜ゴルフ』
はぐらん
お上品(下ネタ)な言葉遣いで相棒(108円)と共に戦ったりするFPS系の実況者。実況者特有の運を持ち合わせていたりするので飽きない(特に生放送のバグやら何やらが酷い)
『ゲス顔の人』
冰蓮
MMDの動画を作るのが上手いプロ。選曲や会話の作り方などが好きなのでこれからも是非投稿し続けて欲しい人
今回はここまでです。次回は早く投稿出来るはず…何もなければ。




